【石のやっさん 旧作】中年オヤジは元勇者! 42歳から始まる勝ち組人生。

石のやっさん

第1話 最悪...

俺は泰章(やすあき)中堅所の会社で係長をしている。


まぁ、出世するでもなく、かといって落ちこぼれでもなく...まぁ到って平凡っていう所だ。


そんな、俺の自慢は、妻である陽子だ。


中学の時から憧れていた女性で凄く綺麗で優しい人だ。


中学の時に告白をして撃沈した。


その後は、結婚したと聞いて諦めていたが、30歳の時に同窓会で再びあった。


その時彼女はシングルマザーだったので再び告白し、1年の交際をえて結婚した。


当時6歳の連れ子も居たが...陽子の子なら愛せる自信があった。


俺にとって【他はどうでも良い】そう思える位大切な存在だった。


僅かな、おこずかいだけとり、後は給料もボーナスも全部渡していた。


バッグを買おうが、化粧品を買おうが文句は言わない。


家の家事だって喜んでやった。


何故なら、【綺麗な陽子】に【可愛い恵美】を見るのが好きなのだから、他はどうでも良かった。



だが、ある時から俺に可笑しな事が起き始めた。


妻の陽子が俺との【夜の営み】を拒み...何故か会社の残業が増えていた。



そして、何だか、恵美の様子も可笑しい。



そんな日々が長く続いた。


可笑しいと思いながらも神谷部長の「期待している」


その期待に応える為に頑張っていた。


家族との時間が減ったが...これは仕方ない。



だが、過労が溜まったのか、ある日体に力が入らなくなった。


「今井係長、顔色が悪いっすよ」


「あの...流石にこれ以上は倒れますよ」



仕事の途中だが、部下にそう言われ早退する事になった。




久々に早い時間に家に帰ってみると...


可笑しい、何で男物の靴があるんだ。


まさか...頭で否定しながら家に静かにあがると、リビングには誰もいなかった。


2階に上がると、夫婦の寝室から、声が聞こえてきた。


暫く聞いていると


「アン、ああああーーーん、あん」


「ハァハァハァ」


明かに行為をしている声だった。


勢いよくドアを開けると其処には一糸まとわない妻陽子と神谷部長がいた。



「なに...しているんだ?」



俺が声を出すと...



妻と部長がこちらに気がついたようだ。


「今井くん、これは違うんだ」


「貴方、これは違うの...」



二人して必死に弁明していたが、ベッドの近くには、使ったゴムが無造作にあり、恐らく足りなくなったのかその後は生でしたのだろう


立ち上がった妻の太腿からは精液が流れ落ちた。



「何が違うと言うんだ...この状況で、何が違うんだ」



俺がそう言うと、2人の形相が変わった。



「そうね、この現場を見られちゃ流石に無理ね...不倫よ不倫、だけど貴方甲斐性なしだから仕方ないじゃない?」


「お前なんか簡単にクビに出来るんだぞ」



頭の中が空っぽになった。


一瞬にして俺は愛する妻も上司も失ってしまった。


そのまま、ふらふらと廊下に出ようとしたら、恵美にぶつかった。


「恵美...」


こんな場面みたら娘もショックだろう...そう思ったら。



「あちゃぁ~お母さん、みつかっちゃたの?」


「恵美、それはどういう事だ?」


「だってお父さんよりも神谷さんの方がお金持ちで、お父さんにするならこっちが良いもん」


「それじゃ、俺は?」


恵美ではなく陽子が答えた。


「そうね、何時でもお金をくれる理想のATMかしら?」


「だけど...なんで神谷部長なんだ? 部長は妻帯者で、おしどり夫婦で有名...あははははっ、一生懸命頑張っても遊びの相手に負け...たのか...いいや」



「待って、神谷さんが結婚...嘘、今は独身じゃないの?」


「嘘、バツ1だって、言っていたのに...」


「お前ふざけんな!」


そんな声が後ろから聞こえて来たが...涙で前が見えなくなり、靴も履かずに外に飛び出した。


「あはははっ....あははははっ、もうどうでも良いや」


ドンッ...何か衝撃を受けた。


そのまま宙に舞い、地面に叩き付けられた。


痛いな...だけど、もうどうでも良いや。



「大丈夫ですか」



声が聞こえてきたが、体が動かなくなり目の前が暗くなった。



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