第22話 腕を返したら...
俺はようやく、色々な事がかたずいたので会社に出社した。
親友の滝口からは「落ち着いたか?」と言われた。
まぁ、これで一段落ついたから「まぁな」と答えて置いた。
お昼は近くの中華屋で【満腹定食】を奢ってくれるそうだ。
金額は1500円とちょっと高いから、普段は2人とも敬遠している。
サラリーマンの懐は暖かくない...離婚する前はA定食の650円ですら食べられなかった。
そう考えたら...凄いご馳走だ。
何しろ、この間までは握り飯2個を握ってきて食べていたからな...
「ありがとう」
おれはそう返した...今の俺なら普通に居酒屋や焼き肉屋にもいける。
神谷は会社に来ていなかった。
社長がクビにでもしたのか? そう考えたがそうではないそうだ。
ならば...もう関係ない、放って置こう。
【どうでも良い】人物だ。
竜ケ崎組の話では、指は折ったがそれで終わりにしたそうだ。
何故、俺がそんな事を知っているのか?
それは、あれから再度俺は竜ケ崎組に訪れたからだ。
【竜ケ崎組にて】
「お前、何しにきたんだーーーっもうケジメは終わった筈だ」
まぁ、組長の腕を斬り落とした人物だ要注意人物だろうな。
「今日は別件でな、凄く良い話を持ってきた...組長に逢わせてくれ...さもないと」
「さもないと?」
「また暴れるよ」
顔を真っ青にして組員は答えた。
「直ぐに上にあげる...ま待ってくれ」
そのまま奥に引っ込むと直ぐに組長と会えることになった。
しかし、3人掛かりで銃を突きつけるなんて大袈裟でもないか...多分撃たれても「痛いじゃ無いか」で済む。
「貴様、よくも儂の前に顔を出せたな...なんの用だ」
腕を落とされたせいか、かなり老け込んでいる。
座間組は、居なくなったし...少しは情けを掛けても良いだろう。
それ以前に【敵に回した状態は俺には損だ】
「いや、可哀想だから腕を返しにきた」
俺は無詠唱でパーフェクトヒールを掛けてやった。
パーフェクトヒールは死んでなければ大体の怪我が治せる。
勿論、腕だって生えてくる...別名リバースヒールと言われる。
「儂の腕が...腕が」
「それじゃ...これで!」
俺はそのまま、立ち去ろうと思ったが...入口を塞がれた。
組長からは逃げられない...
「ああああ、貴方は一体何者ですかぁぁぁぁーーーっ」
無言のまま逃げ出そうとするが駄目だった。
仕方ない...
「女神イシュタスに仕える存在だ...」
勇者と異世界を隠して、少しだけ真実を伝えた。
「神の使い...だからこんな事が出来るのか...ならお金を出すから組員を治して下さい」
この組には抗争で傷ついた組員が沢山居るそうだ。
仕方ないから治してやった。
そうしたらジュラルミンのケースを2つ貰った。
一つ1億5千万だそうだ...3億円...もう何時会社を辞めても良いな。
ただ、これで話は終わらない。
組長は神棚をぶっ壊した。
そして、そこに筆でイシュタスと書いた紙を貼った。
「居もしない神より本当の神を祀った方が良いでしょう」
どういう事か聞いたら...今でこそ完全なヤクザだが...昔は神農...テキヤからスタートしたらしい。
その為「神の信仰」をしてきたそうだ...
さっきから止めて欲しい...どこぞのお婆ちゃんみたいに俺を拝まないでくれ。
「そうか...ならば俺は行くからな」
「はい、そうだこれを...」
何だか変なカードを渡してきた、カードには竜が印刷されている。
「これは何ですか?」
「これはドラゴンカードです...飲み食いから麻薬に銃器の購入に使えます、まぁデパートや居酒屋、お店じゃ使えませんが、キャバクラ、風俗から密売まで全部で使えます...これを出して手にした物の代金は全部組持ちになるので好きなだけお使い下さい」
これ不味く無いか?
「いや、そこ迄して貰う訳には」
「何をいうのですか? 神の使いなんですよ...そんな縁起が良い存在にお布施をするのは当たり前です、神社に寄進するよりよっぽど良い」
仕方ない貰っていこう。
「解った...それじゃ貰っていく」
俺はジュラルミンのケース2つとカードを貰って出て行った。
【後日】
この間、滝口から満腹定食を奢って貰ったから、お礼としてキャバクラに連れて行く事にした。
「今井~此処高そうだぞ」
「まぁ、今の俺は独身だし、少しは金もある、今日くらいパーッといこう」
受付でカードを見せた。
見せた瞬間、店員は驚いた顔になった。
「これ、使えるかな?」
「ももも、勿論です」
結構高いお酒を飲んで、女の子も可愛い子が付きっ切りだったのに...本当に無料だった。
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