第33話 真理アーヌ
えーと、何が起こっているのかな?
消滅した筈の私の体が復活しているんだけど...
まさか、勇者泰章があの世界を救ったって事?
あり得ないわ...難易度SSS、誰もが救えない世界。
それを救ったの?
うん...違うみたい、私の子が誰もいない。
あの時の信者が誰もいない、しかも、怪しげな人物から毎日祈りが届く。
人数こそ少ないが...凄く質が良い。
何だか不純な物ばかりですが...
可笑しいわね、誰が私の信仰を伝えているのかしら?
えっ...【勇者泰章】
そうか~、元の世界に戻っても、信心していたのね。
私が消滅したからスキルもそのままなんだ~。
私は...あはははっ、この世界の神の一柱になった訳ね。
現況は、今井泰章が教主になるのね...
復活記念に、少しは女神らしく奇跡を起こしてあげようかしら?
彼が欲しそうな物と言えば...あれね。
こうして神の奇跡が彼に起ころうとしていた。
【イシュタス&真理SIDE】
この子は...なるほど。
お互いに惹かれる訳だ、真理は並行世界、この世界のマリーアーヌだ。
最も、魂の根源が同じと言うだけで世界が違うから全くの別者。
とはいえ、魂の根源が同じと言う事は同じ様に惹かれるのは無理もない。
多分、魅了なんて使わなくても、きっかけがあれば惹かれた存在だわ。
まぁ、【きっかけ】が無ければ惹かれないんだけどね。
まぁ良いや、折角だから完璧にしてしまおう。
「真理...真理、目を覚ますのです」
「う~ん、貴方誰ですか?」
「私は女神イシュタスです」
「女神イシュタス...そう言えば今井常務が信仰している様な事言っていた気がします」
《まさか、夢にまで出て来るとは....》
「そうです、私がそのイシュタスです、貴方は私の代行者である、今井泰章を愛していますね」
「ええっ」
「なら、もっと愛されたい、そう思いませんか?」
「思います、当然の事です」
「ならば、心の底から彼が愛した女性がいるのですが、その女性の記憶を引き継ぎませんか?」
「それは...私でなくなる、そういう事じゃ無いですか? 嫌です」
「それは違います、別の世界の貴方の存在を引き継ぐ、そういう事なのです」
「別の世界の私? 記憶? どういう事ですか?」
イシュタスは並行世界の真理の存在、マリアーヌの記憶を引き継ぐ事を提案した。
これにより、真理の中にマリアーヌの記憶が宿り、2人分の記憶を有する事になる。
ある意味、真理の中にマリアーヌが復活する事になる。
魂の根源が同じだからこそ、可能な事だ。
「どうかしら? 多分【今井泰章】が今現在心から愛している女性、その者を引き継げるのよ? こんなチャンスもう二度と無いわね」
「ですが、それでは、マリアーヌになり【私で無くなる】そういう事でしょう?」
「違うわ、2人が交わり、新たな一人になるという事なのよ、簡単に言えば【貴方の中にマリアーヌが宿る】と言事ね」
「それは...」
「此処で考えるようなら、別に良いわよ? まぁ色々問題はあるけど、時間を掛けてマリアーヌを復活させるから、その場合は彼と貴方の接点は無くなるわね」
「そんな事は」
「あるわね、だって彼女こそが彼が真に愛した存在なのだから、今の彼が貴方に好意を向けているのは【マリアーヌと魂の根源が同じ】だからよ? 本物が現れたら...多分終わるわね」
《これを受け入れれば【今井泰章さん】の気持ちが私に向く...ならば受け入れるわ》
「解りました、受け入れさせて下さい!」
「最初から素直に言えば良いのよ...それじゃいくわ、女神たるイシュタスが望む、マリアーヌの根源よ此処に顕現せよ!」
目の前に青白い炎の様な物が浮かんで来た。
「さぁ、これを飲み干しなさい、それで貴方はマリアーヌになれるわ」
「解ったわ」
真理は炎の様な物を手に取り一気に飲み干した。
「それで良いのよ」
「ああああああっああああーーー体が熱いわ、まるで燃やされている様に...熱いっーーーーーーっ」
実際に真理は傍目から見たら、炎に燃やされている様に見える。
それと同時に真理の姿が変わっていった。
綺麗なプラチナブランドに透き通る様なグリーンアイ、そして肌は綺麗な透き通るような白。
まるで物語の王女が絵本から飛び出た様な姿だ。
最も、他の容姿は元のままだが、元からお嬢様に見える真理に王女足るマリアーヌの魅力が重なった様な姿だ。
「まぁ、暫く我慢なさい、直ぐにその炎は消えるわ」
暫く真理は転げまわっていたが、落ち着いた様だ。
「ハァハァ...ようやく痛みは無くなったわ、聞いて無いわこんなの」
「言ってませんからね! だけど世の中そんなに甘く無いのよ、犠牲を伴わずに何かを得ようなんて都合が良すぎますよ」
「良く、解ったわ、貴方は最低の女神だ...うぐっ、いえイシュタス様、心の底から感謝いたします、もう一度この様な機会を頂けるなんて思いませんでした...私...私勇者様に、泰章様にまた会えるのですね」
《嘘でしょう...私の考えを遮られた》
「ええ、会えますとも、あの様な悲惨世界に産まれたのに、生まれてから死ぬまで私を信じた貴方だからこそ、奇跡は起きるのです、この世界はあの世界と違い凄く安全で平和な世界です...これから夫婦になり幸せに暮らすと良いでしょう」
「ちょっ...うぐううっ、ありがとうございます、イシュタス様、死ぬまで私は貴方を信仰し続けます」
「頑張りなさい、貴方と泰章ならきっとこの世界の信仰を私に塗り替える事が出来ると信じていますよ...それでは頑張りなさい、王女マリアーヌ」
「はい...待ちなさい」
「貴方は、まだ何かようですか?」
「私は...どうなるの?」
「大丈夫よ、マリアーヌと混ざり合いやがては1人の人格になるわ、今は分離していますがやがて一人になります、安心なさいな」
「そう、解ったわ」
「ただ一つ、私は女神だから心から信じなさい、さすれば貴方も幸せになれるわ」
「そうね...眠くなってきたわ」
「そのまま眠りなさい...起きた時には全ては終わっています」
確かに二人は混じり合い一人になります。
差し詰め【真理アーヌ】って所ですね...
魂の根源が一緒だから出来る事。
2人が似た者同士だから出来る事。
ですが...勇者泰章は、随分と気が強い女性に縁がありますね。
暫く様子を見て...あの二人もどうにかするとしますか。
今は神力を使ったから...今暫く眠るとしましょう。
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