第10話 大和

3人は広場に行くと、さっきよりも大勢の人が集まっていた。そして、中央の段ボールの上に、さっきのマッチョの人がいた。

「みんな、よく集まってくれた。俺は嬉しい!よく聞いてくれ。俺らは、ずっとここで暮らさなければならないんだ。だが、努力すれば必ず報われる。どうだ?俺たちで、あの悪政の極みに抗議しようぜ」

ざわついている。やはりいきなりこんなこと言われて、日本人がなんの躊躇いもなくOKするとは思えない。

「僕は協力しまぁぁす」

有島は叫びながら手を上げたが、手を上げている人がかなり少ないことに気づくと、少し躊躇った。

「いやぁだって、あの人も苦労してるんだし?ね?ね?ね??????」

結衣と麻法は有島をじっと見た。

「いやそんな見つめられても。ってかお前らも手ぇ上げろ」

2人の腕を掴んで、手を上げさせる。

「やめてよ。ってか脇見えちゃうでしょ!」

「まあ洗濯できんなら別にi「できるよできるよできるよできるよできるよできるよ」

「ほら、小学生ですら、あんなに手を上げてるんだぞ。お前ら大人だろ?まあ子供もいるけど。とにかく、これはみんなの力が必要なんだ」

「協力したいっちゃしたいけど、なんかすぐに負けそう」

「あいつら能力者だし怖いよ」

「君の勇気は十分わかった。けど、相手は強力な力を持っている。難しすぎる」

男は少し黙った。が、すぐに答えた。

「俺らは努力して勝つしかない。見ろ俺の身体ボディーを。これは30年間鍛えて作り上げたものだ」

流石に人々も驚いた。それくらい鍛えられているのだ。

「けど俺ら何もできんぞ」

「できないなら、練習すればいい。俺の名前は高松大和たかまつやまとだ。そこのぼろっちい家に住んでいる。協力してくれる奴は来てほしい」

大和は家に帰った。人々は今の話を考えながら、帰宅した。3人はずっと手を上げたまま、そこに突っ立ってた。

「どうする俺ら」

「私も何もできないけど」

「麻法と僕は魔術使えるけど、結衣はなんもできないでしょ?」

「うん。私もなんかやんなきゃいけないの?」

「そういうことになる。ってかいつ〆切しめきりなんだ?」

疑問に思いながらも、倉庫に帰る。広場には誰もいなくなった。いや、1人だけいた。

「今の声、もしかして」

栩義だ。彼もここに連れてこられたのだ。

「有島じゃね?」

栩義は康太と共に、スラムを彷徨っていたようだ。

「康太、今の声有島だよな?」

コクンと康太は頷いた。

「行ってみよう」

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