第32話 二条絵里香

私の名前は二条絵里香。


日本を代表する企業、二条グループの総帥が私の父親だわ。


本当はこんなカス高に来る気はありませんでした。


ですが、強制的に此処に来る事になりました。


本当に大した事はしていませんよ。


ただ、お父様の会社の孫請けの会社への私の推薦状を売っていただけですよ。


このご時世、就職に困っている様な人間は何処にでもいます。


だから、そういう人に私の推薦状を30万位で売ってました。


まぁ、私に傅く様な会社ですから、幾らでもいいなりです。



それなのか、もしくは中学生で、ちょっとした組織を作ろうとした事なのかも知れません。


これも大した事じゃありません。


ただ、沢山の中学生で仲間を組んでいっただけです。


面白いと思いませんか?


今、偉そうにしている大人がある時から何も出来なくなる。


中学の時から仲間を組んでいって、投票から何からその仲間で支配する。


今の中学生が大人になった時から徐々に政治家になる者は全部、私やその仲間が好きな人間だけになる。


そんな事を考えながら、日本中の中学生を支配していく。


こんな感じで動いておりました。



私と【姉ケ崎麗美】と他1人で裏で【三匹の蛇】とか呼ぶ無粋なジャーナリストを破滅に追いやり自殺に追い込んだ事なのか。


それとも、力が無い癖に私や麗美と肩を並べるとかいう女の親の会社を潰す為に、お父様の会社からの発注をあえて他に流すようにしたからか解りません。



「我が娘ながら酷い奴だ...何をしたか俺は知っているぞ」そうお父様に言われましたが、私にはどれの事か解りません。


気がつくと私の権力や収入源はお父様に削がれてしまいました。



その結果がこれです。



【悪の華はビニールハウスに居る】それが私のモットーですのよ。


お父様の考えは進学校に進めない事で私の野望を壊したつもりでしょうが...全く困ったお父様。


確かに此処はビニールハウスじゃないですが...此処には姉ケ崎麗美がいますのよ?


多分調査ミスですね。


まぁ二条財閥からみたら些細かもしれませんが...暴力にたけている彼女とならまた面白い絵が描けそうですね。



と思っていたんですが...


嘘でしょう、あの姉ケ崎麗美が恋をしているのです。


信じられませんでした。


だってあの蛇の様な性格の麗美がですよ。


私の調査では、正に悪役令嬢、そんな女が恋...あきれて物も言えません。


男が欲しいなら、薬漬けにして手元に置けばいいだけなのに...



なんて思っていた時期がありました。


私も本当に若かったですわね...本当。



見た瞬間から、心を鷲掴みされてしまったわ。


私が闇なら、あの人はきっと全てを照らす光り。



目があっただけで、全てを見透かされてしまう。


もう二条も世界も関係ないです...そんな物より、天城翼が欲しい。


あれが手に入る位なら、他は全て要らない...



まさか、お父様は天城翼様に会わせる為に此処に入れたのかも知れませんわね...


だとしたら、私の完敗ですわ。


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