第17話 レオンとの最終決戦(中)


(ルー)「ガウ?」


(月兎ゲツト)「ルーナの知り合い?」


(ルーナ)「……昔の、知り合い……」


(ルー)「とにかく、今はレオンをボコボコにするガウ」


(レイ)「そうだな」



 私はなぜロックが操られているのか、どこでレオンと接点があったか分からないがルーの一言で現実に戻された。


 でも、私的にはロックを操られる前の状態に戻したい。



(レオン)「こいつはお前の知り合いか?だったら、あいつは任せた」



 多分、もう人の区別が着いていないんだろう。お前とかこいつとか言い出した。


 そして、ロックは私に攻撃をしてきた。私と師匠の元で訓練してきた時に、よく多用していた攻撃では無い。全く新しい攻撃方法だった。


 その攻撃は、紙を投げつけて来て、その紙が爆発すると言ったもので、私を翻弄するには十分な性能だった。


 当たり前だが、ロックも師匠の元で育ってきた時と違う。それを実感させられた。


 しかし、私はすぐに体勢を直し、ナイフを勢いよくロックの肩目掛けて投げつけた。そしたら、ロックは避けきれず、ナイフがロックの肩に少し刺さった。


 ロックはナイフが刺さった右肩を抑えながら後ずさり、こちらを警戒している。しかし、私は彼の背後に空間を開けており、そこから、ナイフを飛ばした。


 その結果、彼の背中にナイフが2、3本刺さった。



(ロック)「っ!」



 どうやら、ロックは痛いらしく、少し苦痛の表情を見せていた。しかし、敵に隙を見せる事は得策では無い事を師匠に叩き込まれたため、すぐにその表情は消えた。


 しかし、ロックは気がついていない。上から大量のナイフが降ってくる準備を私がしていた事を。


 そのまま、ロックは上から降ってきた大量のナイフに当たった。さすがにやりすぎに思われるが、人型亜種族の中でも丈夫な種族だったので、まぁ、大丈夫だろう。


 他のメンバーはレオンと戦っていて、こちらに気を取られていない。……もしかしたら、今がチャンスかもしれない。


 私は、ロックに近づき、洗脳を解こうと試みる。ロックは、近づいてくる私に違和感を覚えているが、攻撃してこない。案外大丈夫かもしれない。そして、ロックの目の前まで近づいて、その耳にポソりと呟いた。



(ルーナ)「私はナツメ。カタギリナツメ。ロック、私分かる?」


(ロック)「……ナツメ?ウッ、うぅ、うぅぅぅ」


(ルーナ)「ロック?大丈夫?!」


(ロック)「あ、ああ……。ナツメ、俺はどうしてこんな所にいるんだ?」


(ルーナ)「良かった……。ごめん、早速で悪いけど、避難してくれる?事情は後で説明するから。あと、今はルーナって呼んでくれるとありがたい」


(ロック)「分かった」



 ロックの洗脳は無事に解けた。そして、ようやくレオンとの戦闘に戻れそうだと思ったら、ルーが私の真横に飛んできた。


 どうやら、爆発に巻き込まれたらしい。しかし、ルーがピクリとも動かない。体を揺すっても、反応がない。



(ルーナ)「ルー……?もしかして……?」



 私は、ルーの背中にそっと手を置いた。念の為に手首も触ってみる。



(ルーナ)「……どっちも動いてない……」



 ルーはレオンの戦闘で、限界だったらしい。私は、涙が抑えられなかった。

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