第79話 シャルリエーテ様のジョブと魔剣カラドボルグ
そしてノルレンゴースを倒した後、またザルノタールを倒した時と同じように魔滅の御印が光った。そして頭に『強化魔法の効果がアップする』と
これはもしかして!? と僕は思って早速、使ってみた。すると僕の強化魔法が効果アップされているようだ。
初めて使い道のあるスキルがもらえた! と僕は小躍りして喜んだ。効果時間は元々の強化魔法の効果時間にプラスして2分ほど伸びるようだ。
シャルリエーテ様の歌の支援魔法と打ち消しあうようなものでもない。むしろ歌の支援魔法すらも効果アップしているようだ。シリス先輩の聖女の固有魔法も効果アップするかどうか、ちょっと調べてみる必要はありそうだから今度会えたらお願いするかなと思った。
◇
その数日後、王国騎士団は黒い泉の現場へ到着した。状況を詳しく教えて欲しいと聞かれたので僕たちは四天王、火のノルエンゴースを倒したと報告した。
黒い泉があった周辺からマグマが噴き出し三日三晩も燃え続いた。その
溶岩流だったし歌の支援魔法と急斜面ではなかったおかげで僕たちは走って逃げることができた。
それに、この近くの村に被害がでてなかったのは不幸中の幸いだった。騎士団の皆さんたちも周りの
そしてゼルニシティ王国へ僕たちは帰ってきた。四天王ノルレンゴースは現れたけど倒された。喜ぶ人もいれば次の四天王がまた現れるんじゃないか? と心配する人もいた。
一連の結末を王国騎士団から報告を受けて四天王ノルレンゴースは倒されたと国王陛下から正式に発表があった。
「油断するでない。まだあと2人の四天王がいるはずなんじゃからの」
と国王陛下は祝福ムードに釘をさした。そう、まだあと2人、四天王はいるのだ。
「勝って兜の緒を
カガリ先輩もシリス先輩も僕たちが帰ってきたと聞いて待っててくれたようだ。僕は「ただいま」と挨拶して「「おかえり」」と二人から返事をもらう。故郷の家に帰ってきたような不思議な感覚に
◇
シャルリエーテ様とも夜空を見上げながら、今回の四天王の戦闘の話をした。
「歌の支援魔法なんていつ覚えたんです?」
「ガザさんのと戦闘の後で
「ナルメシアさんって、歌の支援魔法もできるんですか!?」
「できますわよ。だから今回の旅についてきてもらったんですのよ?」
僕はあの人ほんとに何でもできるんだなと思った。
「でも直接の原因はガザさんですわね」
「ガザさんの強さは凄まじかったですよね。でも今回は大手柄でしたね!」
「以前、『魔法とは精霊の力を借りてできる奇跡の再現ですのよ。そのために必要なのが精霊にお願いする呪文、すなわち詠唱ではないですの?』とわたくしはオリタルトに無詠唱のお話の時そう話しましたわよね」
「はい。そうですね。無詠唱とは全く逆のお話でした」
「
「ガザさんを見て考えを改めたと?」
「そうですの。あの圧倒的脅威と言っていい強さを見て考えを改めました。歌の支援魔法について調べれば調べるほど脅威を感じました。そして歌の支援魔法とわたくしの魔法の考え方は大きく外れてないことにも気付きましたの」
「歌の支援魔法は精霊にお願いすることと詠唱が必須という点ですね?」
「そのとおりです。無詠唱も、もちろん習得を目指しますわ。でもわたくしは歌の支援魔法と相性がいい気もしてるんですの。ちょっとおかしいですかしらね」
とシャルリエーテ様は恥ずかしそうに微笑む。だから僕は
「魔法に限らずフィーリングの部分って大きく影響すると僕は思います。苦手だなって思いながらしていれば、なぜか自然と苦手になります。思い込みって馬鹿にできない程の影響力があったりしますよ?」
とシャルリエーテ様の考えを肯定する。
「そんなものですかしらね?」
「そんなものですよ」
とシャルリエーテ様と綺麗な満天の星々を見上げながらそんな話をしたのだった。
その後、国王陛下より「残り二人の四天王も倒し魔王復活をなんとしても阻止せよ!」と厳命がでた。王族にだけ伝わる口伝の内容を聞いた今では、国王陛下の焦る気持ちも分かるというものだ。
◇
四天王ノルレンゴースを倒したということで僕たちは今回の貢献に報酬を出すということで式典にでることになった。
母さんもドレスで着飾り、僕も礼服でおめかしだ。
シャルリエーテ様もドレスで着飾っていた。どこの伯爵令嬢様ですかと聞きたくなったけど、よくよく考えたらシャルリエーテ様は侯爵令嬢様で格上だった。でも、その辺の意識を全然させない良い子なんだよなぁと思ってしまった。
ナルメシアさんもドレスで着飾り綺麗な姿になっていた。戦闘服ではさすがに来ないのかとなんか納得してしまった。考えてみればドレスが正装だからそうなんだけど、今まで見たことない姿を見てドギマギしてしまった。
それぞれ国王陛下からお言葉を賜り、直々に報酬を受けて取っていった。
そんななか僕の順番となる。男爵の爵位を授かった時は緊張していてよく覚えてないからなぁと振り返って考える。
国王陛下の前に行き
「今回の働き見事であった。よって王家の秘宝である魔剣カラドボルグと報奨金として金貨200枚を与える」
「ありがたき幸せ」
と答え、僕は報酬を
でもシャルリエーテ様が、自分のお小遣いを貯めて僕に今回の報酬としてくれた金貨5枚は絶対に使わないと心に決め、胸のポケットに数枚入れてお守りにしたのだった……。
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