第4話 三つ目の目的地、大阪

 東京から新幹線に乗って約二時間半、大阪に到着した。

 大阪は東京とは違う賑わいを感じた。

 東京ではビジネスとゆう感じだったが大阪は人と人との交流が多く感じられた。

「天下の台所は商業に関して違うね」

「大阪に来たからにはたこ焼き食べたいです」

二人が話す後ろで考えるべきことが増えた俺は頭を悩ませていた。

「人に迷惑をかける事とはどういうことか」

「成績にこだわりすぎないこと」

 北海道と東京で言われたこの二つの意味が今もまるで分らなかった。

 この二つは俺が自殺しようとした原因だ。

 人に迷惑をかけないようにしてきたから。成績にこだわり続けてきたから。

 この意味が分かったして俺にはなんの意味があるのだろうか。

 一人そう考えているといつの間にか二人が居なくなっていた。

 一人で考え集中しすぎたせいもありこの人込みだ。

 注意していなければ考えていなくてもはぐれてしまいかねない。

 俺は二人に連絡しようとしたが連日使われていなかった携帯のバッテリーはなかった。

 どうしよかと悩んでいた俺はとりあえず昼ご飯を食べることにした。

 近くにちょうどたこ焼き屋があったので俺はそこでたこ焼きを食べてから動くことにした。

店に入ると一人の店員が大きな声で

「いらっしゃいませ」

と、言ってきた。

俺は注文を見て

「ソースたこ焼きを一つ下さい」

と、言った。

「少々お待ちください」

そう言ってたこ焼きを焼き始めた。

 俺は焼き上がりを待つ間、さっきのことを考えていると

「お客さん、なんか悩みを持ってますね」

と、たこ焼きを焼いている店員が焼きながら俺を見て言ってきた。

「なんでわかるんですか」

と、俺は驚いた。

「いやあ僕昔からそういう勘が強くてですね。僕にできることは聞くくらいですけど良ければ聞きますよ」

 僕は話すか迷ったが自分一人では考え続けても意味がないと思い話すことにした。

 話し終えた頃、ちょうどたこ焼きが焼き上がり食べながら話していた。

「強制的に連れられた旅で人に迷惑をかける意味と成績にこだわりすぎないことの意味を見つけろですか。僕の経験ですがその答えは人と関わり人を知ればおのずと答えは出てくると思いますよ」

この答えも意味が分からなかった。

「どういうことですか。人と関わるなら今まで学校なんかで散々してきましたよ」

「学生の内はわからないことです。これに学生のうちに気が付けたら相当優秀だと思います。だからこそ学ぶために関わるべきは年の離れた人です。大人になって気づいて今までを後悔する人って結構いますから。どれだけ勉強できても気づけない人は気づけません。でもその答えは意外と近くにあったりするものです。その答えを見つけるために君はまず人のために頑張るということをしてみるといいかもしれませんね」

 最後に「頑張ってください」と、そう言って店員は店の作業に戻っていった。

 俺は「ごちそうさまでした」と、一言言って店を出た。

 俺は大阪をしばらく一人で歩き回っていた。

「答えは意外と近くにある」

その答えが何なのか俺には見当もつかない。

 そもそもこれに答えはあるのだろうかと、そう思えてしまう。

 しばらく歩くと公園がありそこで休むことにした。

 休んでいると一人のおばあさんが大きめの荷物を持って歩いていた。

 大変そうにしていたので俺は声をかけた

「だいじょうぶですか」

俺が聞くと

「ああ、すみません少し手伝ってもらえませんか」

と、おばあさんはこたえた。

 俺はおばあさんの荷物を持って家まで送り届けた。

「すみませんね、わざわざ荷物持ってもらって。迷惑だったでしょう」

「いえいえ迷惑だなんてそんな」

その発言で俺ははっとした。

 おばあさんと別れるとさっきの公園に戻り

「人に迷惑をかけるとって人の捉え方次第なのかもしれないな」

「人に迷惑をかけるとは相手の邪魔になることをすること」

それが俺の結論となった。

 そして俺は確かに答えは近くにあったなと、そう思えた。

 人に迷惑になるからと今まで人を見ようとしてこなかった俺。

 もし自殺しようとする前、人を見ていれば気づけていたことだった。

 きっと俺が迷惑だと思っていたことも手伝ってくれていた人は嫌な顔はしていなかっただろう。

 俺がさっきおばあさんを助けた時、笑っていたように。

 一つの謎が解けた俺は今までの俺を笑うように笑っていた。

 俺は走り出した。 

 二人と合流するためにはぐれた場所に戻って来た。

 二人も俺を探してちょうどこの場所に戻ってきた。

「もお心配したよ。これだけの人なんだから気を付けてよ」

「すまん。考え事してたらはぐれてた」

合流して話していると彼女が

「あれ、なんか雰囲気変わった」

と、聞いてきた。

「そうかもな。ちょっとだけわかったことがあったからな」

そう言うと彼女は

「ならもう心配はないね」

と、笑っていた。

後から来た針川さんも俺を見て

「随分変わったな。これはこの旅の意味がわかったかな」

そう微笑んでいた。

 俺はこの旅で初めて自分から行きたいところを提案した。

「今から遊園地行きませんか」

「そうだな、行こうか」

「私も行きたい」

そう言って三人は遊園地に向けて歩いて行った。

 遊園地を閉演まで楽しんだ俺たちはホテルで一晩過ごし次の日、あるたこ焼き屋に向かった。

 針川さんに連れられ

「すみません」

と、入っていった。

 そこは昨日俺が訪れたたこ焼き屋だった。

「いらっしゃいってあれ昨日の少年じゃん。ずいぶんと変わったみたいだけどなにかあったのかい」

「ええ、昨日あなたにアドバイスをもらった後に答えが見つかったんです」

「そうかい、それは良かった」

俺が店員と話していると針川さんが

「あれ二人知ってるの」

と、驚いていた。

「ええ、昨日一人の時にこのお店に来てたんです。それでこの人にアドバイスしてもらってから色々あってこの旅の答えが出たんです」

「なら君はもう大丈夫だろう。強く生きるとい良い」

俺は笑って答えることが出来た。

 たこ焼きを買った俺たちは三人で話し合った結果熊本に帰るのを早めることにした。 

 理由はこの旅は俺のために組まれたものだったからだ。

 俺たちは午後の新幹線で大阪を出て熊本に帰った。


 


 


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