第09話「少年と侵入者(2)」

「フェイ何この気配、初めて感じる」


「……」


 フェアリーのフェイはボクの前を飛びながら何も答えない、この気配を感じた瞬間フェイが一瞬笑顔になりそして疑問の顔をし、その顔が怒りに変わるのをボクは見た。


 ボクもその気配から何か悪意のようなものを感じたが、でもボクにはそれがなんなのかわかっていなかった。



***



「フェイあれ何?」



「人間よ、黒いのが一、二、三、四、五、白いのが一、白いのは指揮官クラス? 重武装のヘビーアーマーが馬に乗って六騎も? 何故こんなところに、何か話してる?」


「フェイあれが人間なの? 巨人の間違いじゃ?」


 ボクはボクより一回りは大きいヒト型のヨロイに驚いた。


「なに言ってんのヒロ、あんたがチビなだけよ!」


「……ボクはチビなの?」


「ヒロ知らなかったの? たまに人間の残した剣やらヨロイやら拾うでしょ?」


「ボク、フェイよりホムラより大きいのに?」


「あれが人間の大人、あんたは子供なの、ちなみにホムラもサラマンダーの子供だからあんたよりでかくなるわ」


「ウソ……、ボクはチビだったんだ……。」


 ボクは悲しくなった、ボクがチビだったなんて……。



 森の木陰でささやくボクらの声はヨロイの人間達にまだ気づかれてはいない。



***



「まあボクだって大人になれば大きくなるか」


「そうだといいわね、ヒロ」


「なにさフェイ?」


「何でもない」


 よく見るとヨロイの人間は何かを探してるように見える、しきりに回りを見渡し指を指し何かを話してる。


「馬から降りた、森の奥に入るつもりだ」


「確かに目的があれなら馬では近づけないわ……」


「ねえフェイ、言葉が通じるかな?」


「え? ヒロ何を言ってるの?」


 ボクは人間が話してるのを見て彼らと話す事が出来るかもと考えていた、いや単純に同じ人間と話をしたいという衝動にかられていた。


「人間なら人間語が通じるよねフェイ」


「ヒロ?」


「だから話が出来るって事でしょ?」


「ヒロあんた?!」


 ボクに向けられたフェイの表情はまるで知らない人をみるようだった、それは自分とは違う何かに向けられた表情だった、そしてそれはボクはの無知が原因だとすぐにわかった。


「じゃフェイ、ちょっと行ってくる、フェイはここいて、同じ人間どうしの方が話やすいかも知れないから」


「ちょっ、ちょっと待ちなさいヒロ!!」


 ボクは止めるフェイを置き去りにしてヨロイの前に出て行った。



***



「やあ、君たちは誰だい? ボクはこの森に住んでる人間、そうだとも君たちと同じ人間だ、君たちは何しにここに来たんだい? ボクがみる限りじゃ何かを探してるように見えたんだけど、同じ人間どうし協力してもいいよ、君たち名前は? 人間には名前があるだろ? ちなみにボクの名前はヒロ、お母さんが付けてくれた大切な大切な名前なんだ、素敵な名前だろ? ボクも気に入ってるんだ」


 ボクは初めての人間との話にドキドキでずいぶんとお喋りだったと思う、でも彼らにはそんなボク言葉は通じなかった、それどころかボクが話し始めるとヨロイの人間達は何か訳のわからない音を奏で、あるものは剣を抜き、あるものは穴の空いた棒をこちらに向けた。


「あんた達は何者、何しに来たの?」


「フェイ?」


 フェイがボクとヨロイの彼らの間に割って入り彼らとボクのあいだで手足を大きく開きボクに近づくなと威嚇した、フェイもボクと同じく人間の言葉で話すが通じない様子だった。


「え? 何? 科学帝国軍?? 魔法使いの言葉は悪魔の言葉???」


 白いヨロイが何かを話している?


「違うヒロは魔法使いじゃない! ただの子供よ!!」


 フェイには白いヨロイの言葉がわかる?


「悪魔の言葉を使う者? どう言う事? 日本語は魔法王が定めた人間の標準言語よ!!」


「魔法王が悪魔の使い? 科学者をしいたげた??」


「違う!! 火薬を禁止したのは人間の争いが大量虐殺を生まない為よ」


「違う違う!! 魔法使いを特権階級にする為なんかじゃないわ!!」


「ダメ!! 撃たないで!! ヒロはただの子供よ!!」


 ボクはフェイとヨロイの彼らの様子を見て理解した、言葉の種類が違うんだ、フェイと白いヨロイは違う種類の言葉で話してる、ボクは彼らとは違う言葉を使ってる、確かにフェイが教えてくれた、魔法王が国を作る前はたくさんの言葉があったって。


「ん? 撃つ? 撃つってなんだっけ??」


「ヒロよけて!! 鉄砲よ!!!!」


 その瞬間ボクは胸は大きな衝撃を受けた、ボクが自分の胸を見ると大きな穴が空いていて血がドバドバと溢れかえっていた。


「フェイ、ボクの心臓に穴がいてる?」


「フェイ……逃げて……」


 ボクは目の前が真っ暗になってその場に倒れた。



「ヒロ! ヒロ! ヒロ! ヒロ! ヒロ! ヒローーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

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