第3話 シャルロット姉さんの現状

次の日、シャルロット姉さんを見て私は解った。


シャルロット姉さんは酷い虐めにあっている。


それは見ただけでわかった。


何しろ、シャルロット姉さんだけが裸足なのだ。


靴下もはいてない。


そして、その足を何かの遊びだろうか通る令嬢が踏みつけている。



まだ、授業が始まるまで時間がある...暫くシャルロット姉さんを見ていた。


あの、明るく優しかった姉さんが一切笑わないのだ...こうなるまでにはかなり長い時間いじめを受けていたに違いない。


《これはどうにかしなくちゃいけない》


私はシャルロット姉さんに近づいた。


シャルロット姉さんは目で私に構わないで...そう言っているようだった。


だけど、そんなのは無視だ。


「シャルロット姉さん..靴も盗まれてしまったんですか? 人の靴を盗むなんて凄い貧乏な人がこの学園にはいるんですね....とりあえず...履物を借りに行きましょう」


「ジュディ...私に構わない方が良い..貴方迄」


「うーん嫌ですね! 実の姉が陰湿ないじめに逢っているんです放って置けません..さぁ行きましょう」


「まったく、貴方という人は本当に!」


シャルロット姉さんが少し笑ったような気がした。



周りの令嬢は信じられない者を見た、そんな感じの顔をしていた。


その中の一人の令嬢の足を思いっきり踏みつけた。


「痛いわね..何をするの!」


「あれっ痛いの? てっきり人の足を踏んずけても気が付かないから足に神経が通ってないと思っていたわ」


「貴方、顔を覚えたわよ、覚えておきなさい」


制服の紋章を見る...貴族の紋章じゃない平民の紋章だ...これなら怖くは無い。


「こっちこそ、貴方の顔を覚えたわ...」


「あのさ、貴方、もしかして事情を知らないの?」


「ええ、知らないわ...だけど、シャルロット姉さんは実の姉だものどんな事情でも放って置けないわ」


「そう、わかったわ..だったら精々気を付ける事ね」


私は無視して、そのまま姉さんを連れて職員室に行った。


そして教員の一人を見つけると事情を話した。


「また、シャルロットさん靴を無くしたのいい加減にして下さい」


《シャルロット姉さんは被害者だ》


「先生、それは無いんじゃないですか? 姉さんは靴を盗まれたんですよ..これは学園のせいじゃないんですか?」


教員は一瞬信じられない..そういう顔をした。


「では、正式に盗難届けを出しますか?」


「はい、お願いします」


教員は困った顔をしている。


「ジュディ..良いから..」


「良くないわ..こういう事はしっかりとしないといけないわ!」


「ジュディ..ちゃんと説明するから..今は辞めて..お願い」


「解かった」


《何故教員がホッとした顔をするの...解らないわ》


私は暗い顔の姉さんを連れて職員室を後にした。

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