第1話 死んで女神に会いました

 アオイが意識を取り戻し、目を開けるとそこは、全てが真っ白な部屋だった。


 部屋の壁も机や家具も花も全てが真っ白でそこが自分の寝室でないことは一目瞭然であった。


「ここ何処だろう?」


「アオイさんお疲れ様でした」


 ここが何処だか考えていると真っ白な服を見に纏った美しい女性がアオイの目の前に現れ、そう言った。


「あの~?貴女は、誰ですか?見覚えがあるような……」


 アオイは、目の前に居る女性に何となくではあったが見覚えがあった。

 神殿にあった女神様の像にそっくりだったからだ。


「その通りです。私は、この世界を管理を任されている神の一人です。

 そして、ここは天界にある私の部屋です」


「やっぱり。ということは、私は死んだのですね」


 さすが異世界だ。死ぬと女神様に会えるんだなと感動した。


「そうですね。あなたは亡くなりました。しかしアオイさん。あなたが今思っていることは間違いですよ」


「!!」


 そう言われてアオイは驚いた。心を読まれたと思ったアオイは、心が読めちゃうなんてさすが女神様だなすごいなと感じた。


「ウフフ。確かに私は人の心が読めますが、アオイさんは顔に出やすいので、あなたの心を読んだわけではないですよ」


 そう言われて、自分の顔をペタペタ触りながら昔から顔を見てれば、何を考えているかわかるとよく言われていたな思い出したアオイであった。


「異世界であっても亡くなったからといって、誰でも神に会えるわけではないのです。特別な者のみが会えるのですよ。

 アオイさんには、関係ないですが悪事を働き、大罪を犯すと悪魔に会うことになりますしね。

 そして犯した罪を転生できるようになるまでインフェルノに落とされ、精算することになります」


(へえ~罪を犯すと神ではなく、悪魔に会うことになるのか。神が居るんだから悪魔も居るよね)


 インフェルノって、確かラテン語で地獄って意味だったよな。異世界にも地獄があるのか。


 そして地獄行きは嫌だけど悪魔にも会ってみたいなとアオイは思った。


 (人から見たら悪だと思っても、決めるのは世界を管理している神様だろうからわからないけど、私たちが倒した魔王とかは、悪魔に会って地獄に落とされたのかな?)


 アオイにとって最も悪と言えば魔王なので、そう思った。


「魔王は悪魔に会いましたが、私にも会いましたし、インフェルノには居ますが、落とされたわけではないですよ」


「??」


 魔王は、インフェルノには居るけど落とされたわけではないと言われて、アオイは意味がわからなかった。


「意味がわからないといった顔をしてますね。

 下界の者たちから迷惑なことですが魔王は、神と悪魔が協力して作り出したものです。

 下界で下界の者たちの争いに歯止めが効かなくなりそうになったら、その度にこの世界を滅ぼされない為に魔王を下界に送り、争っている場合ではないと危機感を感じた下界の者たちの手で魔王を倒させ平和にさせるのです」


(そうなんだ。そんなシステムになっているのか)


 でも倒せたからよかったものの、もし下界の者たちが魔王に負けたら瘴気よって世界が滅んでしまったりするんじゃないかな?とアオイは思った。


「あの?下界の人たちが魔王倒せなかったら魔王によって、この世界が滅ぼされちゃって意味がないと思ったのですが……」


「はい。その通りです。今回がそうでした。本来は下界の者たちが協力し合えば倒せるくらいの魔王にするはずでした。

 しかし、私と悪魔のミスで魔王を強くし過ぎてしまったので、危うく世界が滅ぶところでした。

 そこで、私が打開策として、天啓で異世界から聖女を召喚するようにさせたのです。本当に申し訳ありませんでした」


(なるほど私は、強くし過ぎた魔王を倒させ、世界滅亡を防ぐ為に目の前に居る女神様と会ったことがない悪魔の尻拭いをするために異世界に召喚される事になったか。そう思うとちょっとイラッとした)


 その所為で、家族や友人に二度と会うことが出来なくなってしまったし、召喚されてからも大変な事が多かったからだ。


 今更の真相判明と謝罪であったが、まあ楽しいことも幸せな事もそれ以上にあったからちょっとイラッとしたけど、アオイは、許そうと思った。


「それで私たちが倒した魔王は、インフェルノで何しているのですか?」


「はい。下界での役目を終えた魔王は、転生して悪魔となり、管理していた前悪魔の後継として、インフェルノの管理者をやってます」


 私たちが倒した魔王が今、地獄を管理しているか。

 見た目とか変わったのかな?変わったりしているなら見てみたいかも。


「それでですね。前神から引き継いたこの世界を滅ぼし兼ねないミスをやらかしたものの何とか出世することができることになりまして、自分の世界を創造して、管理することになるので、アオイさんに神に転生してもらって、この世界の管理してもらいたいです」


「!!」


(私がこの世界の神ですと~とぉ……とぉ……とぉ……)


 アオイの叫びが部屋中をこだました。

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世界を救った聖女は転生して女神になる 紅 蓮也 @-T2Ya-

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