第10話 みんなのパシファティ(中)


「はいじゃあ次は、シアね」


「はーい」



 シアも美海ちゃんと同じで回復能力だった。種族的に考えて出やすいから仕方ない。


 まあ、その代わり、回復は美海ちゃんに劣るけど。



「こんなものかしら?」


「じゃあ、次ノーア」


「はい」



 ノーアは、『闇を操りし者』だった。なんか、文面だけを見るなら、特定の時期に発生する現象みたいになっているが、普通に危険な術もあるから用心しないといけない。



「種族的には、妥当でしょうか?」


「だね。次は、怜奈れいなね」


「うん」



 怜奈は、『結界を曲げられし者』だった。怜奈の種族的にかなり珍しい。このパシファティは、『結界を張りし者』、『結界を奪いし者』と呼ばれる物の1つだが、それらの上位互換だ。


『結界を張りし者』は、結界を張る事ができる。それだけだ。『結界を奪いし者』は、別の人の結界を奪える。だから、自分で張れない。


 しかし、両方兼ね備えているパシファティが、『結界を曲げられし者』。しかもこれ、結界の上書きができたり、結界を張った後で結界の能力を変えられる。結界を使える人達の中でも、かなり強力だ。だから、1つの世界に数人しかいない。



「すごいわね」


「だね。次は、まいだよ」


「分かりましたわ」



 舞は、『星を使いし者』だった。これは、字の通りで、説明する事は何一つない。舞の種族的に珍しい。



「すごいですわ、私」


「そうだね。次は、さくら行こっか」


「分かりました」



 桜は、『攻撃を躱す者』だった。常時発動するパシファティで、想像通りの事が起きる。ただ、悪意がなければ攻撃が当たる。桜の種族的に珍しくない。



「うーん、もっと実用性ある方が良かったかな?」


「戦闘面では、役にたちそう。次は、恋華れんかね」


「はーい」



 恋華は、『力が上がりし者』だった。これは発動中、攻撃力が上がる。ちなみに、攻撃力が下がる能力もあるけど、その効果を受け付けなくなる。恋華の種族的に珍しい。



「うーん、もうちょっと華やかな能力が良かったような?」


「多分難しい。次は、文恵ふみえだよ」


「うん」



 文恵は、『毒霧を操りし者(極)』だった。種族的に珍しくない。極は、珍しいけど。



「やったー!うれしー!」


「良かったねぇ。次は、実里みさとかな」


「はい」



 実里が、水晶に手をかざしたら、不思議な事に、『この能力は、表示できません。能力を書き換えてください』という表示が出た。


 おそらく、何らかの原因で夢を失っているから、パシファティが表示できないのだと思う。だとしても、パシファティを書き換えられるって、すごい。さすが神様の水晶だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る