第2話 前日
翌月、私は試験を受け無事にここ王立白百合学園に通う事が決まった。
試験と言っても、形ばかりの物だ..ここは貴族の子女であれば余程も事が無い限り落ちることは無い。
貴族というだけでほぼ受かる...逆に一般市民でここに居る者はかなり優秀といえる。
ここでは、マナーや学問を学ぶ事になる。
私は途中入学なので別に式とかは行われない。
寮生活に必要な荷物を運び入れ、それで終わり。
今日はそのまま寮で休み、明日担任がクラスで自己紹介をしてくれる。
そういう話だ。
私はまずはシャルロット姉さんの様子を見に行く事にした。
シャルロット姉さんの部屋は同じ寮にある。
というか、この学園の寮は大きな建物が一つあるだけだ。
ノックをしてみた。
だれも出て来ない。
再度ノックをした。
「もういい加減に許して下さい...」
消えるような小さい声で返事が返ってきて、ドアが開かれた。
「シャルロット姉さん、久しぶり、ジュディです、明日からこちらの学園に入学が決まったので挨拶をしにきました」
「えっジュディなの...本当に懐かしいわ..入って」
私はそのまま部屋に入って周りをみた。
可笑しいな、何でこんなに質素なの。
可笑しい、可笑しすぎる...何で何も無いの?
確かにランディウス家は貧乏だけど...幾ら何でも長女の彼女には色々持たせていた筈だ。
この部屋は正直いって私の部屋よりも質素...いや物が無さすぎる。
「姉さん、この部屋は何?」
シャルロット姉さんは儚げにクスリと笑い。
「可笑しいのよ...何故か私の部屋には何度も泥棒が入るのよ、茶器も茶葉も悪いわね...ここの食堂から借り受けた物なの」
《可笑しいわ..姉さんはピンクの茶器を持っていた、それは安物だけど、おばあ様の贈り物なので凄く大切にしていた筈..値打ちが無いから..普通は盗まない》
「それが本当なら、学園に伝えないといけないわ...私が言ってあげようか?」
「言うだけ無駄よ!」
「何で?」
「それは私の明日からの生活を見れば解るわ..それから、明日からは私に関わらない方が良いわ」
「何で、そんな事言うの?」
「いいから、今日は嫌な事は忘れたいわ..もし知りたいと思ったら明日又話して...今日は楽しくお茶をしましょう」
話はこれで終わり、そういう雰囲気だ。
「そうねお付き合いしますわ、シャルロット姉さん」
私はシャルロット姉さんのお茶につきあった。
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