第85話 オーガとの戦い①
ある村につく。村長さんから
「旅のお方。お疲れのところ申し訳ないですが山奥の廃墟の城でオーガが数匹で集落を作りかけております。さらに数が増えたりしますと大変困りますので倒して頂けないでしょうか?」
と話を受けた。オーガはゴブリンやトロルと比べれば割と強めの部類だろうと思われる。力が強く残忍というのが一般的だ。
でも僕たちの訓練相手には丁度いい相手かなと思った。
「わかりました。ご期待に沿えるよう頑張りましょう!」
と二つ返事で了承しまず相手の戦力を確認するため一人、僕は廃墟の城を目指し走るのだった。
◇
廃墟の城は結構大きい。今のところ見えているオーガは4体。特に進化した様子もない普通のオーガだ。周辺を調べてみたけど特別、見張りをしているような形跡もない。
武器は鉄の棒というか城の廃材だろうか? 頑丈そうな棒を武器にしている。防具は特に鉄製のものを装備しているわけでもない。
防御は甘そうだけどオーガって皮膚自体が堅そうだしなぁと僕は思う。巨体から繰り出される攻撃は危険なものが多い。
4体というのだって今、見えてる敵だけで4体いるのだ。城の中まで入ってみれば、もっといたという可能性はあると思って警戒した方がいい。いなければ少なくて良かったねというだけの話だからだ。
音を立てないように静かに僕はこの場から去るのだった。
◇
村に戻った僕は偵察の結果をみんなに話す。
「外からは4体しか確認できませんでしたけど、城の中にもっと数がいる可能性も否定できないです。ちょっと用心してもいいのかもしれません」
「外にいるだけで4体ってちょっと怖いですわね。周りに見張りをしてるオーガっていなかったんですの?」
今までの旅の間の偵察で、僕が見張りがいるかどうかまで調べていることを把握しているシャルリエーテ様が疑問を投げかける。
「見てみたんですけど特に見張りの形跡は残ってなかったんです。火を起こした跡も足跡がたくさんある場所もない。だからこそ4体全部が見張りだった場合がちょっと心配なんですよね」
「そうだな。その場合さらに多くのオーガが廃墟の城の中にいても、なんらおかしくない。むしろたくさんいた方が自然にすら思える」
とカガリ先輩も僕の心配をくみ取ってくれたみたいだ。
「それならまず4体を倒して、廃墟の城の中を確認するときは慎重に行った方がいいわね。城の中の明かりは私が魔法で灯すから回復はお姉さんに任せなさい!」
とシリス先輩もやる気満々だ。
「4体だけで済むならそれが一番いいんですけどね。念には念をです」
と僕は締めくくる。そして翌日、準備を整えた僕たちはオーガのいる廃墟の城へ向かうのだった。
◇
廃墟の城は朝であるにもかかわらず、どんより薄暗い場所だった。外から見えるのはやはりオーガ4体。それぞれ場所は比較的離れたところにいるため、素早く倒すことができれば数の優位は保てるだろう。
僕たちは戦いの準備をする。強化魔法をかけ
歌の支援魔法をもらい、聖女の固有魔法をもらい、軽く手足を動かして支援魔法と固有魔法が打ち消しあうことなく、しっかり効果を発揮してることを確認する。
そして自分の強化魔法を魔力操作して準備完了だ。
「じゃぁ、いきますよ!」
と僕は駆け出しオーガ4体の注意をひく。その混乱の中、カガリ先輩は空へ飛び、敵全体に弓での攻撃を開始する。シリス先輩は回復魔法の準備をして待機だ。
僕の姿を確認したオーガたちは僕めがけて突っ込んでくる。そこを隙だらけになっているオーガの背後からシャルリエーテ様は斬りかかった。ザンッ!と音がして血しぶきをあげる。斬られたオーガはシャルリエーテ様の姿を確認して鉄の棒で襲い掛かる。
シャルリエーテ様はそれを華麗にかわし手の健を斬りつける。オーガは鉄の棒を握っていられなくなった。けれども素手になってもオーガはひるまない。まだ拳があるとばかりに叩きつけてくる!
その攻撃もかわすシャルリエーテ様。巨体で届かなかった首にも剣が届く状態になる! そのタイミングを狙ったかのごとく首の頸動脈を切り付け、大量の血を噴き出したオーガは動けなくなった。まずは1体!
カガリ先輩は攻撃魔法と弓による攻撃を仕掛ける。攻撃して注意を引き寄せ2体を味方が相手をしなくてもいいように動いてくれている。
シャルリエーテ様が早々にオーガ1体を葬ってくれたので僕に注意が向いているのは3体だった。そこからカガリ先輩は自然と2体の注意を引いてくれた。空はオーガ相手なら手が届かない安全圏だ。
そうなれば僕はまずはこの1体に向き合えばいい。巨体なので狙うは足だ。オーガの鉄の棒をかわし、無詠唱で魔法を発動して攻撃兼目くらましをして突っ込み、相手の背後に回って足の健を斬る。オーガは鉄の棒で攻撃してくるけど、僕はもうその場所にはいない。そしてすり抜けざまにもう片方の足の健も斬り捨てる!
両膝をつくオーガ。そこを横から首を切り落とし2体目を仕留める!
残るは2体!
カガリ先輩が注意を引いてくれている。こちらの接近に気づいていないオーガの足の健を切りつけ片足の踏ん張りを効かなくして鉄の棒を握る腕を切り落とし返す刀で首を切り落とす。
残り1体! と思ったときにはシャルリエーテ様が残ったオーガの首の頸動脈を斬り付け絶命させていたのだった。
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