第10話 黒薔薇への道③ 死と新生 (グロ注意! 残酷な描写あり)

昨日、ウサギを食べたせいか..まだお腹が一杯だ。


あと2羽いるから..今日の分は大丈夫。


「おはよう」


「おはようございます」ってそうか私..フルール様に憑りつかれたんだっけ。


「さぁ..今日も頑張って一人前の黒薔薇を目指すわよ」


「あの...本当にこんなんで復讐なんてできるのでしょうか? 昨日はウサギを食べただけですよ」


《黒薔薇のフルール...この人の何処が冷酷なのかしら...むしろ出会った人の中で一番優しいかも知れない...怨霊だけど》


「出来るわ..出来ないときは死ぬだけよ..今日は次の段階に行きますわ!」


「次の段階?」


「流石に貴方には荷が重いから...貴方の体を借りますわよ」


「ちょっと待って」


気が遠くなった、頭が重くなり暗くなった。


「おぎゃーおぎゃー...」


《あれっ赤ちゃん》


「そう、赤ちゃんよ!」


「へぇ..可愛いですね...どうしたんですか?」


「勿論攫ったのよ!」


「へぇ攫ってきたんですか...えっ」


「そうよ、攫ってきたのよ...貴方の為にね」


「この赤ちゃんどうするんですか? ....まさか?」


「ええ、殺して貰うわ...出来るだけ残酷にね」


《さぁ..これが最初の試金石..貴方が咲き誇るか枯れはてるかだわ》


「そんな、この子は何も悪い事をしてないでしょう...何で殺さなければいけないのですか?」


「弱いから..それだけよ」


「私にはできません!」


「だったら終わりね...呪印を強めるから死ねば良いわ」


《嘘、何でこんな事になるの...》


「くくくくくるしいぇわ...やめて...」


「貴方が何で負けたか解らないのね? 弱いから.覚悟が無いからよ..これの何処が逃げないのかしら?たかが赤子1人殺す覚悟も無く..強さを求めるの? もう心が負けているの...ロザリオなら笑いながら殺せるでしょうね...シャルロットだって同じだわ..本当に覚悟がないわ..ねぇ聞かせて」


「や、やります」


《顔が青いわね..やろうとするだけまだましだわ》


「ねぇ-何時やるの? 手が止まっているわよ?」


「はい..」


私は顔を青くしながら手を伸ばした。


「何をぐずぐずしているの? サッサとやれですわ!」


「はい」


「出来るだけ残酷に..刃物を使いなさい」


何も知らずに赤ちゃんは指をくわえて笑っていた。


私はその首にナイフを宛がうと一気に押し込んだ。


赤ちゃんは一旦大きな声で泣いたが..首を切り離すと泣かなくなり静かになった。


「何、泣いているのかしら? ウサギと同じ様にしなさい」


「ウッグ...うえぁぁぁぁぁぁ」


私は胃の中の物を吐き出した。


「あぁ本当に汚いわね..仕方ないわ..出すだけだしちゃいなさい」


「うぐ、うぐうえぁぁぁぁぁぁ..」


もう吐く物は無いようだ..ただ液体だけが吐き出されている。


「もう吐く物は無いようね..続けなさい..」


前と同じ様に首を拾い...目を潰した。


そして皮を剥いだ...


「うぷうぷっ..うえぁぁぁぁぁ」


「まだ吐くの...汚いわ..良い手を止めちゃ駄目よ..続けなさい」


私は赤ちゃんを...解体した。


「おおお、終わりました..うぷっ」


「何が終わったの? ウサギの時はどうしたんだっけ? 終わって無いでしょう? ほら...食べなさい」


《人を食べるの? 何で..私は人間..それは嫌だ》


「嫌です....」


「逆らう事は許しません」


私に着いた黒薔薇の入れ墨が..急に痛み出した。


「逆らえば..その痛みは増していくわ..まだナイフを刺された位の痛みだけど..そのうち耐えられないような痛みになる..そして最後は狂うか死ぬかね..生き残りたいなら...食べなさい」


「痛い、痛い、痛い..痛い..うがががあががあがっ」


「強情ね..何処まで耐えるのかしら?」


《苦痛耐性は強そうね...》


「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だよー」


「駄目ね..死にたく無いなら..貴方を貶めた相手を殺したいなら..食べなさい」


「それでも私は...嫌だ..私は人間だ..わ」


「そう..だけど人間だから食べれるのよ..貴方の敵の顔を思い出しなさい! 凄く残酷だったんじゃない? 多分、総ての生物の中で..一番残酷なのは人間よ!」


どの位の時間がたったのかな...胃液まで大量に吐いて..小さい方も大きい方もまき散らした。


頭が虚ろになり...心が飛んだ... もう、これ以上痛いのは..嫌だ...


私は、目の前の肉に手を出した。


口に含んだ途端に痛みが消えた。


柔らかい頬っぺたは簡単に千切れた..咀嚼した。


《何だ..美味しいじゃない...》


《人間なんてただの肉じゃない...何で私は拒んだんだろう..ブタは普通に食べていたのに..》


「美味しい...だけど残りは固くてこのままじゃ食べれない...」


「焼いて良いわよ..ウサギと一緒よ...」


「はいっ!」


さっき迄泣いていたのに強い子だわ。



これは、マリアみたいな天才には要らない事。


マリアは躊躇せず、最初から考えられない位の拷問を笑いながら行っていたわ。


だけど、私は最初から拷問なんて出来なかった。


目を抉っただけで吐いたわ。


そんな私に先代黒薔薇のお母さまが行ったのが、同じ、人を食べる事。


これが終わって食べきった時から..私は人を殺すのも拷問するのも何とも思わなくなった。


ただの人間が悪魔の様な残酷さを身に着ける為には必要な事なの。


貴方も私も天才じゃない..凡才だわ。


だけど、今の貴方は..もう残酷さじゃまず、他の人間には負けないはず。


ジュディ...貴方は今、一度死んで、生まれ変わったの..もう搾取される側には居ない..搾取する側になれたはず。


弱いジュディはもう居ない..貴方は狼..他の奴は豚..豚に負ける狼は居ないのよ。


赤ん坊を食べるジュディを愛おしい、そんな目でフルールは見ていた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る