第15話 【勇者SIDE】お前が死んで困るのは俺だ

俺の名前は天城翼。


女神にこの世界に導かれてきた。


誰もが知っている言い方をすれば【異世界転生の勇者】これが解りやすいと思う。


元は引き籠りでニートだった俺が事故に遭いそうになった少女を助け、この世界に来た。


凄いだろう?


正にライトノベルやアニメの主人公だ。


話を聞くと、その通りの話だった。


ただ一つ違ったのはもう、この世界に戻れない事だけだ。


勇者になって帰って来る事が出来なくても、問題は無い。


家族はくそ婆とクソガキだけだし、学校でも虐められるだけ...こんな世界こっちから要らない。


しいて言えば復讐が出来ない、それだけだ。



俺は勇者として召喚され、チートと誰もが羨ましがる容姿を手に入れた訳だ。


だが、此処からが話は違っていた。


俺は魔王を倒し、この世界では美女と名高いジョセフィーナ姫や聖女に賢者をも手に入れた。


どうだ、羨ましいだろう?


本当に羨ましいならやろうか。うん本当にやるよ...チートもこの容姿も纏めて。


いや、真面目に貰って下さい...その世界に戻してくれくれるなら代わってやるよ...


この屋敷も女も名誉も全部あげるからさ...戻してくれないか?


無理だって、そうだよな、だってあんた神じゃないもんな..



だけど、ブスは3日で慣れるというけどさぁ...全ての女がブスだと慣れないぞ。


早く、10人子供を作って隠居生活したいんだが..無理..立たないんだ。


そればかりか、酷い時には吐いてしまうんだ..


此奴らが性格が悪ければまだ良かった...だけど、凄く性格が良いんだ..それがまた悲しい。


特に、ジョセフィーナ...此奴は相思相愛の婚約者から引き離した、恨まれても仕方ないのに、尽くそうとしてくれている。


一応はこの中では一番真面だ..それでも気持ち悪いけど、まだ真面。


世界で一番美しく綺麗なジョセフィーナ姫、それがどんなレベルか...


お前の周りで一番不細工な女を思い浮かべて、あっ流石にジョセフィーナ姫レベルなら人間な架空じゃなくて良いぞ。


そいつとどっこいどっこいだ。



俺は子供が出来たら婚約者のセレスに返してやるつもりだったよ。


彼奴は凄い美少年だったし、このブスが本当に好きそうだった。


わざわざ屋敷迄きたんだ、好きなのは解ったしな...ブスだけど。


だから何も罪に問わない様に頼んだ..なのに国を出ていく事になり、盗賊に殺されやがった。


ふざけんなよ! 勇者の俺が罪に問うなって言ったんだ、ちゃんと聞けよ。


死なれて困るのは..俺なんだぞ!


俺はさ、どうにか頑張って10人子供を作って、彼奴に詫びるつもりだったんだ。


当たり前だこんなブス達に一生付きまとわれたく無いよ...


どうにか子供を10人作ったら


「女神に頼まれ子を設ける必要があった」


「本当に済まないが俺は魔神を警戒しなくてはならぬ、から旅立たなくてはならぬ」


そんな事いって立ち去れば良い。



この世界で美人である聖女や女魔導士やメイドに少女..俺のブスハーレムを譲るつもりだったのに...何で死ぬんだよ..セレス。


それで、お前にとって美女ハーレムが手に入って俺はこのブス軍団とお別れWINWINだろうに..



押し付けるチャンスが無くなったじゃないか...皆に聞いたよ、お前凄い人気者じゃん、イケメンだし性格も良いんだってな。


案外こいつ等ブスなのに男の好みは煩いんだよ、何時も《傷物にしたんだから責任とれ》《一生添い遂げて貰います》《生涯愛しますわ》


普通に嫌なんですけど...


流石にセレスが死んだ日はジョセフィーナは泣いていたな..気持ち悪い女だが心が痛むんだよ。


初めて此奴を抱いた翌日にはセレス、セレスって泣いていた。


だけど、俺は悪くない「そう思う」だって俺が来なければこの世界は魔族に滅ぼされた。


だが、俺が来なければ、お前は恋人も失わなかったし死ななかった。


魅力のチートを俺が貰わなければお前は幸せだったのかも知れない。


このブス達も幸せに暮らしていたかもな。



この世界は本当に悪意に満ちている。


俺が嫌いなのか? あの女神は何を考えているんだ。


食事も旨いし気候も良い...なのに女だけが最低なんだ..


絵画から彫刻まで醜い女しかいない..今までは前の世界の女で抜いてきたが最近では記憶が薄れてきた。


ボーイズラブに走れたらそう思ったが、俺には無理だった。


彼奴らと美少年...不細工でもまだ女の方が良いみたいだ..幾ら美少年でも無理だった。


だから、最近、勇者の権限でちょっとした奇習をバラまいた。


「勇者様の世界では男も乳首を隠すんですか」


「ああっこちらにしたら可笑しな風習だと思うがな」


これを地道に流行らせた結果、男が裸になっても女と同じ様にブラジャーのような物をつける風習をつくれた。


これで、風呂やプールに行って下さえ見なければ脳内変換して一部の男が貧乳美少女に見えなくもない。


虚しいな...


もう高望みはしない、普通でも良い、地味子でもいい、一人で良いんだ、平均的な女の子に会わせてくれ


そうしたら、俺の栄光なんて全部やるよ...




※ 勇者の話は大体後2話で終わる予定です。


  本編は続きます、次の勇者の話で勇者の転移した世界がある程度解る様にします。


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