第42話 神は居なくなっていた...敵は宗教者、増上まん

私は女神イシュタス


異世界の女神でしたが、戦いに敗れ消滅した筈でした。


所が、勇者であった泰章の祈りによってこうして復活できました。


ですが、此処は私の世界ではありません。


他に神々や仏が居るとしたら...折り合いをつけなければいけません。



所が可笑しいのです...神界はあるのですが、何処の神界にも神はおろか天使さえもいないのです。


神が居た場所、仏の居た場所、何処にも誰もいません。


邪神にでも滅ぼされたのかと思いましたが...そう言った後もありません。


仕方なく、現状から何が起きたの書物などを読んだ結果...


この世界は、神や仏に見捨てられた世界だと解りました。


敵ではなく、神や仏の考えを湾曲して伝え、私欲を貪る者を嫌い、神や仏が見捨てた世界。


これがこの地球だったのです。



これは仏の世界の書物にあった【増上まん】の仕業です。


増上まんとは、宗教者を装い、善人の振りをしながら私欲を貪る者達です。


【末世】になると、この増上まんが増えていくそうですが...


これが神や仏を苦しめ...やがて神や仏が人間を嫌いになり...この世を去った。


そう言うことらしいのです。


神や仏がこの世を去った、そう簡単に言いますが、それは【死】を意味します。


神や仏が死を選ぶ位ですから、さぞかし苦痛だったに違いありません。


私は女神だから解ります。


神は世界を救うために存在します。


その自分の教えを、私欲を貪る為に改編して伝え...その結果不幸が起きる。


許せないし苦痛だったと思います。



邪神や魔族もいませんから、案外そちら側も、人間を見捨てたのかも知れません。



女神である私の本当の敵は、この世界で戦う相手は...増上まん、つまり...この世界の私欲を貪り、神や仏の正しい教えを改変して騙している存在です。



この世界にも昔は、救世主に英雄、神の力を振るう者がいましたが...神が居なくなったせいか、もうそんな存在は居ません。


能力が無いのは仕方ありませんが...【人を救いもしない宗教者】等、只の害悪です。



この世界で私がする事は...この宗教者...増上まんの手から正しい信仰を取り戻す事です。



この厄介な仕事が...恐らくは私がこの世界に来た理由かもしれません。

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