第33話 【最終話】この素晴らしい世界に感謝!
認識阻害がとうとう無くなったのか...周りが全て変わってしまった。
流石に全員とは言わないが、かなり多くの人間から好印象を持たれるようになった。
これなら将来は伴侶を選ぶ時に困らないだろう。
俺も10代後半だからそろそろ【婚約者】を探しても可笑しくない。
姉ケ崎さんや二条さんとは、先方の家族とのお付き合いになった。
二人も魅力的だが、正直言えば、その父親が素晴らしい。
野心に実行力、言い方は悪いが、俺が生きて来た世界の貴族と同じ様な魅力がある。
姉ケ崎さんの親御さんは俺の前の世界で言う所の【犯罪ギルド】の長だった。
しかも、そんな稼業なのに【しっかりと法律スレスレで生きている】実に素晴らしい方だった。
最初、招待されて行った時には、行き違いから、数人に銃を突き付けられたが、まぁ犯罪ギルドなんだから当たり前の事だ。
麗美さんは「やめてーーーっ」と叫んでいたが「大丈夫だから」と笑顔で返した。
たかが三人、手が届く場所なら多分どうにかなる。
それに、本当に殺す気はないのが解る。
本当に殺す気なら、もう少し、殺気がある筈だ。
誤解がはれてからは、話が合うようになった。
特に、麗美さんの父親との話は凄く楽しかった。
昔の武勇伝から始まり、今後、この組織をどう運用するのか、凄く話していて楽しい。
今では、麗美さんそっちのけで話している事もある。
麗美さんに「いい加減にして」と怒られる事もしばしある。
「まぁ、いいじゃねーか、俺は息子も欲しかったんだし、将来はその可能性もあるんだからよ」
と麗美さんに言うと大抵静かになる。
二条さんの親御さんは前の世界で言うなら【豪商】と【経済ギルド】を兼ねている。
最初、学歴の事で凄く馬鹿にされたが、我慢して付き合っていると、何故かテーブルマナーで褒められ。
俺がダンスも踊れないと思っていたのか解らないが、ダンスパーティーに誘われ、絵里香さんのパートナーを務めた辺りから対応が良くなった。
二条さんの母親曰く「子供のレベルではない」と褒められる一方「何処で学んだのかしら?」と不思議がっていた。
その辺りから父親と話すようになり「子供の割には、なかなかだな」と言われた。
絵里香さん曰く、これは誉め言葉だそうだが...俺は悔しかった。
だから、二条グループについて調べ上げ、レポートを書いてみた。
【二条グループの海外に置ける今後の課題と対応策】
まぁこんな感じだ。
それを親御さんに提出してみた。
「子供なりに考えてみたのですが」と。
見た瞬間に顔色が変わり「悪いけど今日は、席を外させて貰う、絵里香とどっか出かけて楽しんでくれ」といい、カードを絵里香さんに渡してどっかに行ってしまった。
それからは不思議と優しく接してくれるようになった。
「高校卒業後は留学でもするといい、その後は、そうだな関連会社の部長の椅子を用意しよう」
とか、冗談だと思うが言い出した。
前の世界のギルマスレベルと話が出来るのが楽しく、第二段、第三段のレポートを書いて出したら。
気がつくとそこにお爺さんが加わり、まぁ冗談だと思うが「本社常務...年収2億6千万でどうじゃ」とか言い出す。
これは流石にリップサービスだろう。
この世界は凄く優しくて甘い。
女性は全て美しく天使か女神の様に美しい。
食べ物は美味しく、高価な調味料が駆け放題。
治安が良く街は凄く安全だ。
頑張れば幾らでもチャンスがある。
家の中も外も便利な物で溢れている。
この世界に来られた俺は凄く幸せだ。
翼...勇者になったお前でも満たされない気持ちは今なら良く解る。
こんな天国で暮らして居たら、幾ら良い待遇を受けても嬉しいとは思えないだろう。
こんな世界に連れて来てくれた女神に感謝...
そして、勇者 翼、悪かったな。
俺はこの素晴らしい世界で、天城翼を必ずや輝かせて見せるぞ。
それが、女神と勇者への感謝だ。
【FIN】
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