第12話 解らない

取り敢えず、会社をまた休む事にした。


いっその事、格闘家にでも成ろうとかと思ったら、ボクサーは37歳で引退なんだとか。


駄目じゃん...折角、多分最強に近い力が手に入ったのに...



それはさて置きこれからどうしようかな?


座間会なんかとぶつかっても意味がない。


どうせやるなら、竜ケ崎組だ。


俺は、昔水商売のバイトを短期間だけどした事がある。


その時常連にヤクザが居たから【弱い所】も知っている。



竜ケ崎組は新幹線に乗れば2時間位の距離だ。



思い切って行く事にした。



着いてからは簡単だ。


正面から乗り込んでいく。



ただ、それだけだ。


「うちに、何かようですか?」


入口の男が聞いて来た。


「座間会の事で組長さんに話し合いをしに来たんですよ」



「座間会だぁ~、話も聞いてねーよ、とっとと帰りな」


此処で話していても埒が明かない。


「座間会がね...俺を殺そうとしたんだ...だから責任取って此処の組長に死んで貰おうと思って」


「てめーーーーっふざけんな!」


はっきりいってオークの方がまだ怖い。


俺は軽く手刀で首を殴った...それだけで男は気絶した。


その様子を見ていた他の組員が俺の元に集まる。


幾ら来ても...問題無い。


魔族数万相手に戦った俺からしたら...ただのオモチャだ。


【強奪】だけ発動されて、ただひたすらぶん殴る。


銃やドスを使った人間は念入りに潰す。


はっきり言わして貰えば【いたわりながら倒す】のがメンドクサイ。



多分、3時間位はたったのだろうか?


多分2~300人居た組員は全員目の前に倒れていた。


そして、俺は組長室のドアを蹴破り、そのまま突入した。


「何者だ、お前...他の組員はどうしした?」



「いや、全員倒したから此処に居るんでしょうが?」


「ほう、かなり自信があるようだな? だがついていないな、辰、お前相手してやんな」


「へい」


「ちょっとは出来そうだな」


「そうかい?それじゃ殺さない程度に....えっ」


いや、誤解をしないで貰いたいな【ちょっとは出来るって】オーク位だからな。


大体、日本じゃ一流の武道家だって熊に勝てない。


まして、白熊なんて勝てる奴は世界にも居ないかも知れない。


その程度の人間の中で強くてもたかが知れている。


だから、この程度の人間なんて軽く倒せる。


「そんな、辰が倒されるなんて...馬鹿な、此奴は8人斬りの本当のイケイケなのに」


「それじゃ、今度はこっちの番だ」


俺はそう言いながら組長の顔面にパンチを叩き込んだ。


勿論、手加減して。


「貴様、儂にこんな事をして只で済むと思うのか?」


「しらねーよ、そっちが戦争仕掛けてきたんだろうが」


「まて、儂は抗争なんて仕掛けてない」



俺は座間会にバンに乗せられていた時にスマホで録音した会話を聞かせた。



【録音した音声】



「お前、神谷さん怒らしただろう? 神谷さんはよう、うちと繋がっているんだよ? だから、これからあんたは大変な事になるんだぜ」


「まぁ、殺されるんだけどな」



「それで、何処のチンピラが俺を殺そうとしているんですかね?」


「座間会だ、おっとお前が解る様に言うなら、竜ケ崎組の系列だ」


「貴方達は、暴力のプロ、そして俺を殺そうとしている...そういう事でしょうか?」


「まぁ、殺す殺さないはまだ解らないがな」


「銃を突き付けて良く言いますよね?」




「なぁ聞いたか? あんたの下の座間会が銃を突きつけて俺を殺そうとしたんだ...報復されても仕方ないだろう?」


「儂は知らん、そんなのは座間会が勝手にやった事だ」


「お前なぁ~ その座間会はお前の組織の末端だ...少なくとも座間会は、竜ケ崎組の名前を出したんだ、お前のせいだろうがーーーっ」


俺は、再び顔を殴った。


流石は、組長を張るだけあって、怯まずに俺を睨んでいる。


「儂にどうしろと言うんだ」


「ヤクザなりのけじめを貰う事にする...確か、組長クラスの女に手を出したら手を切断だったな」


俺はスキル【斬鉄】を発動して手刀で右腕の肘から先にに斬りかかる。


剣を握れば鉄すら斬れる、ならば手刀でも腕は...斬れないで千切れたな。


「おい...ややめろ、ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ、うわぁぁぁぁーーーーっ」


流石に腕を千切られれば、幾らヤクザでもこうなるな。


「俺はお前の所の座間会とそれと連なる神谷に嫁を奪われた、まぁ何もしてこなければ金を貰って終わりで良かったんだが...その上で殺しに掛かられちゃ、その分もけじめを貰わないとな...あっこれは女の分だから、今回、俺の命を狙った分として左手の小指と薬指を貰おうか」


「ハァハァ...うぐっっっ、や、やめろーっ、解った、金をやる、幾らでもやるから、なぁ、ハァハァ止めてくれ」


「だけど、これがお前達の正しいルールだろう? 女を寝取ったら手首、他の始末には指を詰める、違うのか?」


明かに顔色が悪い、まぁ別にもう良いか?


「ハァハァ...ああ、確かにそうだ、解った、指二本だな」


「やっぱりいいや...その代り、お前の所の座間組や神谷を俺に二度と俺に関わらないようにしてくれ」


そう言いながら【魅了】を掛けておいた。



「ハァハァ...お前の言う通りだ、約束しよう」


怖いな【魅了】隷属とどちらにしようか迷ったが、隷属にすると意思が弱くなるから此方を選んだ。





【座間組】



「組長、実は危ない奴と揉めまして」


「そうか...ならば組員の慰謝料と車代金上乗せしてひっぱれ、やられっぱなしで終わる訳に行かねーんだよ、解るな?」


「へい」





この数時間後...この世から座間組が無くなった。


何処に行ったのかは誰も知らない。



本家の組長が腕を無くした。


その原因になった...座間組は地獄を味わってから殺されたのは想像がつく。


今頃、東京湾に沈んでいるのか、燃やされて跡形も無くなくなったのか、何処かの山に埋まっているのか。


それは...解らない。


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