第02話「少年と森の恵み」
「あっ、ドラゴンフルーツだ!!」
トラゴンフルーツとはこの森で一番美味しいフルーツだ、それはドラゴンですらそのフルーツの前ではかしづく美味しさとと言われるあまり目にしないフルーツだった。
「やったじゃないヒロ、早く
「待って待ってフェイ、慎重に剥がさないと何度も叩くと中で身が柔らかくなっちゃう」
ドラゴンフルーツは外観もその名にふさわしく硬い鱗のような革におおわれていてこの人間の落とし物、鋼のナタで何度も叩き革を剥がすのだが叩けば叩くほどを中の身か崩れジュクジュクになってしまうのだ。
「なにいってるのヒロ、それが美味しいんじゃないガンガン叩きなさい!!」
「えーやだよ、ボクはまだまだ硬いドラゴンフルーツの繊維を歯でむしって食べるのが好きなんだ」
「ダメよそんなの、それじゃ甘くならないじゃない、それにそんな食べ方してたら歯が折れちゃうでしょ!!」
「確かに叩けば叩くほど甘くなるけどベチャベチャしてるの食べると口の回りがベタベタなっちゃうし繊維が残ってる少し酸っぱいのがボクは好きなんだよ」
ドラゴンフルーツを見つけると何時もこれだ、人間のボクとフェアリーのフェイの味覚は結構違ってて、フェイはとりあえず甘いを最高だと考えている。
「い・い・か・ら、叩きなさい!!」
フェイが肩に乗りボクの耳を引っ張る。
「わかった! わかったよフェイ!!」
ボクは顔を振りフェイを払いのける。
「わかればいいのよ♪」
フェイは飛びながらボクの鼻を人差し指でピンとはたき、そのままボクの頭の上にのってあぐらをかいた。
「全く、ドラゴンフルーツの鱗革はボクじゃ無いと剥がせないのに、ホントにフェイは偉そうなんだから」
「何ヒロ? 文句あるの?」
「いえ、ありません……」
ボクはブツブツ言いながら腰のベルトにさした鋼のナタをサヤから抜いてその刃とその背で交互に叩いてドラゴンフルーツの実を取り出していった。
「早く早く」
「むけたよフェイ」
「早く私の分を切ってちょうだい」
「わかった」
ボクは鋼のナタの刃の部分を手の中で持って、ドラゴンフルーツの真っ赤な実を横から半分まで通し更に縦に四分の一の切り込みを入れ八分の一の実をフェイに渡した。
「これよこれよ、美味しいじゃない美味しいいじゃない、やっぱりドラゴンフルーツは叩いて叩いて甘くしないとね♪♪」
フェイはその胴体より大きな八分の一のドラゴンフルーツの実を一心不乱に食べた、もうその目には他は映らずただ美味しいドラゴンフルーツの事だけを考えている有り様だった。
「でもやっぱりボク少し酸味がほしいんだけどな」
ボクは少しかけたドラゴンフルーツをシャクリジュルリと口に頬張った。
「うん、やっぱりドラゴンフルーツは最高に美味しいねフェイ」
「でしょ♪♪」
結局のところ美味しい物は美味しいのだった、この森はいいところだ。
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