第34話 これから
【イシュタスSIDE】
眠ろうと思ったのに...眠る必要がないわ。
勇者泰章は何をしたのかしら?
朝からいきなり、祈りが届いてくる。
この世界は、なんなのかしら?
少なくとも私以外にも神はいる筈なのに...こんなに満ち足りた神力が満ちてくるなんて...信じられない。
それなら、勇者泰章、いえ今は教皇ともいえる泰章の汚点も消しておきましょう。
泰章が死ぬ原因になった二人、過去の妻と娘。
あれは要らないわね...【魅了】を掛けたみたいだけど、最早要らない存在としか思えない。
多分、彼は優しいから、突き放せないかも知れない。
ならば【魅了】を解いてしまいましょう...そうすれば...あぁ~不味いわね。
今の勇者泰章には、地位もお金もある、あのゴミみたいな人間が手放す訳ないわ。
仕方ない、どうするかは真理アーヌにでも任せますか...
マリアーヌ7割に真理が3割...あの程度の人間ならどうにかするでしょう。
マリアーヌも王族。
嫌いな人間の排除位簡単にするでしょうから。
私は、暫くは様子見でもしましょうか?
この世界について知る必要もあるしね...
他の神との関わり合いも必要かも知れない。
【泰章SIDE】
「今井常務、おはようございます」
「真理さん..どうしたの?」
プラチナブロンドにグリーンアイ、透き通るような肌。
これじゃ、まるでマリアーヌじゃないか?
「どうかされましたか? 勇者泰章...お久しぶりですね」
「マリアーヌ? 真理...俺は夢でも見ているのか? どっちなんだ?」
マリアーヌと真理、2人の容姿が合わさって見える。
「そのどちらでもありません! 私は真理アーヌですよ? マリアーヌと真理が合わさった、泰章さんが一番愛する女性...の筈です」
「本当に...マリアーヌでもあるのか?」
「はい、また会えました、もう会えないそう思っていたのに...勇者様」
「マリアーヌ」
「はい...勇者様...ちょっとマリアーヌばかりズルいわ、私だって...私は泰章様の妻ですし、久しぶりなんだから良いじゃないですか?」
何だか混線でもしているのか?
「どうしたんだ」
詳しい話を聞くと、マリアーヌと真理は根源が一緒と言う事だ。
良くは解らないが真理のパラレルワードでの存在がマリアーヌという認識に近いらしい。
よく考えてみれば、真理に何故か心惹かれる時があった...あれはそのせいなのかも知れない。
だけど、この後どうなるんだ?
「イシュタス様の話では、暫くしたら融合というのでしょうか? 完全に混ざり合って1人の人格になるそうです」
「それで良いのか?」
「はい」
俺はこれからどうすれば良いんだ。
マリアーヌと俺は短い間だが結婚していた。
勿論、体の関係も...
だが、真理は...部下だ。
確かに【魅了】も掛けたが、そういう関係になろうとは今は思ってなかった。
だが、確かに好ましいと思いはしたが...齢が離れすぎでも無いか、今の俺の見た目は凄く若い。
「あの、悩んでいるようですが? 私は妻ですよね? それに真理さんも泰章さんを愛しているみたいです、悩む事は無いと思います、そうよ私も泰章さんを愛しているわ」
「そうだな、そうだな...それじゃこっちの世界でも付き合おうか?」
「そうですよね、あっだけど付き合うじゃ無くて【結婚】ですわよね...私もそれで良い」
「解った...」
そろそろ、未練は忘れて、新しい道に踏み出す時が来た様だ。
だが...あの二人はどうしようか?
それにイシュタス様が復活したなら...お伺いを立てても良いかも知れない。
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