第3話 呪文

「いいか、よく聞けよ。死にかけの人間の枕元と足元には死神がいるんだ。何故2つは違うのかって?今話すから少し落ち着け。

 この2つの違いはだな、枕元にいる場合は助からない。どうやってもだ。足元にいる場合は助かる。ただしやらなくてはいけない事がある。死神が足元にいる事を確認したら、

『アジャラカモクレンテケレッツのパァ!』

 と叫び、手を2回叩け。そして死神がすうっと消えればじきにその人は良くなる。と、こういう訳だ。簡単だろう。」

 そう死神は言った。男は信じられなかった。そんなことで人が助かるなんて。死神は

「ただし2つほど注意点がある。1つは人には絶対言ってはいけないこと、もう一つは決してお金に目が眩んではいけないことだ。いいな、絶対守れよ。

 それじゃ、わしは仕事があるからここまでだ。気をつけろよ。」

 そう言い残してすうっと消えてしまった。


 男が気がつくと自分の布団の中だった。昨晩の出来事は夢だったのか、そう思ったが手の中には死神から教わった事が書かれたメモが握られていた。男が現実にあったことと気づくのに数秒かかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る