第14話 氷の妖精


 月兎ゲツトが住人になった翌日。この日は、森に入っていた。森の1部が季節でもないのに雪が積もっている。


 その雪が積もった場所をめがけて歩んだ。そして、目的地に着いた時、私は驚いた。人が倒れていた。



(ルーナ)「大丈夫ですか?」


(???)「うう……」



 これは本格的に大丈夫かどうか気になり、美海みうちゃんを呼ぶことにしようとした時、ぐうーという音が彼のお腹から鳴った。



(ルーナ)「……食べ物が欲しいだけ?」



 私のお昼ご飯のサンドウィッチを彼の目の前に置いた。そしたら、目に見えないスピードで、サンドウィッチが無くなった。もう食べたのかと思ったら、彼の手にサンドウィッチがあった。



(ルーナ)「食べなよ」


(???)「あんたの分はいいのか?」


(ルーナ)「遠慮しなくていいから」


(???)「じゃあ、お言葉に甘えて頂くぞ」


(ルーナ)「どうぞ」



 彼はよっぽどお腹が空いていたようで、3個あったサンドウィッチをペロリと平らげた。


 そして、彼がなぜここにいるのか、なぜ雪が降っているのかを聞くために会話をした。



(ルーナ)「私はルーナ。この世界の住人よ」


(???)「俺は雪人セツト。氷のフェアリエル族だよ」


(ルーナ)「あー、やっぱり」



 フェアリエル族とは、妖精の仲間だ。ちなみに、うみと美海ちゃんは本人達から聞いたがルーンフェアリー族だ。


 海と美海ちゃんのルーンフェアリー族は戦いと回復両方できるけれど、フェアリエル族は妖精の中で主に戦闘を得意とする。


 そのフェアリエル族だが、魔法を使って攻撃する事をする妖精が少ない。大体が物理的に殴って解決するタイプの妖精だ。



(ルーナ)「雪人セツト、あなたなんでここに?どうやって来れたの?」


(雪人)「俺は世界渡りの許可を貰っているから、ツアーで来たわけではない。色々な世界を巡っていたんだ。ただ、5日前から飯を食べていなくてな」


(ルーナ)「そんなに前から?なんで、食べなかったの?」


(雪人)「食べ物が買う時間が惜しくて」


(ルーナ)「雪が降っているのは?」


(雪人)「俺がピンチな時に勝手に降るんだ」


(ルーナ)「もしかしてあなた、ピンチになる前までに何かあったの?」


(雪人)「妹がいなくなったんだ。亡くなってはいないがもう1ヶ月も帰ってきていない」


(ルーナ)「それは確かに、心配するわね。てことは、約1ヶ月も旅を続けているの?」


(雪人)「そうなるな」



 雪人は、妹を探しにここまで来たらしい。



(ルーナ)「じゃあ、探すの手伝うわよ」


(雪人)「ありがとう」


(ルーナ)「でも、情報が集まってからね」


(雪人)「ああ、それでもいい」



 こうして、金髪に緑色っぽい青の瞳をしたフェアリエル族は、リーヴェルシュタールに住み始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る