第2話 6属性の魔法訓練


 異世界で魔法書を見つけた!


 テレレレッテレー! レベルが上がった! と懐かしのゲーム音を口ずさんではいたがワクワクが止まらなかった。ドキドキしながら魔法書を開いてみると一番最初のページの作者の挨拶ぽいところの「はじめに」というページでイメージが重要と書かれ魔法の解説が始まっていた。


 イメージって言われてもなぁと思ったが文章構成が基本通りなら最初か最後に一番大切なことは書いてあるものなのだ。たぶん。と自分に言い訳しつつも一応最後のあとがきぽいところも読んでみたところ、なんと最後にもイメージが大事と書かれていた。


「だいじなことなので2回言いました」


と誰かが言った言葉を思い出してしまった。でも大事ぽいからとりあえず覚えておこうと思った。


 その後、セレサさんが話していた火水土風と光闇の6属性の魔法のことが書かれていた。そして読み進めると呪文が書いてある!


 まずは初級魔法の火属性をと思ったが危ないかなと思ったのでやめにした。初級魔法で危なくなさそうなのは土魔法だった。いわく砂がでるとのこと。まぁ、砂がでてきたって掃除すればいいよねと思ったので、とりあえず砂をイメージしながら魔法書通り呪文を唱えてみた。


 体中から指先に熱のようなものが動き集まってきたのを感じた。するとさらさらと砂が指先からでてきて机の上には砂がたまっていったのだ。それを実際に目にして思わず、「おおお――」と声がでてしまった。魔法が使えた!


 初めての経験に喜びがあふれだす。前世で魔法を使えたらという妄想はあったけど実現してしまうとは。世の中何が起こるか分からない。調子にのって呪文を唱えていたら急にめまいがしてそのまま倒れてしまった。


 2~3時間後に目が覚めた。だるさを感じたけど、気のせいだろうと続けたのがまずかったらしい。気を付けないと戦闘中なら死んじゃうよ、これ。


 だるさを感じたら必ずやめようと思った。



そして、別の魔法を使ってみようと思った。次は水魔法にしてみた。水がちょろちょろと指先からでてきた。丁度良い感じのおけをもってきてその中に水を貯めていく。満タンになるころにだるさを感じたのでその日の魔法の訓練は終わりにした。


 次の日は風魔法の練習。指先からそよ風が発生。窓の外に向かってひたすら撃った。


 その次の日は火魔法の訓練。火災になるとまずいかなと思ったのでこれは外にでて練習した。ライターみたいな火が指先に発生した。消えてはまた魔法を使用してだるさを感じたらその日は終了だ。


 4属性の初級魔法は全部使えるみたいだ。威力はないけど使えたことの喜びのほうが大きかった。だるさを感じた後はひたすら魔法書を読んだ。同じ本なのに練習後に読むとなにかしら発見があった。


 3カ月程4属性の魔法の練習を繰り返した後、光魔法を練習することにした。光と闇は別格とセレサさんが話してたし、魔法書にもその記述もあったので、ちょっと魔法に慣れてからにしようと思ったのだ。


 光魔法は明かりを灯すものだった。攻撃も回復もしない、ただ周囲が明るくなるだけ。だけど火よりも範囲が広く明るくできた。あとすぐ消えることはなかった。夜、本を読むのに重宝した。慣れてくると範囲が広く明るく照らすことができるようになっていった。


 そして闇魔法。指先に黒いもやもやが発生した。視覚阻害しかくそがいの魔法なんだそうだ。顔の周りに発生させると確かに何も見えない。同士討ちの危険だけ気を付ければ、かなり効果がありそうな魔法だった。


 体の鍛錬もすることにした。朝に体を動かして目を覚まし、お昼頃から魔法の訓練をする。単純だけどその繰り返しだった。


 でも毎朝の体の鍛錬も魔法の訓練のようなものだった。強化魔法のことが魔法書に書いてあったからだ。強化したまま体を動かすのが大変で、苦労したけどなんとかできるようになった。


 そして6属性の初級魔法を、これくらいできればいいだろうと自分で思えるくらいに練習したのだった。

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