第33話 免許皆伝?そして楽しいイベントへ【1】





 更に数日が経ち、俺は結構、魔力操作にも慣れてきた。

 それでも、子供達と魔力操作を学ぶのは毎日の日課なので欠かさずに遊んで……げふんげふん。

 学んでおり、今日の訓練はかくれんぼだ。



「リーン! どこだー?」

「どこだー?」

「リーンにーいちゃー! どーこでーすかぁー」

「リンタロウ様ー」



 と言っても、普通のかくれんぼではない。

 普通なら鬼は一人でその他が逃げると思うのだが、今回はその逆だ。

 逃げる人が一人でその他が全員鬼。


 しかも、今回はベルトラン君やイケメンも混ざっての超ハードかくれんぼ。

 そしてたった一人の逃げ役俺。


 まじで、本気出して逃げてます。

 なんてったって、今日の訓練の成果によっては俺が今つけている魔力制御装置を、保護者監視下でなくても外せるようになるかもしれないからだ!


 かくれんぼはちょっと前まで俺が魔力ダダ洩れだったので、初めの方はその魔力を収める方法を学ぶことをメインの目的として訓練していたが、少しずつなれてくるとその他の皆と同じ内容の訓練をした。


 その内容というのが、どうやら魔力というものは制御しているつもりでも、性質特化の影響が受けないくらいの魔力が微かに漏れ出て残り香のようにその場に残り。それはよーく見ると視認できるらしく、それを探って逃げ役を探したり、鬼役に魔力の残り香を見つからないように完全に魔力を己の身に収めるという訓練内容だ。


 俺も最初は魔力を収めることに必死で、皆のレベルに追いつくのは高い目標かと思われたが、今日までの訓練でかなり成長した。

 本当によく見ると魔力の残り香が見えるし、魔力を完全に己の身に収めることもできるようになった。


 その証拠に、俺は今皆から逃げることができている!!!

 やっぱり俺ってやればできる子!


 なんて調子に乗ってると、魔力が漏れ出てしまうので気を引き締めないとみんなに見つかってしまう。

 なんてったって、相手は子供でも魔力操作では俺の数倍先輩なのだから。

 今回は上級冒険者であるイケメンも参加だ。

 まじで気が抜けない。


 ただ隠れるだけではすぐに見つかってしまうので、今回はあちこち様子を見て場所移動オーケーという逃げ役が俺一人なのでハンデ付きだ。

 俺はそのハンデを利用して、わざとあちこちに魔力の残り香をさり気なく残し皆の目から逃れていた。



「ふぅ、そろそろ逃げる場所が限られてきたなあ」



 逃げる範囲は屋敷の中と牧草地手前の庭まで。

 皆は手分けして隈なく探していたが、なかなか見つからない俺を見つけるために作戦を立てたのか追い込み漁のように俺を追い詰めていた。

 おそらくイケメンの入れ知恵だろう。


 そして、その入れ知恵をしたであろうイケメンの姿が見えない。



「まずいな……さっきまで皆と行動してたのに、見失った」



 俺も逃げるのに必死だったからなあ。

 でも、イケメンが皆の傍にいないということは逆に入れ知恵する人物がいないため、皆の追い込み漁の隙間を抜けて上手いこといい場所に逃げれるという事でもある。

 このかくれんぼは制限時間が設けれらており、三十分間逃げきれれば俺の勝ち。

 もうそろそろ三十分のはず……。


 イケメンの居場所が気になるが、賭けに出て皆の隙間を抜けるか皆の様子を伺える範囲で潜み隠れるか。

 悩みどころだな…………。


 あ、そういえばこちらの世界で時間の数え方は一緒だった。

 まあ、何故かというと俺の前の世界の時間の数え方の感覚になるようにと、以前こちらの世界の言語を理解できるようにかけられた時の魔法の影響で無理ない程度にその辺の感覚変換もされているらしい。


 実際はこちらの世界独自の時間の単位らしいのだが、魔法ファンタジー万歳である。


 ちなみに月も一月から十二月まであり十二カ月一年単位、約三十日で一カ月、七日で一週間、という感覚も前の世界と変わらないよう変換されているが、さすがにうるう年とかそういうのは無いらしい。

 あとは、前の世界の地球のように東西南北などで暑い寒いとか四季の違いとかがあるわけではなく、この星はカリファデュラ神の孫にあたるのでもちろん魔力を持っており、星に流れる魔力の性質が場所によって違うらしく、その魔力の影響で寒暖差や四季などの違いがあるらしい。


 例えば南の国は暖かいイメージだが冬の国があったりするとか。

 そういう前の世界と同一にしきれない感覚もあるようだ。



「「リーン!」」

「どーこでーすかぁー?」



 おっと、そんなこと思い返している間に皆が近づいているな。

 そろそろ動かないとここもまずいか。



「でもなあ、もうそろそろ制限時間だと思うんだけど……。

 かと言ってこのままここに居ても見つかるかもしれないし」



 そんな俺がいる場所は屋敷の外の屋根の上。

 なんと屋根裏から屋根へと行けるようになっているのだ。

 この場所は前回のかくれんぼで知った。

 皆も、もちろん知ってるので見つかりやすそうな場所かと思うだろうが、そこは計算して残り香を配置していたので今は安全スペースなのだ。






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