第42話 見えてなかった陰【3】
「リンタロウ、本当に顔色が悪い。どこかで休もう」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ……」
「「リーン!」」
「リーンにーちゃー!!」
「リンタロウ様ー! お買い物は進んでますかー!」
「ぁ…………おぉ! 皆! 買いたい物は買えたかー!」
ゼンが心配している顔をしているが、今はこちらに向かってくる天使達とその執事さんを出迎えよう。
もちろん、暗い顔なんてこちらに向かって来てくれている皆には見せはしない。
「リン! 良いモノ買えたぞ!」
「買えたぞ!」
「おぉー! そうかそうか、見てみたいなー」
「「はっ!!」」
「それはだめぇええ!!」
「えぇ?なんでダメなのプティ君」
「「ひ、ヒミツだもんねー……ひゅーひゅひゅー」」
「ヘタクソな口笛だな、おい」
「リンタロウ様にお願いされてもこればっかりは見せられません。俺達兄弟の大事な秘密なのです」
珍しい。
隠し事とか、悪戯とか大好きで楽しければ割とぶっ飛んだことする双子お兄ちゃんズと、そんな双子お兄ちゃんズを見て育った真似っこ大好きプティ君が秘密を隠すのは分かるのだが、まさかのリッシュ家の良心且つ常識人のベルトラン君まで秘密とな。
えぇー、めっちゃ気になるじゃん?
でも、兄弟の秘密って言われるとそれ以上聞きにくいじゃん?
…………聞くけどね!
「ベルトラン君そう言わずにちょっとだけ! すこーしでいいから!」
「駄目です!」
「「ダメです!!」
「だぁあめです!」
「そっかぁ……俺だけのけ者かあ、兄弟にならないかって言われたんだけどなあ……」
「「「「っう!!」」」」
必殺!!! 泣き落とし!!!
なあんて、これ以上は可愛い天使達を追い詰めないけどね。
俺って良心的ー、なんつって。
とか思ってたらプティ君が。
「リンにいちゃ! えっとね! 買ったのはぅむぐっ……」
「「プティ! めっ!」」
「あぶないあぶない…………」
普通ならプティ君以外の兄弟が今口止めしたと思うだろ?違うんだなー!
なんと、あのセリューさんが素早く優しくしゅぱっと白い手袋を付けた手でプティ君の口を塞ぎ、それに続いてお兄ちゃん兄弟ズがわらわらとプティ君を止めにかかったのだ。
なんともまあ、セリューさんの行動はスマートでスピードがありました。
「プティ坊ちゃま、それ以上は楽しい秘密が台無しになってしまわれますぞ」
「……ぷはっ! ぅー、ごめんなしゃい」
「はは! わかったよ、もう聞かないから!」
「でも、そのうちお教えしますから」
「「リン! ビックリ!」」
「いや、お前たちのビックリは怖いから!」
きゃはははと笑う双子お兄ちゃんズとプティ君、それに便乗してベルトラン君も笑ってる。
あー、癒される。
本当に、さっきのなんて何かの幻覚だったのかもしれない。
「――――何か、ございましたか?」
「……ほんの少し、目を離してしまった時に」
「リンタロウ様はなんと?」
「大丈夫だとは」
「では、リンタロウ様を信じましょう。あまり過保護でもリンタロウ様に嫌われてしまいますし、そのお顔では皆様を不安にさせますぞ」
「あまり顔には出ないほうなのですが……ふっ、そうですね」
「――ゼン、何話してるんだ? 今から子供達とさっき行けなかった出店に行こうって話になったんだけど、行っていい? まだ買い足すのある?」
「いや、必需品は買えたから大丈夫だ」
「そっか、じゃあ……皆! さっきの出店に行こう!」
「「「うえーい!」」」
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