第23話 さらにステップアップ!

 1年生では僕たちの優勝が決まりシャルリエーテ様が頑張る理由も聞いた。


 だからというわけではないけれど訓練のステップを1段あげてみることにした。次の対戦まで4ヶ月あるんだけれど、どうしたら効率的に鍛えられるかを考える。


 僕がやってきた訓練を、うまく短期で効果がでるものにできないものか日々考えるのだった。


 シャルリエーテ様はいつもと変わらず訓練に余念がない。顔色もいいようだし僕が不安に感じた焦りのようなものはなくなっているようだ。


 そこで進捗しんちょくを聞いてみた。


 「シャルリエーテ様は前は同時に2つできたってききましたけど今はいくつ魔力操作できるようになったんです?」


 シャルリエーテ様はちょっと顔を赤らめて


「3つですわね。4つ目の操作に四苦八苦しているところですわ!」


 と自信満々で答える。僕もちょっと頬に熱さを感じつつ良い感じですねと答える。


 実際シャルリエーテ様が自信を持つのは理由がある。


 他の生徒はまだシャルリエーテ様が2週間で突破した訓練をまだ続けている人が多いからだ。


 一番最初に教えてもらってるから、そのアドバンテージもあるとはいえ現状トップで突き進んでいる。


「なるほどなるほど。それなら5つの魔力操作ができるようになったら次のステップに進みましょう。頑張ってくださいね!」


 僕の訓練は地味な反復練習だ。


 でも身体的にも魔力的にも訓練するなら僕はこれが一番効率がいいと考えている。無詠唱を身に付けるのにもこれが恐らく一番早い方法のはずだ。


 恐らくといっているのは訓練を粗方あらかた終えた僕が、なんとなく魔法書の内容で思い出したことがあったのでやってみたら、偶然無詠唱ができてしまったからだ。

 

 僕のレベルまでなればきっとできると思うんだけど、その最低限のレベルがどこなのかはもう僕では検証ができないという状況だ。


 僕のレベルまで頑張ってもらうのもいいんだけど、そうすると僕は7年かかった。でも、シャルリエーテ様がいいのであれば7年教えるのも悪くないか……

 

 そう考えてみたら気が楽になった。でも僕は、効率的に合理的に無理、無駄を省いてと必死になって考えることは変更しないつもりだ。


 無詠唱ができるようになると魔力の込め方とかタイミングで、できることがまた倍以上に増えていくからそこも教えたいんだけどなぁ。


 と僕はどうしたらうまくいくかなと考えてばかりいる。


 それがシャルリエーテ様の焦りに効く特効薬だと僕が思っているからだ。そしてみんなのためにもなると信じている。


 強くなっていく実感はなかなかできない。でも同時にできることが2から3そして3から4へという感じに数字が増えていくのは、なんとなくうまくなっているという実感が得やすいはずだ。


 と考えてみんなの魔法の質問に答えたり、ツーマンセルで同時に攻撃するときの息の合わせ方のコツを教えたりしているうちに今日も1日が終わる。


 学校で主に魔法理論を習い、放課後は僕と一緒にみんなで自主練を続ける日々だ。


 それでもみんな確実にステップアップしていっている。


 3ヶ月経った頃だろうか。シャルリエーテ様がとうとう5つの魔力操作に成功したと報告があった。


「5つの魔力操作の成功おめでとうございます!」


 僕はまずシャルリエーテ様をめた。僕も苦労したからなぁと昔を思い出す。


「じゃぁ、お楽しみの5つの魔力操作ができたときの効果の実践です。いいですか?」


コクコクとシャルリエーテ様はうなずく。


「強化魔法を4つに分裂させて両手両足に移動させてください。そうしたら白線まで走ってあの入学試験の時使った魔道具に魔法を撃ち込んでください。属性はなんでもいいのでシャルリエーテ様なら光かな? を撃ち込んでください」


「分かりましたわ!」


と元気に答えるシャルリエーテ様。


「ちなみに魔法を撃つときは体中に散らばっている魔力を、訓練通り頭手足の全てから魔法を撃つ手に全部集中させて撃つイメージでお願いしますね!」


と僕は応援するのだった。

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