第2話 難易度SSSの世界 デーモンズワールド

「目を覚ますのです...」


何処からか声が聞こえて来た。


「もう良い...このまま眠らせて欲しい、もう疲れたんだ」


「目を覚ますのです...今井泰章」


いい加減煩い...俺は...あれ?


「貴方は見事なまでに、トラックに轢かれましたね...うふふ、物語ではよくある事です」


そうか、あの時に家を飛び出して俺は、トラックに轢かれたのか?


確かに痛みと衝撃を味わった気がする、待てよ? それならば俺は死んでいるんじゃないのか?


なんで生きているんだ...それより、目の前の女性は【喋ってないのに会話が成り立つんだ】


「それは女神だからですよ」


「女神?」


確かに、目を凝らしてみたら、この世の者とは思えない、とんでもない美女がいた。


「はい、私は転生を司る神、イシュタスと申します」


「女神様ですか? だったら、あの憎き神谷に罰を与えて下さい」


「私は転生の女神です、裁きの神や復讐の神では無いので出来かねます」


「だったら、俺はどうすれば良いのですか...」


「女神としては、復讐など忘れて、新しい人生を歩んだ方が良いと思いますよ? 」



俺は女々しいのだろうか?


どうしても、あの時の3人の顔が忘れられない。


「それで、女神様は俺にどうして欲しいのですか?」


「異世界に行って、勇者として魔王を倒して欲しいのです」


「あの...普通は10代の若い子が勇者になるんじゃないですか?」


「その...実は10代の若い子の勇者パーティーが負けてしまったのですよ」


サラッと言っているが...その世界は勇者の能力を持ってしても敵わない相手がいる。


そういう事だ。


「勇者パーティーが全滅...だったらその子は死んでしまったという事ですか?」


「いえ、その世界で死ぬと、元の世界に戻ります、時間もそんな立たない状態でです、だから死んでも気にしないで良いのです」


「その話だと...気のせいか勇者に余り期待してないみたいですが?」


なんだか胡散臭い話に聞こえるが...大丈夫なのか?


「貴方は少年じゃないから、あまり喜ばないわね...良いわ教えてあげる、貴方が行く世界は、神で言う所の難易度SSSの世界、デーモンズワールド」


SSS? それは凄く恐ろしい世界なんじゃないか。


「それは一番厳しいと言う事ですね」


「はい、一番下は難易度Fから始まります。良くライトノベルの勇者がチートを貰って無双して活躍出来るレベルが、DEFですね」


「その上になるとどうなるのですか?」


「BCだと、小説やゲームの世界では勇者が命を犠牲にするか、ボロボロ、まぁ貴方の世界だと障害で歩けなくなる位の後遺症を残して、運が良ければ勝てる世界」


それじゃ、俺が知っている話はDEFの世界という事か?


「ちなみにAは勇者が勝てる可能性が僅かに残った世界よ」


「それじゃ、S以上の世界は....」


「そう、勇者が確実に死ぬ世界」


死ぬのが解っていけと言うのか?


「貴方が言いたい事は解るわ...だけど、これ以上若者を犠牲にしたく無い...それに私ももう、そう長くない」


よく見たら、この女神は体が少し透けている。


そうか、恐らくはその世界を救おうとしてきたけど、もう存在が維持できないのか?


「そうか、もう俺は世の中なんかどうでも良いと思っている、だから行くよ」


「そう、ありがとう...多分、もう世界は魔王の手に落ち、更に言うなら邪神すら召喚されていると思う...ごめんなさい、私みたいなレベルの女神じゃもう救えない...だから、私のこの存在を無くして...貴方に考えられるだけのジョブやスキルをあげる、貴方はきっと貴方が小説で読んだ、幼い頃憧れた勇者以上になれる...それでも」


「死しかない...」


「ええごめんなさい」


女神イシュタスは自分の存在を力に変え俺にあらゆるスキルをくれた。


さっき迄、白かった部屋が真っ暗になった。


恐らくこの世から、女神が消えたのだろう。


「行ってやるよ、SSSの世界デーモンズワールド」




※ 結構 シリアスですが、異世界での勇者の話はサラッと終わる予定です。



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