第26話 友達の様子がおかしい

「京子ちゃんに久美子ちゃん...なにこれ?」


また呼び出されたから仕方なく行ったら、京子ちゃんがスモッチの新品と植物の森のソフトを持っていた。


「楓ちゃん、欲しがっていたじゃない? だからあげるよ!」


「あっ、ソフトは私からね」


どう見ても新品にしか見えない...だって両方共封を切ってないんだもん。


本体は4万円以上するし、ソフトだって7000円位する。


なんでこんな物くれるか解らない。


しかも、京子ちゃんだから、きっと不味い方法で手に入れた気がする。


「こんな高価な物貰えないよ」



「いいから、受取ってよ? これは楓ちゃんの為に用意したんだからさぁ」


「そうそう、貰ってよ」



「だけど、なんでくれるの?」



「いやだな~楓ちゃんと私は親友でしょう? それにもしかしたら彼氏の妹になるかもしれないんだからさぁ~だからプレゼント」


「そうそう」



えーと、何が何だか解らない。


「それって、まさかお兄ちゃんと付き合いたいって事?」


「率直に言うと、そう言う事かな?」


京子ちゃんが可笑しいな、茜さんは何となくお兄ちゃんに好意があるのは解る。


恐らく、人の外見なんて気にしない人なんだと思った。


ヤンキーで怖いけど、真剣なんだな位には思った。


私は本気で人を好きになっているような人の邪魔はしたくない。



京子ちゃん...あれだけオークマンって馬鹿にしていたのに?


だけど、こんな物をくれるんだから、嘘とも言えない気もする。


「それで、私はなにをすれば良いのかな?」


「あの...そのね、お兄さんの情報とか教えて欲しいなと思って」


「私も同じ」



「それ位ならいいけど? なんで?」



「お姉ちゃんと翼様が話しているのを見て、良い人だなって思って」


「うんうん、私も同じ」



「えーと...本気で言っているの? 確かにお兄ちゃんは性格は良くなったけど、外見はあれだよ」


「「外見は関係ないから」」



「まぁ、お兄ちゃんが好かれるのは嫌じゃないから良いけど...真剣に付き合うなら大変だよ?」


「「そうなの?」」



「うん、多分不良は駄目だと思う」



「それは無いんじゃないかな? だってお姉ちゃんで大丈夫なんだよ?」


「そうそう」



「お兄ちゃんの言う定義は、外見じゃ無くて中身だと思うんだ」


「「中身」」



「そう、何だか最近凄く、古風な感じになっちゃってさぁ、多分虐めとか悪ぶっているのとかダメみたい、う~ん、正義感が強いって感じかな?」


「解る―っ、うん確かにそんな感じだよね」


「うんうん」



「それで、その位の情報で良いなら、聞いてくれれば幾らでも教えるからさぁ...これは要らないよ」


「「だけど」」



「友達なら、猶更こういう物は受け取れないよ」


「そうだね、うん確かにそうだね」


「うんうん」



結局、ゲーム機とソフトは私が要らないと言ったから次の日に中古のゲーム屋さんに売りに行ったそうだ。


そして、京子ちゃん達にクレープを奢って貰った。


流石に、万単位なんて貰う訳にはいかないよね。


しかし...京子ちゃんや久美子ちゃんはなんで、あんなにお兄ちゃんを気にするんだろう。


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