第51話 妹
凄く疲れた..出来る出来ないは別にして..僕はこういう事は好きでは無い。
あの後、楽しく話をして家まで車で送って貰った。
絵里香さんに海人さんに華子さん..とは仲良くなれた気がする。
だけど、他の人の印象は余り良くないだろう..
はっきり言うと、天上家の人や麗美さんの組織の人とは一緒に居て苦にならない。
だけど、二条家の人とは反りが合わない。
多分、前の世界なら天上家や麗美さん達は仲の良い貴族でお互いに助け合う家。
二条家は気の置ける相手となるだろう..
此処での僕は貴族でも何でもない..ただの学生だ..無理して付き合う事も無いだろう。
「お兄ちゃんどうしたの? 帰ってくるなり疲れた顔して」
「色々と疲れてね」
《何だか哀愁が漂ってるよ、だけど、そんなお兄ちゃんも素敵だな》
「そう、そうだお兄ちゃん、アイスが買ってあるんだ、良かったら食べる」
「うん、頂こうかな?」
「じゃぁ持ってくるね」
「うーん美味しい、ありがとう、まひる」
「どういたしまして」
《しかし、見れば見る程..うんカッコ良いな..お兄ちゃんのせいで、他の男子がもうジャガイモにしか見えなくなってきたよ》
「どうかしたの? こっちを睨んで、また僕何かやっちゃった?」
「ううん、何でもないよ..気にしないで」
「そう、なら良いんだけど」
《こういう所は朴念仁なんだよね...》
この世界に来てから、本当に思うんだよな..この世界には美人か美少女しか居ない。
例えば、妹のまひるだ..自分では普通だよ..なんて言っているけど、前の世界なら、「世界一の美少女です」っていっても通用する。
うん、凄く可愛い。
「どうしたのお兄ちゃん! お兄ちゃんこそ、まひるを見つめてどうしたのかな?」
「いや、まひるはいつ見ても可愛いなって思ってさ..」
「おおお兄ちゃん..冗談はやめてよ」
「あっゴメン..アイスありがとうごちそうさま」
こういう事を真顔で言うんだから、お兄ちゃんは本当にズルいと思う。
こういう事を言われるとドキドキし始めて汗が噴き出してくる。
あれはお兄ちゃん、あれはお兄ちゃん、あれはお兄ちゃん、あれはお兄ちゃん、あれはお兄ちゃん..
スーハ―スーハ―..うん、これで大丈夫。
天上心美に後藤田麗美さん、他にも沢山の女の子がお兄ちゃんに熱をあげている。
祐子ちゃんに恵子ちゃんもそうだ。
しかも、2人が、学校で「お兄ちゃんがカッコ良い」なんて話しをしているから、バレてしまった。
そりゃ、あの二人が急にアイドルの話をしなくなって..私に優しく成れば、なんかある、そう思うのは当たり前だ..
中学生の女の子なんて噂が好きだから絶えず聞き耳を立てている。
そうなれば...うちに様子を見にくる子が居ても可笑しくない。
その結果...
「まひるのお兄さんって凄くカッコ良いんだね...驚いた」
「カッコ良いってどの位?」
「誰も敵わない位」
「幾らなんでも盛り過ぎだって」
「だったら見て見れば良いじゃん..芸能人なんてゴミに見える位カッコ良いんだから」
こう言う話しになると..見に来るよね..
結果..「本当だった..あれは凄いね..」
そんな事が何回もあったから..とうとう、うちの中学で「まひるのお兄さん、王子様」なんて言われるようになった。
恵子ちゃんも裕子ちゃんもお兄ちゃん、お兄ちゃん..
何時も話はお兄ちゃん、お兄ちゃん..
お兄ちゃんがカッコ良いのは、私が一番知っているよ..だって一緒に暮らしているんだからさ。
「お母さん、お兄ちゃんと私って血が繋がっているよね..」
「まひる、怒るよ、そんなの当たり前でしょう」
万が一、私が拾われたか、お兄ちゃんが拾われていたら嬉しかったけど..現実は残酷だ。
いっそうの事、2人して異世界にでも召喚されないかな..何回も起きる訳が無いか..
このままだと、私は可笑しくなってしまう。
だから..早く、お兄ちゃんには恋人を作って欲しい。
私が納得するような、素敵な恋人をさぁ...
だから天上心美でも後藤田麗美さんでも構わない早くくっついてくれないかな..
そうしないと私は..お兄ちゃんを押し倒してしまうも知れないから...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます