第12話 操られた敵


 その朝は今思えば、空気が変だった。そして、朝だと言うのに空が暗く見えた。さすがに異常事態だろう。そう思って、外に出た。


 そしたら、暗い空だけでなく月が出てた。ただ、空がオレンジがかって見えなければ、月が見えなかった。その月は黒かったからだ。


 さらに、その月から敵意を感じ取った。ただの月ではないようだ。


 私は、遠隔操作ができるナイフを投げ飛ばした後に手で操作して、月に命中させた。すると、その月はぐにゃぐにゃし始めた。



(???)「なかなかやるな。俺を見破れるとは」


(ルーナ)「……何の用?」


(???)「俺はボスからの命令で動いている。その命令の内容は、『ルーナ』を仲間にしろとの事だ」


(ルーナ)「その人が仲間になるとは限らないよ。まぁ最も、あなたが今されているような状態になるんだろうけど」



 そう。敵の青年は、色濃く操られていた。もう、身体の本来の色が分からない程白黒だった。


 腕が病人の様に白く、その腕にちらほら黒の渦の模様が見える。あれは、長期間操られている。多分、解除が上手なパシファティがないと後遺症が残る。



(???)「だから、どうした?」


(ルーナ)「ここであなたの目論みを無くしてあげる」


(???)「魅力的に感じないとは、残念だ。お前がルーナと言う事は、情報をもらっているから分かっている。だから、無理やりついていかせる」


(ルーナ)「!」



 青年は、周りに黒い水を出現させたかと思うと、私に向ける方をナイフの様に尖らせた。それが勢いよく飛んでくる。


 私は、私の前の空間を避けさせ、青年の後ろの空間と繋げた。すると、勢いよく、青年の後ろに水のナイフが1本刺さった。


 さらに私は、空間を経由させた時にホーミング式の私のナイフを数本追加した。1本刺さっただけで、青年が感づいてしまい、残りのナイフは水に戻ってしまったが、ホーミング式のナイフは次々と刺さる。


 三本刺さった時に、ようやく私の攻撃だと言う事に気づいて、距離を離すために上に逃げたが、私が上から槍を降らせた。


 青年は、すぐに気づいてしまい、すんでの所で槍を避けた。さらに、槍とホーミング式のナイフをぶつける様に避けたので、2種類とも、地面に落ちた。


(???)「小賢しい真似をしたな。しかし、種が分かればこっちのもの」


(ルーナ)「それは、どうかな?」



 私は、予め、逃げる方向を予測し、逃げた方向は、私の予想通りだった。私は、青年が入って来た所を空間の裂け目で閉じ、予め用意していた、空間の裂け目を


 そこからは槍とナイフが交互に出てくる。槍とナイフの進行方向には空間の裂け目があり、出たらまた別の裂け目から槍とナイフが出てくる仕様だ。これを避けるのは至難の業だ。


 そして、青年は、最初は避けられていたが、槍とナイフの数が増え、動きが不規則になるにつれて、段々と避けられなくなり、攻撃が当たることが多くなった。


 そして、後少しで、洗脳が薄れるところまでいきそうだった。そこで、フードを被った謎の人物が、青年の周りの私のパシファティが全て消し去られた。



(???)「レオン、帰りますよ」



 私は、フードの人物に呆気を取られて青年、レオンを逃してしまった。しかし、帰ったおかげで、空は元に戻った。


 私は、レオンと言う名を心に刻むことにした。彼とは、今後も戦うかもしれないから。

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