第4話 とられた物は弱い者から取り返せば良いんだ

シャルロット姉さんに詳しい事情を聴いた。


何て事は無い..ただシャルロット姉さんが入学した時に虐められている子が居た。


シャルロット姉さんは..うん、正義感が強かったから虐めを許せなくてその子を庇った。


その結果、虐めの標的がシャルロット姉さんに移った。


それだけの事だ。


「なんだそんな事だったの?だったらシャルロット姉さんは悪く無いじゃん!」


「そうよ、私は悪くないわ...だけど、その虐めていた子には後ろ盾が居たのよ」


「やっぱり、そうじゃ無ければ平民がああまで強気で居られる訳はないわね」


「うん、ロンベルグ侯爵家のロザリオ様がね..その虐めの主犯格の子を気に入っていたのよ」


「侯爵家!...しかもロンベルグ..はぁ、お金も権力もうちじゃ敵わないわね..どうしようか?」


「下手に逆らわずに...嵐が過ぎ去るのを待つしか無いと思う..流石に学園だもの殺されたり犯されたりはしないわ」


「姉さん...大丈夫なの? 事情が事情だから..退学させて貰った方が良いんじゃない? どうせ、貧乏なランディウスだものそれ位で何かが変わることは無いわ....」


「だけど、駄目..お母さまには心配を掛けたく無いの」


「学園の職員に間に入って貰う事は出来ないの?」


「今日の様子を見て解らなかった? ロザリオ様が絡んでいるから何を言っても無駄よ」


「本当に手詰まりね..聞けば聞く程...助かる道がないわ...当面は私が矢面に立ちながらどうにかするしか無いかな」


「えっ」


「私、無駄に体力だけはあるから..権力はどうしようも無いけど...まぁ任せて」



次の日から直ぐに私は行動を起こした。


休み時間は直ぐに走っていき姉さんと過ごした。


私がいれば姉さんに手を出しにくいだろう。


さぁ反撃だ。


本来はやりたくはないが、貴族である事を利用した。


貴族に手を挙げる事は本来は平民には出来ない。


表ざたになれば、子供だけでなく、親が責任をとらされる。


まずは、姉さんが取り上げられたもので平民が持って居る物を取り返しにかかる。


「その靴は姉さんの物よね」


「それが何か?」


「帰して貰えないかな?」


「これはシャルロットさんに貰ったのよ」


私は殴る素振りをする。


「無理やり奪っても相手が認めれば良いのね? ならば、私にくれないその靴くれるの? くれないの?」


「お返しします..こんな物..」


投げてよこすのね...私はその女の横っ面を殴った。..ええグーで。


「何をしますの!」


「私はね..貧乏だけど貴族なの? 解るかな? 平民の貴方が物を投げてよい存在なのかしら?」


「すみませんでした..お返しします...ごめんなさい」


「足りないわ...そうだ、その筆箱頂戴...それで許してあげる」


「これはシャルロットさんには関係ありません」


「だけど、無理やり靴を持っていってただ返しただけで終わり? 償いじゃないよね? しかも貴族に対しての態度じゃないよね?」


「解りました...渡します..」


「素直に渡せば良いのよ..うん」


正直どっちが悪者か解らない..だけど、シャルロット姉さんの物のうち貴族に採られた物は取り返せないから..平民からとるしかないじゃない...最初に姉さんに暴力を振るって取り上げたこいつ等が悪いんだし...


1週間たった。


シャルロット姉さんの部屋はもう欠けている物は無い。


ただ、平民の評価は最悪だ。


職員も文句をいうものも居たが..はっきりと言い返した。


「採られた物を取り返して何が悪いの? だったら、これを取り返してきて」


《全部、高位貴族に取り上げられ返って来ない物だ》


「ねぇ先生は正しいわ..だから先生がこれを取り返してくれたらちゃんと返すわ」


「それは私には」


「出来ないのよね? だったら私に言うの可笑しいわ...私達はとられて無くなったから他から取っているの? 取られなければ何もしないわ」


結局、教師は黙った。


幾ら貧乏貴族でも貴族は貴族...平民には手が出せない。


強い者に取られたら...取り返せば良い..それだけだ。


だが、この行為を見ていた者がいた。


そいつは悪のくせに正義の名前を語り...私達に襲いかかって来ることを私は知らなかった。



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