第8話 やってしまった事 サユ目線

サトル「…….王子様?」


私はサトル君に抱き抱えられながら

怒りを露わにしているのを見る

既に何人かの女子はサトル君に殴られているが、それについては何にも思わない


女クラスメイト「ええ、私の王子様…….貴方のご友人の事ですわよ?」


口調がお嬢様風になる


女クラスメイト「王子様に相応しいのは私のような可愛いお姫様、だから私は相応しいように努力したわ」


サユ(この子が時折口調が変わるのは、それを意識していたからなのね……)


好きな人の為に努力をする、それは素晴らしい事だ、私だってそんなことは出来ない………..けど


女クラスメイト「なのに貴女は私よりも先に王子様に告白されながら断って悲しませるなんて、あり得ませんわ」


だからと言ってs………


サトル「だからと言って、なんでそんな事をする権利があるんだ?」


私が何かを思う前にサトル君が答える


女クラスメイト「ありますわ?」


サトル「は?」


女クラスメイト「私は王子様の"代わり"ですもの、王子様ができないのを私がやって差し上げているのよ?」


全くもって理解出来ない、それに便乗する周りの女子も、どう言うことか説明してほしい


サトル「なんでお前が代わりにやるんだ?」


女クラスメイト「ですから、私は王子様の気持ちを知っていますので、私がその気持ちを実現させていますの?お分かり?」


サトル「…………ここまで酷いことをあいつが望んでいたと?」


女クラスメイト「ええ、そう言うことですわ」


サトル「サユは嫌がっているぞ?」


女クラスメイト「罰ですもの仕方ないですわ」


サトル「やめるつもりはないんだな?」


女クラスメイト「当たり前ですわ、馬鹿は言葉じゃ通じませんもの」


サトル君はその言葉を聞くと、小さな声で、”そうか”と一言だけ言って


サトル「……….わかったよ」


拳を強く握りしめて


女クラスメイト「あら?やっと理解しましたのね?でしたらさっ…….」


サトル「てめーらが言葉の通じない猿だってことがな」


女クラスメイトにパンチをお見舞いした

バキッとと言う音と共に倒れ込む


女子3「あんた…….女の子を殴るなんて最低よ!」


女子4「そうよ!そうよ!先生に言いつけてやるんだから!」


そう言って彼女に近づいた次の瞬間


サトル「……….だから?」


女子3「ゴフッ!?」ゴスッ


女子4「ガハァ!?」バキッ


先程他の女子達にやったようにサトル君はまた殴る


他の女子達はサトル君に恐怖して走って逃げる、サトル君はその子達を睨みつけながら倒れている主犯格の女子達に目を向ける


サトル「お前達は言ったよな?………馬鹿は言葉じゃ通じないと?」


サユ「………….サトル君?」


サトル「だから…………」


女クラスメイト「ゴハァ!?」ドン!


倒れていた彼女の腹を踏み潰す


サユ「サトル君!?」ビクッ


サトル「………だから痛みや恐怖で覚えさせてあげるよ?」


そう言うと女クラスメイトに蹴りを何十発も蹴りを入れる


サトル「お前もサユにバレないようにやったんだろ?だったらやり返されても文句は言えないよな?」


女クラスメイト「ガハァ…….やめ……やめ…….ゴフゥッ!?」


サトル君が蹴っているとおしっこの匂いがするようになり、よーく見ると


女クラスメイト「あ……ああ……ああああああ/////」ジョワァァァァ………


…………おしっこを漏らしていた


サトル「…….まず1人」ギロッ


女子1「……..ッ」


女子2「こ…….ゴホッ」


女子3「ハァハァハァハァ………..」


女子4「い……いや…..」


サトル「お前達が招いた種だ……覚悟しろ」


——————————————————————

それから私は彼女達が蹂躙されているのを眺めていた

止める気にはなれなかった


寧ろもっとやれ、ざまぁみろ、と言う気持ちが殆どだ


どれくらい経ったのだろうか、彼女達はおしっこや……後ろの方のとかの匂いが充満し

とても臭い


彼女達が動けなくなるまでやったサトル君は

蹴るのをやめて、その場を去る


サユ「あ…..待ってサトル君!」


私は倒れている彼女達を無視して彼を追いかける


サトル「…………..」


サユ「サトル君!」


サトル「……..サユ…」


サトル君に追いついて話しかける

サトル君は立ち止まって私の方を向く


サユ「あの…….ありがとう、助けてくれて」


サトル「……..いいよ別にどうせ明日、あいつらの親や先生に怒られるだけだから」


怒られるだけって、相当な暴力をしたのに?

そう思っているとサトル君は私の体を指さす


サユ「え?」


サトル「お前を守る為に仕方なくやったと言えば、なんとかなる……あざ、酷いんだろ?」


そう言って服で隠れている所に指を挿す

どうやら気づかれていたようだ


サユ「…….でも」


それでも、彼はやりすぎだ、下手すれば彼女達は病院送りとなる、そうなった場合お金の負担は彼の親になる……..


サトル「いいよ、怒られるのは全部俺だ、お前には関係ないよ」


そう言って頭を撫でて来る


サユ「………サトル君、なんで私の事を助けてくれたの?」


助けてくれたことは嬉しいが、そもそも私を助けてくれた理由が知りたい


サトル「………まぁ一応幼なじみだしな、今は違うけど、小さい頃は一緒にいたしな」


サユ「……….そっか」


今はまだ、それだけでいい、これをきっかけに彼とまた少しずつ仲良くなれたらそれでいい


きっと……いや必ず明日はこの事が大問題になる、そうなった時、彼女達が黙っている訳がない、そうなった場合、必ず私も呼ばれる


そうすれば、私が証拠となる

体のあざは至る所にある、それを理由にすれば…….


——————————————————————

~サユとサトルの自宅前~


サトル「じゃあ、俺はこれで」


そう言ってサトル君は家の中に入ろうとする


サユ「あ、待って」


が、それを私が止める


サトル「……..何?」


サユ「あ…..いや….その……」


たった一言を言いたいのに緊張して言えない

しかし、ここで言わなければきっと後悔する深呼吸して勇気を持って言う


サユ「………ま…..また……」


サトル「また明日」


サユ「…….え?」


今……なんて言ったの?

………また明日?


サトル「なんだよ?嫌か?」


少し不機嫌そうにこちらを見る

そんな訳ない!とっても嬉しい


サユ「ううん!また明日!」


小学生になって初めて誘われた

とても嬉しい!!

そう言って私は家の中に入る


サユ「ただいま」


サユママ「おかえりー」


私はいつも通りに玄関で靴を脱いでいると

ママが後ろからやってきて、話しかけてきた


サユママ「あら?」


サユ「何?ママ?」


ママが驚きながらこちらを見る


サユママ「サユ、なんか変わった?」


サユ「?」


変わった?何が?

そう思って私が声をかけると

ママは笑顔で答える


サユママ「だって貴女、笑ってるわよ?」


サユ「え?」


そう言われて顔を触る

自分自身ではわからないが、どうやら笑っているようだ


サユママ「最近、サユ全然笑ってなかったから、どうかしたのかな?って思ってたけど、よかったわ」


サユ「……..私笑ってなかったんだ」


いじめを受けていたから全然気づかなかったけど、全然笑えていなかったらしい

多分今回笑えるのは、サトル君のお陰だろう


明日からは大変な事が続くと思うけど、

サトル君と一緒ならなんとかなる



………そんな気がする


——————————————————————

次の日、私とサトル君、私をいじめていた子達と両親達、そして先生が集まることになり、今回のいじめの件を話し合う事になった



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