第36話 魅了解けた後
色々考えていたら、魅了を外して見た方が良いかも知れないな.
俺は、三人への魅了を解除した。
天使長は凄いな...顔を見ないでも魅了が解除出来るなんて。
そして、月に2回の約束の元家族とのデートの時が来た。
まるで初めてデートした時の様に遊園地での待ち合わせだった。
ちなみにこの約束の時にはまだ【魅了】は解除してない。
約束の時間より15分前に来て待っていたが、一向に来ない。
約束の時間を10分過ぎた頃に義両親が来た。
「すまない泰章くん」
「本当に申し訳ないわ」
二人の顔は青かった。
まぁ大体解るさ...
「取りあえず、喫茶店にでも入りませんか?」
すぐ傍にあった喫茶店に場所を移した。
義両親から話を聞くと、2人はすっかり元通りだそうだ。
「儂ももう、あいつ等は知らん、何があったのか解らないが、恵美はアルバイト代金の積立を辞めて夜遊びしている」
「陽子も急に働くのに疲れたと言い会社を勝手に辞めてきてグーたらし始めたわ、私が様子を見ていたらマッチングアプリに登録していたわ」
所詮は魅了に掛かっていたから【真面だった】そういう事だ。
所詮は魅了で作られた愛情、無くなればこんな物だ。
「それで、自分達は今日も来ない、そういう事ですか」
「すまない」
「本当にごめんなさい」
本当に魅了が無ければ、心の底から腐れになってしまったんだな。
もう、俺が惚れた陽子は何処にもいない。
そう言う事だ。
中学の時は陽子は正義感が強く優しい女の子だった。
虐めにあっていた俺を助けてくれた、正義のヤンキー女、それが陽子だった。
俺はいつか彼奴に相応しい男になろうと、努力した。
柔道に剣道も学び、俺は勉強も頑張った。
勇者になる前の俺が頑張れたのは、彼奴のお陰といっても過言ではない。
人は長い間に変わる、いつから彼奴は、クズになったのだろうか?
最初の結婚で何があったのか...
俺と結婚した時にはもう【昔の陽子】じゃ無かったのか。
それとも神谷と会って変わってしまったのか?
今となってはそれも解らない。
だが、もう何処にも、あの頃の俺が愛した陽子はいない。
そう言う事だ。
恵美は...多分元からああだった可能性が高い。
もう、良い、これでもう未練はない。
「お義父さんにお義母さん、この前は貴方達に免じてチャンスを与えました、これで良いですね」
「それは」
「だけど、また気の病で」
「本来は弁護士により接近禁止命令が出ているんですよ? 会わないのが正しいんです、俺に近づいてきたらその都度慰謝料が貰える、だが此処までは我慢した...次はもう容赦しない、良いですね?」
「仕方ない、儂が本当に甘かった、儂の目の黒いうちには二度と泰章君には近づかせない、約束しよう」
「そうね、これ以上は迷惑は掛けれないわね...今迄すまなかったわ」
これで良い、元義両親には悪いが、もう二人と会う気はない。
今の俺の役職は神谷より上だ、魅了が切れても、今度は金の力で寄ってくる可能性があるだろう。
だから、お目付け役が必要だ。
「もう、貴方達も含んで、赤の他人だ、二度と俺には構わないでくれ、今日までの事は水に流してやる、だが次は無い、もう顔も見たくない」
二人は何回も頭を下げて去っていった。
【恵美SIDE】
あと暫くしたら、お父さんに会える。
バイトを頑張ったから、デート代に困らない。
私が頑張った証としてお母さんと三人でデートだけど、私が半分出す。
ううん、出してあげたいんんだよね。
だって、私はお父さんを愛しているんだもん。
親じゃ無くて異性としてさぁ~
だけど、いきなりは難しそうだから、頑張って【愛娘】を目指して、そこから...頑張らないと。
さてと、会うのが楽しみだなぁ~....はっ!私頭が可笑しいんじゃない?
あんな親父の為に何考えているんだか、何で態々おしゃれして新品の下着まで用意しているのよ。
私、頭が可笑しいんじゃないの?
あんな中年キメーっていうの...なんで私がデート代まで出して会わなきゃいけない訳?
ブランド物でも買ってくれなくちゃ会う価値なんて無いってーの。
彼奴は見た目じゃ解らないけど...体を壊して真面に働けない、壊れたATMに価値なんて無いよね。
デートしてもメリットなんて無いんだから...行くわけ無いよ、キャンセルだよ、キャンセル。
私はお爺ちゃんとお婆ちゃんに、デートのキャンセルを伝えた。
「お前は何を考えているんだ? 儂たちが頼んで貰った贖罪のチャンスだろうが! それを無碍にするのか? お前は泰章君を親として愛しているんだろう」
「お爺ちゃん、なに気持ち悪い事言っているのかな? 私あんな親父要らないよ」
「恵美ちゃん、何を言うの? 嘘よね」
「お婆ちゃん、なに気持ち悪い事言っているの?気持ち悪いって言うのーーーっ」
「ハァ~ もう泰章君の事は良いんだな? もう良い、お前の本性はもう解った性悪娘...もう孫とは思わない、その性根叩き直してやる」
「何で私がそこまで言われないといけないの?」
「あんたは、私の孫とも思わない、本当に情けないわ、何処で教育間違えたのか、もうこれで貴方は父親を完全に失ったのよ...それだけは忘れないで頂戴」
一体、何がなんだか...わけわからないよ。
【陽子SIDE】
もう何日かすると...あの人に会える。
私は本当に駄目な妻だった。
多分、これは最後のチャンスだ。
今の私は反省した...もう二度と浮気なんてしない、今度こそ泰章さんを大切に...なんで。
体を壊して真面に働けない男となんで付き合おうとしているの?
馬鹿みたい...折角、相手から身を引いてくれたのに復縁なんてありえない。
体が不自由で真面な生活が送れない男にようは無いわ。
本当に何血迷っていたのかしら?
あんな男を働いて養うなんて...馬鹿ね。
さてとりあえずは、デートなんてキャンセルしてしまいましょう。
「私、行かないわ」
「お前迄、何を考えているんだ? 謝ってようやく貰ったチャンスじゃないか?」
「そうよ、反省したってあれは嘘だったの?」
「もう離婚したんだし、赤の他人だわ、それによく考えたら【接近禁止命令】まで出ているのよ、会う方が不健全だわ」
「そうか...もう良い、儂はもうお前達に失望した」
「私も、娘とは思いたくないわ」
【義両親たちは出ていけ】そう言いたかったが【二度と近づけさせない】その約束の為に言葉を飲み込んだ。
泰章と約束した【二度と近づけない】その約束の為には手元に置く必要があったから。
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