第29話 呪われた王子様
私は現実社会に王子様を見つけてしまった。
可笑しいとは思っていたんだよね。
お姉ちゃんは《凄い面食い》の筈なのに、オークマンが好きだって言うからさぁ。
大体、あの位の外見だったら、幾らでもまだマシな奴いるし。
態々、オークマンみたいな不細工に媚び売る訳が無いんだから。
正直久美子と一緒にお姉ちゃんがシンナーか麻薬にでも手を出したんじゃ無いかと疑った位だよ。
なんで私達がオークマンとお姉ちゃんのデートに付き合わなくちゃならなんだよ。
しかも、大体15分位話す為に場合によって3時間位ベンチで暇つぶし。
まぁお姉ちゃん怖いから絶対に逆らわないけど。
ちなみに、姉貴って呼ぶと【お姉ちゃん】っていって蹴りいれてくるから、お姉ちゃんって呼んでいるんだ。
ヤンキーなのに締まんねーよな。
何時もの様に《またいちゃついてやがんの》そう思って見ていたらさぁ...なんだかオークマンが透けて来たんだ。
最近、スマホの見過ぎで目が可笑しくなったのかと思って見ていたらさぁ、オークマンがこの世の者とは思えないイケメンになったんだよ。
本当に信じられない。
たった一瞬だけど、引き締まった体に凄く上品な顔...まるで物語の主人公に見えた。
「綺麗」
素直に口をついて出た。
隣を見ると久美子も同じようだった。
もしかしたら、天城翼は呪いに掛けられているのじゃないか?
滑稽な事にそう思ってしまった。
ありえない...だけど今見えた姿は嘘じゃない、そんな気がする。
そういえば...やはりそうだ、翼を見ている女の話では、美形に見えている者も多い。
気弱そうな奴を無理やり足を止めさせて聞いたら、私が見ている姿が見えている様だった。
【だったら私がこの呪いを解く】
そう思った。
翼が呪われた王子様なら、呪いを解いた人は王女様になれる。
そう、思ったから...
ただ、今の私にはどうしたら良いのかは...解らない。
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