第4話 悲しき変化 サユ目線
ある日の朝、私はいつも通り1人で学校に登校していた
サユ(はあ…….いつになったらサトル君とまた一緒にいられるのかなぁ)
あの後もサトル君に声をかけても失敗に続き、そろそろ私の心も限界だった
そんな事を考えながら歩き、校舎の中に入り自分の下駄箱に靴を入れようとすると
サユ「?」
何か紙のような物が入っていた
差出人は不明だが私の中に入っていたのだ確認はするべきだろう
そう思った私はまず周りを確認する
こういう時いたずらの可能性もあるため誰かが隠れて見ていないか確認する
呼吸音も聞こえないし周りには誰もいない
もし誰かいるのなら、クスクス笑いを堪える声が聞こえるはずだ。
それがないと言うことはこれは本物だろう
サユ(そもそも私にそんな事をする人がいないけど、)
それを言ったら意味がないので黙っておく
他の人が来る前に確認しておきたいので手紙を読む
内容はこうだ
サユちゃんへ—
サユちゃん、俺は君の事が好きです、でもそれが恥ずかしくて言えません。
でも、男としてやらなければならないと思うので、放課後、学校の屋上に来てください
待っています
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サユ(……………..)
手紙の内容を読んで、私は本当に行こうか迷った
そもそもの話、私は告白をされた事がない
というか、サトル君以外で男の子と話すと言うのがほぼないため、サトル君以外でこのような事になるのが一番の驚きだ
サユ(…………..行くべきなのかな?)
手紙の内容的にこれはサトル君ではなく他の男の子だ、そもそもサトル君は"俺"ではなく"僕"と言うし、字も違う、それにサトル君ならそんな事をしなくても家が隣なのだから恥ずかしいなら家に呼べばいい
ガヤガヤガヤガヤ
どうやら他の人達も来ているようだ
このままだとめんどくさい事になりそうなので、手紙をランドセルの中に入れて教室に向かう
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放課後
この後特に何事もなく時間が進み、とうとう約束の時間となってしまった
辺りを見回すと特にこれと言った変化はなく皆んな和気藹々(わきあいあい)と話している
サユ(このクラスではないのかな?)
もしくはいたずらのターゲットになってしまったかはわからないが、取り敢えず向かう事にしよう
サトル「…………………..」
学校の屋上は基本的に立ち入り禁止な学校が多いが、私の学校は特にそう言った事もなく普通に使えている
ママ達にその事を言うと
「危ないから屋上に行ってはダメよ?」
と注意された、何故かはわからないが逆らう理由もないので今までは言う事を聞いていたが、今回はそう言うわけにはいかないので、親の言いつけを破り、屋上への階段を上る
上るにつれて人の声も聞こえなくなり、屋上に着いた
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生まれて初めて屋上に来た気分は、最高だった。
辺り一面を眺める事ができ、下校中の学生や車の通り、他の人達の姿も見れてまさに絶景だった
サユ「……….綺麗」
呼び出されている事をすっかりと忘れてしまい、辺り一面を見回す
そんな事をしているとガチャと音が聞こえ
振り向くと1人の男の子がいた
サユ「…………あ」
今思い出して、いきなり緊張しだした
心臓がバクバクしていて、呼吸も少し辛い
そんな中現れた男の子は、確か同じクラスの子だったと思う
友達「……….来て…….くれたんだね……..」
彼も緊張しているのか、言葉が途切れ途切れだ
それでも彼は勇気を振り絞って言う
友達「好きです!俺と付き合ってください!」
とても大きな声でそう言った目の前の男の子は頭を下げて手を伸ばす
普通の人ならばこれに答えるのだろうか?
そう思い、こちらこそよろしくお願いします
と答えようとしたが、不意に頭に彼がよぎった
サユ(なんでこんな時に彼のことを思うの?)
そう不思議に思ったが、目の前の男の子を見て確信する
サユ(ああ、そっか、私………….)
サユ「ごめんなさい」
サトル君の事が好きなんだ
友達「え」
断られると思わなかったのだろう、変な声で答える
サユ「私、君の事を全然知らないし、そもそも異性として見てないから」
正直に答える、すると目の前の男の子は見る見る顔を真っ赤にして
友達「………ヒグッエグッ…….」グスッ
突然泣き始め、後ろに振り向き、そのまま走って屋上から去って行った
サユ「……………….」
あの手紙がいたずらではなく、本当に自分の事が好きな人が告白するために書いたのだと思うと嬉しさもあったが、自分と全く面識の無い人に告白されても全然ときめかなかった
勿論告白されたことは嬉しかったが、それとこれとは話が別だ
サユ「…………..帰ろう」
取り敢えずここにいても意味がないので
自分も帰る事にした
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~翌日~
クラスに入ると、雰囲気がいつもと違った
なんか刺々しいと言うか何というか
そんな事を思いながら席に着こうとすると
今まで一度も話したことのない女の子が目の前に現れる
女クラスメイト「貴女、ちょっといいかしら?」
サユ「………..え?私?」
女クラスメイト「貴女以外に誰がいるの?」
目の前で話しているのだ、私しかいないだろう、しかしいきなり話しかけられたら誰だって戸惑うし、そもそも同じクラスになったてから一回も話した事がない人に声をかけられたのだ、戸惑うに決まっている
サユ「いや……….いないけど」
女クラスメイト「でしょ?」
サユ「それで、私に何か用なの?」
女クラスメイト「ああ、そうですわね、放課後、屋上にいらっしゃい、大切な話があるの」
私が質問すると彼女は用件だけ言って
その場から離れる、周囲の反応を見ると
どうやらこの原因は彼女と元凶元は私のようだ
サユ(私が何をしたっていうのよ)
私はクラスで目立ったことなんてないし
ああいう風な女子と話した事もない
サユ(兎に角、また行くしかないかぁ)
何で呼ばれているのかも気になるし、取り敢えずまた行く事にする
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~屋上~
女クラスメイト「あら?ちゃんと来たわね?」
サユ「そりゃあ、呼ばれたからね」
初対面…….とまではいかないが殆ど面識がない人にあの態度はないだろう
しかし口には出来ない、何故なら彼女の他に複数人のクラスメイト(女)がいたからだ
女クラスメイト「貴女、王子様を泣かせたでしょ?」
サユ「………王子様?」
訳がわからない、て言うか誰?
女クラスメイト「知らないなんて言わせないわよ?貴女、昨日告白されたじゃないの?」
サユ「………..ああ」
昨日の男の子か、しかし何故王子様?
そんな風に不思議に思っていると
彼女が話しかけてくる
女クラスメイト「それで、なんで王子様を振ったの?」
サユ「いや、だって私あの子と話した事もないし、そもそも………..」
好きな人がいるしと言おうとしたが恥ずかしくて言えない、しかしそんな姿が気に入らないのか バチン と頬を叩かれる
サユ「…………え?」
女クラスメイト「ふざけるな……..」
女クラスメイト「ふざけるなよ!このブス!」
サユ「え?え?え?」
あまりにも唐突に叫ぶので戸惑う
しかし、彼女が何故ここまで怒るのかがすぐにわかる
女クラスメイト「私は彼が好きだったの!ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと前から好きだったの!なのに貴女はそんな彼に告白されたのにも関わらず、断るなんて!………絶対に許さない!」
そう捲(まく)し立てると彼女は
怒りの表情から、笑みに変わり周りの女子を呼んで私を囲む
そして一言
女クラスメイト「明日から楽しんでね?」
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続く
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