第37話 びっくりキラキラ市場【2】
「はぁー…………想像してた市場より派手!! ていうか、めっちゃ広いしテーマパークみたいだな!」
上からも見えていたのでその時点でも驚いたが、市場の入り口に来てみてもさらに驚いた。
前の世界での人気テーマパークみたいな雰囲気の、とてもキラキラとした市場であった。
アトラクション的な乗り物は見当たらないが、上から一瞬見えた時に子供が遊べそうな屋台やちょっとした遊具っぽいのもあった気がする。
飛竜は市場の端に併設されていた、前の世界で言う駐車場ならぬ飛竜停留所に預けてある。
かなりの大勢が来る大イベントだったらしく、市場の周りには各地から来るお客や商人のための宿泊用テントなどの施設設備がきちんと併設されていた。
俺はこんな大きな市場とは思わなかったので、想像していた市場との違いに驚いた。
そりゃあ、子供達がめちゃくちゃ行きたがるはずだ。
「「早く! 早く! 行こう!!」」
「こら、お前達! そうやって興奮して離れるんじゃないぞ」
興奮している双子お兄ちゃんズに、しっかり者のお兄ちゃんであるベルトラン君がすかさず注意する。
「さあて! 子供達、そしてリン君! お目付け役としてセリューとゼン君が傍に居るから離れて迷子にならないように! いいね!」
「「「「はーい!」」」」
パルフェット様の言葉に思わず、子供達と同レベル扱いに不満というか疑問を言いそうになったが。パルフェット様の無言の圧力に屈して子供達の後に素直に、はい。と返事をしました。はい。
「そして、今からお小遣いを配りまーす!」
「「ぃやったー!」」
「わーい!」
「ありがとうございます。母上」
パルフェット様の手から順番に配られていくお小遣い。
子供はこうやってお金の感覚や大事さを学ぶのだと、俺はしみじみしていると。
「はい。これリン君の」
「えっ? 俺ですか??」
「そう。リン君の! 旅支度の費用はゼン君が全て支払うらしいから安心して。これで美味しいお昼ご飯やお菓子とか何か欲しい品があったら買ってね」
「そんな! 貰えません!」
今でさえ滞在中の食事などお世話になっているのに、頂けるわけがない。
ゼンでさえ後見人だから色々と支払うと言われても、やはり気持ち的にはどうにか働くなりして返そうと思っているし、子供達の仕事を普段から手伝っているとはいえ滞在中のご恩を返せてないと思っているのだ。
そう思っているのに、差し出されたお小遣いを受け取るという行動がどうにも俺にはできなかった。
「おやあ? だって他の兄弟はお小遣いを貰ってるのに、新たに兄弟の仲間入りしたリン君が貰えないのはおかしいでしょう? 子供達、特に年下組は無駄遣いしないようにあまり大きな金額を持たせてないから、リン君のほうに子供達全員分のお昼代も含まれてるの。リン君のお金のお勉強にもなるだろうしね。 お昼ご飯はまかせたよ?リンお兄ちゃん」
『ついで、でいいから何か気に入ったものがあればこれで買っておいで』とパルフェット様はそう言うと俺の片手を取りその掌の上に金貨の入った小袋を置いた。
俺は、でも……と言いかけたが、パルフェット様はドゥース様と一緒に『いってきまーす!可愛い子供達!楽しんで!』と言って市場の中に消えて行ってしまった。
さすがは肝っ玉母さんパルフェット様。
ちょっと強引だが、その大きくて温かい優しさがくすぐったくも嬉しい気持ちになる俺。
こんな風にお小遣いなんて渡されたの、いつぶりだろ。
あと……お兄ちゃんって、呼んでもらっちゃった。
「「リーン!」」
「俺達も市場に行きましょう! リンタロウ様!」
「リンにいちゃー!」
「………………今行くよー!」
市場の入り口で待ってくれている皆の元へ俺は小走りで向かった。
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