第12話 【楓SIDE】昔のお兄ちゃんとも違うかもしれない。

今日彼奴が帰ってくる。


悪魔の様な彼奴が...


彼奴は本当に悪魔だった。


私が小さい頃は自慢のお兄ちゃんだった。


外見はそんなにカッコ良くは無い...まぁ私も器量がそんなに良い方じゃないから同じだけど。


でも何とも言えない癒し系な存在だった。


彼奴の友達の日向さんがスターだとすれば、彼奴は、癒し系。


簡単に言うなら恋人には向かないけど【こんな人と結婚したら幸せだろうな】そう思わせる安心感がある。


だから、派手な女の子は日向さんを好きな子が多いが、地味な感じの女の子には彼奴は凄く人気があった。


私の初恋の相手は...彼奴だ、彼奴がお母さんに告白した時に解った、私はお母さんが嫌いじゃない、寧ろ仲が良かったと思う。


だけど、彼奴が【お母さんと結婚する】と言った瞬間から、暫くお母さんが嫌いになった。


人生最大の汚点としか言えない...あの悪魔の様な男が初恋なんて、今となってはあり得ない。



小学校の時はあんなに優しく素敵だったのに...中学に入ってから、オタクになっていった。


サッカーを辞めて、部屋でお菓子食べながらアニメを見る様になり、あんなに良かったスタイルは最早見るに耐えなくなっていた。


彼奴は「デブじゃないぽっちゃりだ」と言い張るが...いやもうデブだから。


まだこの頃は、理想のお兄ちゃんでは無いけど、まだお兄ちゃんだとは思っていた。



だが、此奴はどんどん悪魔になっていった。


彼奴をお兄ちゃんと思えなくなったのは、お父さんが死んだ時だ。


お父さんが死んでお母さんと私が泣いているなか、彼奴はアニメを見て笑っていた。


しかも、うちが凄くお金が無くて苦しいのに、彼奴はお母さんの財布や貯金からお金を盗んで漫画やゲームを買っていた。


家族全員が知っているよ...馬鹿だよね、お金が無くなって、物が増えていればそいつが犯人だ、誰でも解るのに。



この頃には【お兄ちゃん】が嫌いだった...だがそれでもまだ家族だと思っていた。


クズ兄ちゃん...クズだけどお兄ちゃん....それが近いと思う。



暫くして、クズ兄ちゃんは学校で虐められる様になった。


当たり前だよ、どう見てもブクブク太って豚みたいだし、幾らお母さんや私が言ってもアニメを見たりPCを見ていてお風呂に入らない...デブで不潔でフケまで出ている...普通にみんなから嫌われるって。



【いい気味だ】



本当に思った。


だが、それでもまだ、この頃はクズ兄ちゃんだった。


此奴が悪魔に変わったのはこの虐めが進んだ時だった。


毎日の様に怪我や鞄に悪戯書きをされていた。


偶に、涙ぐんでいる事もあった。



【いい気味だ】



普通は虐めにあっていたら可哀想とか同情するかも知れない。


昔は私も虐めは絶対に【虐めている奴が悪い】そう思っていた。


だが、クズ兄ちゃんを見ていると私はそうで無いと思う様になった。


だって、性格が悪くて、不潔でデブで醜い...自分からそうなった人間...一方的に【虐めている人が悪い】とクズ兄ちゃんに関しては言えないと思う。


自分では何一つ努力しない、そのくせに人を小ばかにする、そして不潔でデブ。


こんな人間嫌われて当然じゃん。


少なくとも、私やお母さんの言う事を聞いていれば【不潔】じゃない。


人を小ばかにしなければ嫌われない...人に嫌われる要素を自分から纏っているんだから嫌われて仕方ないよ。


だから【虐めは必ずしも虐めている人が悪い】そうは思わなくなった。



だって、家族が死んでもなんとも思わない人間で心も体も醜い人間なら嫌われてしょうがないんじゃないかな?



お母さんは【虐められないように】と学校に何度も足を運んだけど。


無理だって...だって妹の私から見て気持ち悪いんだもん。



学校側は「やり返さない奴が悪い」「子供同士の事」そんな風にいって取り合わなかった。


まぁ、あの高校じゃそうだよね? 


だって体育会のノリなんだから...だけどこれもクズ兄ちゃんが悪い。


勉強しないでアニメや漫画ばかり、だからそこの学校になったんだよ。


ちゃんと勉強していれば、もっと真面な高校に行けたんだからね。



虐めが元で学校に行かなくなったクズ兄ちゃんは部屋に引き籠る様になった。



「うるせーよ、くそ婆ぁーーーっ飯は部屋で食うって言っているだろうがーーっ」



「食事の時位、下に降りてきなさい」


あはは..もうクズ兄ちゃんでも無いや...タダのクズだ。


お母さんをくそ婆って呼ぶし私はクソガキ。


家から出ないクズは、何も出来ない癖に人を見下し、暴力を振るう。


やれ菓子を買って来いと言ったり、漫画を買って来いだって...しかもお金も払わない。


本当のクズだ。



それはどんどん酷くなっていた。


妹にエロゲーやエロ漫画買って来いって...最早クズを通り過ぎて悪魔だよね。


しかも買って来ないと癇癪起こす。


なんで私があんたのおかず買いに行かなくちゃいけないのかな。


中学生の女の子がエロ本買うなんて恥ずかしくて仕方ないよ。


まぁ、近所の皆が貴方の事知っているからさぁ...変な目で無く同情してくれるから良いけどね。



私は可愛く無くてついていたよ。


もし可愛かったら犯されていたかも知れない。


それは母さんも同じ。


まったく、熟女物からロリコン物まで満遍なく読むんだから変態だよね。


小学生から母親がヒロインの物...しっかり私やお母さんも対象内じゃん。


キモイ....



しかも偶に私の部屋に勝手に入ってきて、写真みたり、勝手に私のスマホ見て。


「この子可愛いから紹介して」だって。


馬鹿じゃ無いの? 昔のお兄ちゃんなら考えたかも知れないよ...悪魔に友達は紹介出来ないよ。


暴力振るって犯されでもしたら堪ったもんじゃない。


「紹介出来ない」


そう言ったら、人のスマホを叩き付けて壊した。


もう悪魔以外の何者でもないよね...



だけど、その女の子、友里恵ちゃんはね、小さい頃はお兄ちゃんが好きだったんだよ...笑える。


もしあんたが中学でも頑張ってサッカーを続けていたら紹介なんてしなくても、勝手に友里恵ちゃんは告白したんじゃないかな?


昔、友里恵ちゃんはあんたにバレンタインにチョコレートをあげた事もあるよ...まぁチビだった時だから200円位の、ただ友里恵ちゃんのお小遣いは月300円なんだから...本命チョコなのにあんた気がつかなかったんだよ。


笑えるよね、あんたがクズになってもギリギリまで友里恵ちゃんはあんたが好きだった。


まぁ好きだった男の子がキモく成ったら落ち込むよね。


暫く泣いていたよ...まぁ今は彼氏持ちだけど。



暴力から逃げる様に私やお母さんは夜まで帰らない様にした。


お母さんは万が一を考えて、親類に私を預けることも視野に入れているようだ。




そんな悪魔になった様なクズが車に敷かれた。


【死んでくれないかな】


本当に思った...


子供を守って敷かれたって...あははは、間違いだって、多分小さな女の子に悪戯でもしようとして敷かれたんじゃないの?


あの悪魔が、良い事なんてする筈ないって。



クズは意識不明の重体。



お母さんはお見舞いに行かないのか聴いたけど...行くわけ無い、当たり前だよね。



暫くしてクズは目を覚ました、お母さんは喜んでいたけど私は不安で仕方ない。


また悪夢の始まりかと思った。


だが、お母さんは...毎日喜んで通っていた。



「楓、楓奇跡が起きたのよ、お兄ちゃん...翼が帰ってきたの、あの優しいお兄ちゃんが帰ってきたの」


興奮して何をいいだしたのか解らない。


暫く話を聞いていると...記憶が混乱していてクズは昔の様になっているらしい。


一瞬、昔の優しかったお兄ちゃんを思い出したが...あのクズが改心したと思えなかった。


お母さんはこの頃から、少し変になった気がする。


髪をしっかりと整えて、お化粧もする様になった。


そして、クズが可笑しくなる前の様によく笑う様になった。


「うふふっ翼がね」


クズに会うのではなく恋人に会う様な感じに出かけていく。


もし、これがお父さんが生きている時なら不倫を疑ったと思う。


最近では質素だけど、白いブラウスに黒いタイトスカートを良く着ている。


一見清楚に見えるがスカートにはスリットが入っていてブラウスは胸元が大きく開いている。


しかも、そこから覗くブラは...紫だった。


お母さんはもしかしたらクズではなく、男でも出来てお見舞いの後にデートでもしているんじゃないかな? そう思う位母には見えなかった。


お母さんはお兄ちゃんを産んだのが21歳だから、今は37歳だ...クズの持ってる漫画のそんなヒロインも居た気がする。


帰ってくるのが遅い...朝は9時から出て行って遅い時は8時、お見舞いには長すぎる。


「翼がね」「翼が凄く優しいの」「翼が」


あのクズがそうなるなんて思わないよ。


気がついたら、明日にはあのクズが帰ってくる。


笑顔のお母さんに対して私は憂鬱で仕方ない。


「翼は天使なの...可愛いわ、楓も許してあげて...」


まさか...あのクズは童貞を捨てたがっていた...まさか母さんとしたのかな..流石にそれは否定したいよ。


だけど、我が母ながら...最近妙に色っぽい。


今迄ベージュのおばさん下着しか履いて無かったのに...最近は赤や黒、紫、まさか勘弁してよ。マジで。


お兄ちゃんが帰ってきた。



私が家に帰った時...クズはお母さんに抱き着き泣いていた。


何があったのか解らないが、少し様子が違う。



「お母さん、そいつが心を入れ替えたって本当」


「ええっお母さんは暫く様子を見てたけど、間違いないわ、優しかった翼に戻ったわ...記憶は混乱しているみたいだけど...」


あのクズ人間が変わった...私には信じられない。


「あっそう、あんたが本当に心を入れ替えたならまず、やる事があるんじゃないのかな?」


このクズは謝ったりしない、そう言う確信があった。


中学のあたりから一度も謝らない。


家族はおろか外で問題を起こしても..それで私も母さんもどれだけ困った事か。


「本当に申し訳なかった」


直ぐに土下座をしていた、本当に信じられない。


一瞬目を疑った。


だが、こんな物で私は許す気はない。



「へぇー少しは変わったんだね、だけどさぁ...ちょっと」


「翼、もう頭をあげていいわ、ねぇ楓ももう良いでしょう?」



お母さん、何で勝手に許そうとしているの?


散々殴られたり蹴られた事は忘れたの?


階段から突き落とされた事は私は忘れられない..



「それって、何のポーズ、そんな事してもあんたは痛くも痒くもないよね、私や母さんみて、痣だらけじゃない」


「ちょっと楓、もう...」


「母さんは黙って、殴られたり蹴られたりしたから、こんな何だよ! 今はこれでもましな方なの、前は顔にまで痣があったんだから!」


お母さんと違って私はそう簡単に許せないよ。


「ちょっとあんた逃げる気?」


やっぱり嘘だったんだ、どうせ...えっ!


嘘、私追い詰め過ぎちゃったの、ハンマーなんて持って..まさかそれで殴ったりしないよね、やめて。


「お兄ちゃん、そのハンマーでどうするの...ごめんなさいーーーっ」


嫌だ、死にたくない、こんなクズに...チクショウ...やっぱり此奴は悪魔ーー。


何時までたっても痛みが来ない、私はゆっくりと目を開けた。


嘘だ、お兄ちゃんの手が手が...


「お兄ちゃん、何やって...」


「翼、翼いやぁぁぁぁぁぁっ」


お母さんは泣き叫んでいた..だってお兄ちゃんの手が血だらけだから...もしかして骨も折れているかも知れない。



「俺が静流さんや楓に酷い事した、それはもう変えられない、これでも反省はしたんだ...楓が俺が痛い思いをする事で気が晴れるなら、俺にはこんな事しか思いつかないんだ」


嘘でしょう..そんな



「赦して貰えるまで何度でも」


お兄ちゃんは再びハンマーを振り上げた。


嘘でしょう、まだ自分の手を殴るつもり...そんな事したら二度と手が使えなくなっちゃうじゃない。



「お兄ちゃん、もういい、もういいから止めて~私が悪かったから」


「翼っ楓ちゃんも許してくれたわ、だからもうやめて」


「解った...楓は何も悪い事はしてないから謝る必要は無いよ、全部俺が悪いんだから、お兄ちゃんと呼んで貰えて嬉しかった...ありがとう」



怖いの半分とお兄ちゃんの覚悟を見た気がする。


今迄あんな顔したお兄ちゃんを見た事は無い。


目が笑ってない...多分あのまま許さなければ、手が潰れるまで今のお兄ちゃんは手を殴り続ける...そんな気がしてならない。



「お兄ちゃん、医者にいきなよ...その手」


「大丈夫だから、俺は悪い事していたんだ、この手の痛み位我慢するさ」



「翼、絶対に病院に行きなさい」


「これは駄目だ、けじめみたいな物だから」



けじめ...そこ迄反省していたんだね。


今だって手から血が流れている...しかも白い物が見えている、あれは骨かも知れない。


いくら言っても...お兄ちゃんは病院に行こうとしない。


本当に変わろうと思っているんだね...疑ってごめんなさい。



「本当に頑固ね、解ったわ母さんが手当してあげるわ、その代わり可笑しくなったら絶対に直ぐに医者に行くのよ!解ったわね」


「解った」



兄妹って本当にズルいな、あんなに暴力振るわれてこれでチャラなんだから。


だけど今のお兄ちゃんに言っても仕方ないよね...今のお兄ちゃんは昔の天使の様なお兄ちゃんなんだから、まぁ姿は豚、は悪いか..豚さんみたいだけど。


いまのお兄ちゃんは見た目は豚さんみたいにデブのままだけど、優しそうな気がする、まさかあんな事までするなんて思わなかったよ...でも戻るなら外見も昔みたいに痩せてくれないかな...そうしたら嬉しいな。




「静流さんは料理まで上手いんだ、凄く美味しい」


「お母さん、静流さんってお兄ちゃんどうしたの?」


「それも後で話すわ..」


よく考えたら...私も楓って呼ばれていた様な気がする。


「楓が作った卵焼きも凄く美味しい...本当に我が妹ながら可愛いし料理が旨くて、凄いね」


「あははっお世辞は良いよお兄ちゃん...私が不細工なのは自分でも解っているからさぁ」


「そんな事無いよ、楓より綺麗な女性なんて殆どいないと思うよ、兄妹じゃなければプロポーズしかねない」


「お兄ちゃん、私はもう許したから、お世辞は良いよ」


「それも後で話すからね楓」


「俺はお世辞なんて言わないよ、多分俺は世界一幸せで、世界一不幸かもな、こんな綺麗な家族と暮らせる幸せと家族だからプロポーズ出来ないんだから」



《お母さんこれ...何かな?》


《うふふっ、優しい翼が帰ってきたのよ》


いや...お母さんこれ、昔のお兄ちゃんじゃないよ?


流石に此処までマザコンやシスコンじゃないよ...信じられないけど、本気で言っている。


そんな気がしてならない。




「翼、病み上がりで疲れたでしょう? 今日はもう休んだら」


「そうだよお兄ちゃん、休んだ方が良いよ」


「そうだね、そうさせて貰おうかな」



お兄ちゃんが部屋に帰った後お母さんと話した。


「あの、お兄ちゃんどうしたの? 優しくなったのは解るけど」


「凄いでしょう? 多分神様が奇跡を起こしてくれたのね? 凄く優しくて家族思いで素敵なお兄ちゃんでしょう?」


「確かにそうかも知れないけど...」


可笑しいな、兄妹の愛情じゃ無く、まるで恋人を見る様な目で見ている気がするのは私の錯覚なのかな?


前とは別の意味で不味い気がする。


お母さんの様子は、完全に息子を見る母親の目じゃない気がする。


どちらかと言うとお父さんを見る目、それも若い時にイチャイチャしていた時のお母さんに見える。


あの派手な下着から考えるとあながち否定もできないよ。



「もう、安心して良いと思うわよ」


「あのさぁ...まさかお母さんお兄ちゃんと変な事していない?」


「別にしてないわ」


嘘でしょう...何で顔を真っ赤にしているのよ、直ぐに否定してよ。


嫌だ聞きたくない。


「まさか...違うよね、お母さん」


「大丈夫よ、親子の一線はまだ超えていないわ」


まだ...冗談やめてよ! 


「お母さん」


「違うわ、あのね本当に翼は理想の息子になっちゃったのよ...母さん、恋人に間違えられる様な仲の良い息子が欲しかったからね」


「そう言う事...良かった」


「うん、今の翼は、外見は兎も角、中身は凄くそれに近いわよ」


あの、豚みたいに太ったお兄ちゃんが...あり得ない。


「あははっまさか」



「信じないなら良いわ、多分楓も思い知る事になるから」


「流石に無い無い」



その日はそのまま部屋に帰り寝た。


次の日起きたら...お兄ちゃんは起きていた。


家中ホントにピカピカ...まぁお兄ちゃんは壊した痕跡はそのままだけど。


「翼...掃除してくれたの? 凄く綺麗になっているわ、驚いた」


それより、玄関に置いてあったフィギュアが気になった。


あれはお兄ちゃんの宝物だ...以前一体壊したら、グーで顔面殴られた。


それがまるで捨てるゴミの様に置いてあった。


横には漫画やエロ漫画、アニメDVDも置いてある。



「お兄ちゃん、掃除もそうだけど、あの玄関にあったのお兄ちゃんの宝物でしょう?」


「ああっ、ああいうのはもう卒業しようと思って」



もう疑いようはないよね、あれを手放すなら、本気なのが解る。



「もう、本当に買わないのね、なら母さんが売ってきてげるわ、買った時は高かったんだから捨てちゃうのは勿体ないから」


「そう、なら静流さんに任せるよ」


「それじゃ、母さんまだ有給消化中だから今度行ってくるわ」



確かに高い物もあるからね...捨てちゃうのは勿体ないよね。


だけど、本当に興味が無い様にしか見えないな...別人みたい。




「それより、朝食も作ったから2人とも顔洗ってきなよ」


「翼が作ってくれたの? 母さん楽しみだわ」


「お兄ちゃん、料理出来たの」


「まぁ静流さんには到底敵わないけどね」



えーとお兄ちゃん、料理は出来ないよね、お皿は洗った事はあるけど、ラーメンやインスタントのカレーしか作っているの見た事無いよ。


どんな料理作ったのかな。



「あと、2人とも、そのそう言う恰好は凄く目の毒だから押さえてくれると助かる...」


「あっ...あははは、そうねごめんね翼、母さん気をつけるわ、だけど翼は見たく無いの?」


「あの..本当に困るから」


「はいはい、気をつけるわ」


「あのお兄ちゃん何を言っているの? 兄妹なのよ気にする事無いよね? お兄ちゃんだってよくパンイチで居たじゃない?」



少し前のクズ兄ちゃんの時は身の危険を感じたから気をつけていたけど、今のお兄ちゃんなら別に良いじゃん家族なんだし。


って、何でそんなに顔を真っ赤にしているの? お母さんと私だよ? グラビアアイドルじゃないしさぁ...くそ婆とかクソガキって言っていたよね? 興味何て無いはず...まさかね。



「いや」


「いやじゃ無くて、まさかお兄ちゃんは妹の下着に興奮する変態じゃないよね?」


「楓は確かに妹だけど、凄く可愛いし綺麗だと思う、静流さんもね...」


「ななな..」


何言い出すのよ..母さんも横で顔赤くしないで、そんな事言われると凄く恥ずかしいんだけど。


やだ、この格好パンツが見えるじゃない。



「凄く可愛くて綺麗な美少女の楓がそんな恰好で居られると、ちょっと目のやり場に困る」


ちょっと、待ってこれがお母さんが言っていた事...昔のお兄ちゃん所じゃないってこういう事? 可愛い? 美少女?やめてよ顔が赤くなってくる...こんな事言われたら、こっちが恥ずかしくなるよ。


扱いが悪いのは最悪だったけど...扱いが良すぎるのも怖いよ、何でだろう顔が見れなくなる、そんな事言うから何だか胸が苦しくなるじゃない。


「ハァハァ..解ったよお兄ちゃん、今度から気をつける」


これ逆の意味で大変なんじゃないかな? 前は身の危険を感じたけど、今度は自分が流されそうで怖い、見た目がオークマンのあだ名通り今は不細工だから良いけど、もし、昔の様に痩せたお兄ちゃんに言われたら、踏みとどまれる自信はないよ...だって目が凄く綺麗なんだから...


しかも、偶に何でか凄くカッコ良く見えるから怖いよ。




お母さんと一緒に買い物に出かけた。


お母さんは大人気ないと思う。



「あれお母さんはパジャマ買わないの?」


「お母さんは良いから、楓は好きなの3枚位買ってよいわ」


ああ言われたから可愛らしいパジャマを選んだら...その後お母さんは高級寝具コーナーでシルクのパジャマを買っていた。


まぁ養って貰っている私じゃ文句言えないけどね。



「楓、これは翼ちゃんには内緒だけど...隠れて凄い筋トレしているわよ」


「本当?」


お兄ちゃんがもし痩せたら、私やお母さんはどうなるんだろう、まぁ良いやその時考えよう。



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