第37話元勇者と元シスター
制裁をくらいボスが見舞いにきてくれたがそれと同時に次の仕事を告げられ同行するのがライラ中尉であるらしく既に憂鬱になってしまう。
「ドンマイ~」
隣のベットから俺の不幸を喜ぶ奴が一名。
「うるさい名無し!」
「ジョンドウだっていってるだろ!」
「2人とも静かにしましょうよ…」
ジョンドウの隣に狼が同じくベットにいるが
彼に関しては別任務を言い渡されておりその任務に対して嫌悪感を示していた。
とりあえず、関わらないようにしておくとして今回の遠征もどうせトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるが目下の所願うことがあるとすれば中尉と2人きりじゃないことを願うしかない…。
リリア聖王国は大陸中央部に位置し位置しており建国以来争いもなく平穏であるが古来より存在しこの星に広く分布している宗教の総本山であり歴史ある国家であった。
馬車で聖王国首都に接近していくが出発からここまで一切会話無しで移動することになっていた。
「ライラさん?ここまでず~と会話無しですけど俺あんまりリリア聖王国のこと知らないんで説明して貰えると…。」
「……知らない。」
事前情報として俺が知らされているのは今回も地球からやってきた人間がいる可能性があるため調査するようにという命令であり聖王国については中尉が知っている為移動中に聞くといいと言われていたが知らないと返された…もしかしなくても怒っているよね?まさか野球の話がそんなに嫌だったのだろうか?それとも単純に俺のことが嫌いなのか?
やめよう。真実を知ったら精神的にきつくなるのは俺の方だ。
城門手前まで近づき検査への準備を始めた。
「積み荷に異常無しだな…。移動を開始しろ!」
馬車の中を確認する兵士達は臨検すら行わず馬車に都市へ入る許可をだす。
これは聖王国だけでなく連合に未加入の国には当たり前の現象だがおかげで武器が見つかることもないので安心である。
もっとも、武器は大半が分解して収納しているので気づく可能性は低いけど…。
城塞都市であり首都であるリリアは外側から見れば円錐形であり城を中心に棚田のように屋敷や協会があり俺達が入った城門辺りには露店が多く存在していたがその露店で何か飲んでいる人間がこちらに向かって手を降ってくる。
「ライラちゃーん!お久しぶりぃ!!」
服装からしてシスターであることがわかるがその彼女を無視して中尉が移動を始める。
「あの~ライラさん?お知り合いでは?」
「知らない、きっと人違いよ。」
冷静に返してきているが実際は目が泳ぎまくっている。嘘つくのこの人ニガテなのか?それとも想定していなかった人間がいたことで混乱しているのだろうか?
すると、シスターがいつの間にか接近しており俺の肩に手を置く。
「も~なんで逃げるのよ…もしかしてカレシ?」
この人聖職者だよね?お酒臭いんですが!
「カレシじゃないわよ…相変わらずですねシスター、リリィ?」
「そっちはほんとあの頃からかなり変わったわよねライラちゃん?」
やっぱり知り合いだったのかよ。しかし、聖王国とは連合が首脳部との接触はないが彼女の服装はこの国のシスターの服装で間違いない。
それでライラ中尉の知り合いだとすれば連合に併合された国の教会にリリィさんは勤めていてそこでライラ中尉と知り合いになったとかだろうか?
「それよりも、この子は誰?」
「新入りよ。まさか現地の協力者が貴女とは思わなかったけど文句言ってたら仕事にならないからセーフハウスに移動しましょう。」
へいへいまだ新入りですよ。
そう心の中で悪態をつきながら先を行く彼女達についていくことにした。
街の中でも寂れたエリアにある教会に移動したがボロボロという訳ではなく内側は綺麗にされておりこれぞ教会という印象を受けた。
「地下に狭いけど生活空間と武器も用意してあるわ。あと食料もね!」
シスターの姿をしているがえらく準備がいい。
「リリィさんは連合の諜報員なんですか?」
疑問をおもわず口に出してしまっていた。
「私は連合の人間じゃなくて教会側の人間よ?ライラちゃんと違って昔からね。」
まぁ、今回の場合聖王国に転移してきた可能性がある人間の特定と保護が必要な場合は保護することを目的にしているのであって聖王国とは敵対する予定ではない為彼女が手を貸してくれてもおかしくないんだろうけど……ん?昔から?
もしかしてライラ中尉て元シスター!?
部隊員からメスゴリラて言われてるのに!?
「あんた、今失礼なこと思わなかった?」
すいません!!
失礼というより事実では?と思ったが既にリボルバーに手を伸ばしている姿を見て全力で土下座をするしかなかった俺であった。
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