第87話 オーガとの戦い③
オーガメイジに斬りかかった僕だけど、その攻撃はもう片方のオーガメイジに防がれる。やっぱり敵も複数いるとやっかいだなと思う。
その間もカガリ先輩は後方から攻撃を続け援護してくれる。シリス先輩も回復魔法をいつでもかけられるようにスタンバイ中だ。シャルリエーテ様もオーガメイジに斬りかかるけどなかなか切り崩せない。
「我らは進化したオーガの上位種。雑魚とは違うのだよ雑魚とは!」
とオーガメイジは魔法を唱え始める。僕はそれを見て無詠唱で素早く魔法を展開して斬りかかり詠唱の邪魔をする。そしてオーガメイジの魔法の詠唱を中断するのに成功する。
良い感じだ。このまま一気にオーガメイジを倒してしまおうと考えた時、視野を広く保つように訓練したおかげか左から迫りくるものに気付いて慌ててしゃがむ。その真上をこん棒が通り抜け壁をたやすく破壊する。
「ほう、これを避けるか」
と、オーガチーフが
オーガチーフとオーガメイジのどちらを先に倒すべきかと考えれば魔法は逆転の一手がありえるオーガメイジから先に倒すべきだ。詠唱が長ければ長いほど難易度も上がるけど威力も上がる。
カガリ先輩の弓での攻撃もシャルリエーテ様の攻撃もじわじわとオーガメイジたちの体力を削っている。詠唱中は攻撃を仕掛けるチャンスでもあるのだ。だからそれをさせないために、このオーガチーフがでてきたということだろう。
なら僕のすることはこのオーガチーフの相手をすることだ。オーガメイジ2体はシャルリエーテ様とカガリ先輩に任せようと思った。オーガチーフに2人の邪魔をさせない。それこそが相手の一番嫌がることだろう。僕はそう考えオーガチーフの正面に剣を構え、援護はさせないと決意するのだった。
シャルリエーテ様は歌の支援魔法を使い味方を強化したうえで自ら強化魔法を魔力操作して立ち振る舞う。オーガメイジに魔法の詠唱を完了させてはいけない。
それは相手がかけてくるプレッシャーでもある。プレッシャーを
立っていられなくなったオーガメイジは片膝をつく。それでもオーガメイジは詠唱を止めなかった。そして魔法が発動する。シャルリエーテ様に魔法が当たる寸前に魔法の防壁が張られシャルリエーテ様を守る。シリス先輩の魔法の防壁だった。
「お姉さんは回復魔法だけしか使えない訳じゃないのよ?」
とシリス先輩は得意げだ。それを見たシャルリエーテ様は「ありがとうですわ!」とお礼を言ってかがんだ状態のオーガメイジの首を垂直に叩き切る。大量の血を噴き出しオーガメイジは事切れるのだった。
カガリ先輩は弓による攻撃と攻撃魔法による攻撃を使い分けもう1体のオーガメイジの体力をじわじわ削っていた。
ここは空ではないから安全圏はない。けれどカガリ先輩は攻撃魔法と弓で攻撃するだけじゃない。強化魔法をきっちりとかけて相手を見据える。
体力を削られたオーガメイジは動きが鈍くなっている。それを確認したカガリ先輩は素早く間合いを詰め、すり抜けざまに相手の胴を横から剣で
その時オーガメイジが苦し紛れの攻撃で杖を振り回す。近づいていたカガリ先輩はその攻撃をかわし損ねる。けれど、待機していたシリス先輩が素早く回復魔法で傷を癒す。
「ありがとう!」と言うと同時にカガリ先輩はオーガメイジの足を斬って態勢を崩させ、武器を持つ腕を斬りオーガメイジが膝をついたところで胸を貫きとどめを刺した。オーガメイジは断末魔の声を上げることすらできずに絶命した。
残るはオーガチーフ1体のみだ。オーガチーフはオーガメイジ2体を倒され、それでも落ち着いている。余裕があった。だからこそ僕は状況はこちらが優位であっても油断はできないと思った。
僕はオーガチーフに斬りかかる。オーガチーフはぞんざいに棍棒を振り回す。かなり速い。そして頑丈だ。僕のカラドボルグの剣すら弾き飛ばした。
僕もまだまだ剣の扱いが上手とは言えないけど、それでもカラドボルグの攻撃を弾き飛ばせるものなのか。
カガリ先輩は弓での攻撃、シャルリエーテ様は剣で舞う。そうであるならば、僕はシャルリエーテ様の剣舞に息を合わせることにした。
僕とシャルリエーテ様で斬り込み、カガリ先輩には援護射撃をしてもらう。シリス先輩はカガリ先輩の隣で防護魔法や回復魔法、固有魔法のタイミングを計る。4人でのパーティ戦だ。
もちろんツーマンセルの基本は外さない。2人で同時に別々の個所を攻撃し相手に回避もしくは防御させる。オーガチーフは力に任せて2か所を防御してくる。それならそれで構わない。
さらに攻撃を2か所同時に仕掛け続けるだけだ。オーガチーフは防御で精一杯になる。2択を迫り続ける。どんどん後ろに後退していくオーガチーフはついに壁に追いつめられる。
それでも僕たちは2択を迫り攻撃し続ける。やがて壁が
心臓を貫かれ3階から叩き落とされたオーガチーフは絶命し、このミッションは無事に完了するのだった。
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