第36話 未来の選択

教室から旨く逃げられた。



屋上に来て1人で考える。


幾ら僕が恋に鈍感でも流石に解る..心美さんも麗美さんも僕に好意を抱いてくれている。



正直言うとこの世界の女性は皆んなが綺麗だ。


まるで天国にでも迷い込んだように綺麗な女性しかいない..多分、この世界には醜い女性なんて居ないと思う。


そして、その美しい女性の中でもこの二人は群を抜いて美しい。




例えば心美さんだ、能力は正直、騎士や冒険者としても未熟だが、美しさだけなら、伝説の騎士女神にすら勝るとも劣らない。


だけど、何かが物足りない..美しさはジョセフィーナですら比べ物にならない..


だが、ジョセフィーナは気遣いが出来、国や将来の事を常に考えていた。


そして、僕と婚約してからは僕が将来継ぐであろう、領地の事について勉強していた、それこそ寝る間も惜しんで。


水害対策に、領民の事..自分の事よりも何よりも、領民や領地について考える...美貌もあるが真摯に打ち込むその姿にも惚れたんだ。



心美さんは目を奪われる程美しい..男としては欲しくて欲しくて仕方ない..だが貴族として過ごした人生が邪魔をする。


「好きだ」と答えて共に過ごしたい反面、「それで良いのか?」そう言う自分も居る。






では麗美さんはどうだ、正直殆ど面識はない、だが、死んだお母上が居たなら確実に「この子を選びなさい」そういうと思う。


僕は公爵家の人間だ、初めて会った人間の値踏みが出来ないと生きていけない、そしてそんな僕の目から見た彼女は父上の言う「碌でもない目をしている」


この碌でも無い目と言うのは父上は嫌うが貴族としては重要なんだ。


例えば、母上だ、僕は三男で末っ子という扱いだが実際には僕の上には三人の兄が居た。


つまり、本当は四男だった筈なのだ、だが母上は私の上にいた兄の一人を兄としては認めず、父上の子供として認めなかった。


何故認めなかったのか?


それは側室の子だった為だ..そして父上は側室にかなり入れ込んで居た。


その事に気をやんだ母上は側室とその子供を殺してしまった、しかも事故死にしか思えない様に..


どうやら側室の子はかなり利発な子だったらしく、兄上の地位が脅かされるそう思ったらしい。


こういう事を気取られずにさらっと出来る。


顔色も変えずに人も殺せる、謀略を張り巡らせる...こういう人間には独特の目つきや雰囲気がある。


母上はこういう人間が好きだった。


「大事な息子の人生を預けるんだもの、人位サラッっと殺してくれなきゃ」


ジョセフィーナや義姉は言われたそうだ。


そんな母上だから...絶対に麗美さんは気に入る。


何しろ母上と同じ碌でもない目をしているんだから。


そして僕はこの禄でもない目が好きだ..


この世界の僕が貴族であったら頭を下げて貰うべき女性なのかも知れない。




だが、この世界は凄く平和なんだ..人を殺した事が無い剣聖が要る位に...


正直言うなら、此処まで深く考えなくても、普通に結婚して普通に過ごせる位に...


だから、「誰と結婚しても多分幸せに暮らせる」


この人と一緒じゃなきゃ人生が詰む....そんな事は無い..


だからこそ、誰を選べば良いのか...正直僕にはまだ選べない...



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