第43話 コーヒー

「絵里香さん、それは私に喧嘩を売るそういう事なのかしら?」


「麗華様、そんな気はありません...ですが..」


まぁ、この子なら仕方ないですわね、私と同じでお相手に恵まれない家柄ですから..


「いいですわ、なら正々堂々と勝負しましょう」


「はい」


嬉しそうな顔ですわね..まさか絵里香と男を取り合うとは思いませんでしたわ!


「二人で嬉しそうに話しているわね、なら私もライバルね!」


「何でですの?」


「何でですか?」


「それはど.う.い.う.い.み.か.し.ら?」



「絵里香はまぁ私と同じに考えるならお姫様ですわ、翼様が王子様だとしたら結ばれるかも知れませんわね」


「私は一体なんだというのかしら?」


「そうですね、騎士ですわね..だから、私や翼様、絵里香を守る存在ですわね」


「そうですよね! 天上さんは素敵な騎士様ですね...」



「それはさり気なく、私が翼くんと釣り合わない、そう言いたいのかしら?」


「汗くさい脳筋女にしては良く解りましたね」


「脳筋ですって..自分だって老け顔じゃない?」


「あら、目まで腐っているのかしら? 私みたいなのは大人っぽいって言うんですのよ?」



この二人実は凄く仲がよいんじゃないかしら?


だって、麗美様が本音で話してますからね...


こんな普通の麗美様は滅多に見られません。


人を一段下に置き、自部は高みから見下ろす...それが麗美様。


そして興味が無くなった者には冷徹な麗美様。


その証拠に麗美様がたまに見せる蛇の様な恐ろしさがどこにも出てきません。


ここでは、「剣道小町」も「麗美様」もコホン「麗しの生徒会長」もただの人なのですね...


居心地が良い筈ですわ...



「それで..話は戻しますが..おじい様に会って貰えませんか?」


「どうしてかな?」


こっちの世界に来てから..普通のおじい様に会った事が無い気がする....


「実は私のおじい様は、その孫離れができないので、友達は一度会わせないといけないんです...駄目ですか!」



こんな綺麗な子に上目づかいされたら...断る訳にいかないな...


「別に構わないけど、何時が良いの?」


「だったら、これから良いですか?」



「私も行って良いかしら?」


「心美駄目ですわ!」


「何で、別に良いじゃない」



《この子のおじい様 二条院権蔵ですわ、一般人が簡単に会って良い人間じゃありませんわ》


《あのさぁ。私も天上鉄心の孫なんだけど..》


《そうでしたわね、ただの汗くさい女じゃありませんでしたわね...ですが、今日は遠慮するのが礼儀じゃなくて?》


《あんたね..まぁ良いわ、変わった家族を持っているのはお互い様だしね》


《そうですわよ》



「そういう事なら私達は此処で失礼しますわね..お父様に宜しく言ってくださいまし」



「はい 麗美様」



「それじゃまた明日」


「はい、天上さん」



麗美はレシートを持って支払いをしていた。


本来は僕が出すのが正しい筈だけど...正直キツイ。


だってこのコーヒー1杯3200円なんだもの...


元公爵家だといってもこっちでは普通の家の子。


無い袖は振れないのだ。


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