第25話 何かが変わり始めたかも知れない②
遅れる事15分。
私と久美子はファミレスに到着した。
「京子、久美子、こっち、こっち」
お姉ちゃんがこっちを見て手を振っている。
翼様が美形だと考えて周りを見て見たら全ての矛盾が解決する。
明かに周りから注目を浴びている。
最初、お姉ちゃんが目立つから見ている、そう思っていたが、周りの女性が明らかに好意的な目で見ている。
今迄はお姉ちゃんが特攻服を着ているから面白半分に見ている...そう思っていたが、こうして違う目で見ると全然違う。
女の子は赤らかにお姉ちゃんではなく、翼様を見ている。
少なくとも、もう私はオークマンと呼ぶのを止めようと思う。
何か翼様には秘密がある、私はそう睨んだ。
翼様と呼んでいるのは、暫定だけど王子様に見える時があるからだ。
「お姉ちゃん、翼先輩お待たせしてすみません」
「お待たせしました」
「今迄待っていたんだから、翼さんは紅茶、私はオレンジジュースのお代わり持って来て」
「それじゃ、久美子私はコーラね」
「悪いから俺が行こうか?」
「「翼さん(先輩)は良いんですよ! 久美子宜しく」
「はい」
もう一回、王子様に見えないか...チャレンジしてみたら...不味い見えた。
目を暫く凝らして見つめていると、オークマンの姿に靄がかかり、王子様バージョンになる。
もしくは、何回も瞬きをしていると、20回に一回位、王子様の姿に見える。
これは、本当にヤバイ...カッコ良すぎる。
「あんた、何やっているの?」
「いえ、翼先輩って凄くカッコ良いですね~」
「何当たり前の事言ってるんだ、翼さんは凄くカッコ良いのが当たり前だろう?」
答え合わせが必要だわ。
「翼先輩って何かスポーツしてました? 凄く体が引き締まってますよね?」
「ああっ剣術や乗馬をしていたんだ」
剣術、乗馬...そんなのはオークマンがしている訳が無い。
「ドリンクバーが混んでいてすみません」
「久美子ちゃんありがとう」
「いえ、どういたしまして」
久美子も私がしていたからか、真似ている。
そして顔を赤らめている...という事は同じやり方なら、久美子にも同じ姿が見えると言う事だ。
可笑しいな...私達とお姉ちゃんや他の女の子達とは何が違うのかな....
「おい、京子翼さんを睨んでなにやっているんだよ! 遅れて来たんだから、早くメニューを決めろよ」
「あっごめん、マヨコーンピザで」
「私はチーズドリアでお願いします」
《なんで二人とも俺を睨んでいるんだ》
「あの、京子ちゃんに久美子ちゃん、俺何かしたのか?」
「いや...そんな事ないですよ?翼先輩、王子様みたいに見えたんで気になって、ねぇ久美子」
「はい、偶に王子様みたいに見えるんですよ?何でですかね」
「あはははっ 騎士みたいなら兎も角、王子様は無いな? 揶揄ったりしないで、ほら注文が来たから食べよう」
「そうですね」
「頂きます、翼先輩」
騎士みたいなら...もしかして翼様は騎士だったのかな...
「おい、さっきから何しているんだ? お前達様子がおかしいぞ」
「あっお姉ちゃん、何でもない」
「何でもありません」
目を凝らすのを止めると元の姿になってしまう。
私は、ヤンキーだからそんな物語はは信じていない。
そういうアホみたいな話は小説の中だけだと思っていた。
だが、翼様を見ていると...呪われた王子様、そんな言葉が頭に浮かぶ。
美しい王子様が、呪いで豚みたいになった。
そんなメルヘンな物語りが頭に浮かぶ。
さっき、さり気なく手を触ったら固かった。
今現在は翼様は自分が呪いに掛かっている事に気がついていない。
言葉の端々に自分の自信の無さや自分が嫌われていると思っている節がある。
多分、今ならライバルはお姉ちゃんだけだ。
お姉ちゃんのほうが可愛いかも知れないが、私には楓と同級生というアドバンテージがある。
今のうちに...行動...
「翼先輩」
笑顔で私は呼んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます