世界を救った聖女は転生して女神になる

第0話 プロローグ

　アオイは、一七歳の時にバイクで登校中に異世界に召喚された。

　召喚を行った王太子から召喚された理由、元の世界には戻ることが出来ないことなどを聞いたアオイは、両親や姉にもう二度と会えないのは寂しいし、急に行方不明ということになるので、心配や悲しい思いをさせてしまう事に対して申し訳ない気持ちになった。

　でも戻れないのだからどうしようもないと割り切り、この世界のために役に立とう決意する。

　サザドラ王国の王太子であり勇者であるカイン、大賢者の一番弟子で若くして賢者の称号を持つマルス、剣も武術も超一流なオジさんヤック、索敵など隠密としてピカ一な忍者のサイゾウと共に瘴気を浄化しながら瘴気を撒き散らしている魔王を倒し、世界を平和にするために聖女となったアオイは、旅に出た。

　世界中の瘴気に蝕まれた土地を浄化し、魔王を倒して、世界に平和をもたらしたアオイたちの旅は、楽しい事もあったが、間に合わず、魔物や魔王軍の幹部に殺されたり、体を瘴気に侵され亡くなってしまった人たちの家族から理不尽な罵倒など辛かったり、悲しかったりもあった。

　魔王を倒して凱旋してからカインと結婚し、戦後復興のために色々やったり、異世界の技術や知識を駆使して、サザドラ王国を繁栄させたり、自国の貴族や他国からのくだらぬ醜いメンツ争いや嫉妬で足を引っ張られることもあったが、カインが国王になってからも王妃としてサポートし続けた。

　子宝にも恵まれ、孫も生まれ、気づけばアオイは、七〇歳を過ぎていた。

　ある日、一〇年前に王位を息子に譲渡し、国を息子夫婦に任せ、隠居生活をのんびりとカインとおくっていたアオイは、庭を散歩中に急に意識を失い、倒れた。

　医師たちは懸命な治療をしたが、一度も意識が戻ることなく、最愛の者であるカインに看取られてアオイはこの世を去った。

　急に意識を失い一度も目覚めることなく、安らかな顔で亡くなったアオイを見てカインは、この世界に来てからも自分と結婚し、王妃になってからも大変な苦労がたくさんあっただろう……。

　別れの言葉は交わすことが出来なかったが、最後は苦しむことなく逝けたのだからこれでよかったのかもしれないなと一人呟いたという。

　そんなカインもアオイを追うように病に倒れ、一年後に亡くなった。