第24話 みんなのやる気はうなぎ上り!?

 それを聞いていたクラスのみんなが、シャルリエーテ様の訓練の成果を見ようと集まってきた。


 僕も特にそれを止めずむしろみんなが見やすいように、シャルリエーテ様の集中しやすいように、一か所に集まってもらい静かにしてもらう。


「さぁ、準備はOKです。どうぞ!」


「いきますわ!」


と走り出す。


 目の前を風のように走り抜けるシャルリエーテ様、それだけでみんな唖然あぜんとしている。


 白線の前に立ち止まり全力疾走したのにもかかわらず、すぐに呼吸を整え終わり詠唱開始。いつもの光魔法の詠唱だったが違ったのは光魔法そのものだった。


 いつも通りの詠唱でもそこから生まれた光魔法の閃光は今まで見た中でも極めて大きくまぶしかった。


 そして魔道具は95点という点数を表示するのだった。みんなシ―ンとなる。その後


「オオオオ――! すげ――!!」


「何、今の閃光!」


「いやそれよりもあの全力疾走の速さはなんだよ!」


「あのスピードで走ってあんなにすぐ魔法って撃てるものなの!?」


「すんごいまぶしかった!」


「めちゃめちゃ大きな光線だったぜ!?」


「光魔法ってあんなの感じになるの?」


「カッコイイ――!」


「あれで95点!? 100点になってないのはなんでなの!? おかしいでしょ!!」


とみんなワイワイと話し出す。


 一番びっくりしてるのはシャルリエーテ様だ。満面の笑みをみせながらこっちに走ってくる。全力疾走だ。


「オリタルト! これはどういうことですの!?」


 いつも通りの展開で僕はキリッとした笑顔を見せる。シャルリエーテ様はジトッとした目で


「オリタルト……何とも言い難い顔はやめた方がよろしいかもですわよ?」


「そうですか? おかしいですね。僕のキメ顔なんですけどね」


と僕は自分の顔をさわる。


 そんなことを言ってツンツンしつつも、にこにこした顔でツイテールを揺らしながら、シャルリエーテ様が説明を求めるのもいつものことだ。


 僕はえへん、実はですねとみんなに説明する。


「シャルリエーテ様に見せて頂いたように、これがシャルリエーテ様にしてもらった訓練の成果です。みんなもできるようになります。でも成長の速度は人それぞれですし得意不得意があるのはもちろん分かります」


「私も早くあんな風になりたい!」


 感想をきいて僕はニコニコしながら


「使っている魔法はここにいるみんなが普段使っている強化魔法です。その扱い方を覚えて、訓練を続けることがこの結果の全てです。訓練内容は地味ですけど効果は絶大です」


とみんなを見回しても自分もシャルリエーテ様みたいになりたいと思っているようだ。


「シャルリエーテ様にみんな追いつきましょう! そして追い抜きましょう!」


とみんなをそしてもちろんシャルリエーテ様をあおる。


「追い抜かせませんわよ!」


「「「「私も頑張る!」」」


「「「俺も!」」」


とシャルリエーテ様もみんなもやる気がでたようだ。


「さてとみんな各自の訓練にもどってくださーい」


と伝え、ばらばらとみんなそれぞれの訓練に戻っていく。


「シャルリエーテ様には次の訓練です。喜んでください!」


「もちろんですわ!」


やる気に満ちている。そんな顔だ。


「では、5つ同時に魔力操作することを前回は実戦してもらいました。今回は5つをバラバラに動かす訓練です」


僕はニヤリとしてみせる。


「魔力の塊を頭右手左足を同時に体の中心に操作したら元に戻すのと同時に残りの左手右足は体の中心に操作してください。次は逆に頭左手右足を同時に中心に操作して戻すのと同時に右手左足は体の中心に操作する。これをそれぞれ500回繰り返してください」


シャルリエーテ様にできますかね? とちょっと揶揄からかう。


「ごひゃくかい……両方でせんかい……そんな訓練に何の意味がって、今までもそうでしたわよね。分かりましたわ! やってやろうじゃありませんことよ!」


「ちなみに全部できるようになっても回数はいつも通り増えますからね。あとはそうそう、魔道具が95点を表示したのは光魔法がただ単に大きすぎたからです。魔法の命中精度が低いと判断されたからあと5点足りなかったんだと思いますよ」


と注意点を軽く説明する。


「だから魔道具の仕組みを知ることも重要です。もちろんその魔法の精度を上げる要素も今回の訓練に含まれてますから安心して頑張ってください!」


と僕はシャルリエーテ様を励ました。キョトンとした顔をしていたシャルリエーテ様だけど


「魔道具の仕組みまで知ってるなんてさすがですわね!」


と笑った後、魔道具でもう一度点数を出すより時間が1分でも惜しい今は訓練を続ける方を優先したようだ。僕もそんなシャルリエーテ様を微笑ましく応援するのだった。

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