第35話 【閑話】麗美の恋物語 中学生編 (残酷注意 嫌いな人は読まない方が良いかも)

「後藤田麗美さん 僕と付き合って下さい」


はじめての告白ですわ...


私は家があれなんでこんな経験はありません。


「それは 私の家の事も全部解っての事ですの?」


顔を赤くしながら決意の籠った顔..をしてますわね。


「勿論です..全部知っての上です..僕は麗美さんを愛しています!」


「そうですか..それならお返事は放課後まで待って下さい」


「解りました」


「それでは放課後此処でおまちしておりますわ..」



本気なのかしら?


本気であれば受け止める準備はありますのよ..私はハンデ持ちですから..


それこそ、身も心も全て捧げても良いですわ..





「あの、麗美さん、返事の方は..その」


顔が真っ赤でしてよ..


「貴方は私がヤクザの組長の娘って知っていますのよね..それって危ない目にも遭いますのよ、解っていまして?」


さぁどう答えますの..


「知っています..僕が、僕がそういう事になったら命がけでも守ります」


必死そうに答えますわね..


「そう、だったらこれを渡しますわ..」


「これってカギですか?」


「私、0か100の女ですの..ハイラットホテルの1104に今日は泊まっていますわ..もし貴方が言った事が本当なら、私の全てを捧げますわ」


「それって..その」


顔が真っ赤ですわね。


「私の初めてを捧げます..朝までずうっと一緒ですわ..貴方の気持ちが本当でしたらね」


「僕は、僕は本気です」


「そう、ならお待ちしておりますわ」





嘘だろう、今日僕は告白をした。


憧れていた、後藤田麗美さん...多分学校一の美少女、いや彼女より綺麗な人を僕は知らない。


ヤクザの娘..そんなの知らないよ..関係ない。


想いを込めて告白した...そうしたら..OKみたいだ..しかも一気にホテルなんて夢みたいだ..




ホテルに着いた、凄く高級なホテルで驚いた..


ドキドキする気持ちを押さえてドアをノックした。


「おう、入りな..」


「えっ、何で 麗美さんじゃない..」


「良いから入れ..」


いきなり、引き摺りこまれた。



「嘘、ヤクザ..僕を騙したんですか?」


「騙して等いない..お嬢なら一つ上の部屋で待っている、シャワーを浴びてな..」


何が何だか解らない..


「お嬢に約束しただろう? 何があっても守るってな...頑張れよ..はら、これはドスだ」


「僕は何をすれば良いんですか?」


「なぁに犬と戦って貰うだけだ、犬も追い払えないならお嬢を守る事は出来ないだろう?」


良かった、犬か..これ持って喧嘩しろとか言われると思ったよ..


「ちょっと待って下さい..それ犬じゃ..」


「犬じゃ..土佐犬の櫓錦..闘犬で大関を張っていたお嬢の犬じゃ..まぁ見ての通りライオン並みの体をしているがな..」


「ややややめて..」


「何を言っている、お嬢を狙うのは敵対する組織じゃ、待ってなどくれないんだぞ..櫓錦、行け」


「やだやだやだ..来るな..」


櫓錦は吠えもせず、僕の周りを回っていた、僕は威嚇の為にナイフを前に出した..


「待って、待って下さい..麗美さんの事はあきらめ..」


櫓錦が僕のナイフを持った手のひじの部分に噛みついた..そして首を振った。


「あがややややややあががががっ..僕の腕が...」


櫓錦は加えていた腕を顔を振り飛ばした..腕が明後日の方向に飛んでいく。


そのまま櫓錦は僕の顔に噛みついた..僕の左耳が無くなって..口から吐き出していた。


「ややややめて..もう嫌だ」


「終わりだ、櫓錦..」


黙って櫓錦は下がっていった。


「痛い、痛い痛い...助けて、助けて下さい..」


「お前、洒落にならん事いったな...あきらめますとは何だ」


「痛い、痛い、痛いんです」


「まだ終わっていないぞ..けじめだ、残った手から指1本貰うぞ..」



「いあやだ、嫌だよー..これ以上痛い事しないで」










「お嬢、此奴は駄目だ」


「麗美さん..たしゅけて、助けて..」


情けない目..期待した私が馬鹿でしたわ...


「貴方は 私を守るんじゃなかったのかしら..」


「痛いんです..痛い..助けて..」


「貴方を信じてつきあったとして、貴方は私が危ない目に遭っても相手が怖かったら見捨てるのですわね..ゴミですわ」


可笑しい、こんなの麗美さんじゃない..まるで爬虫類みたいな目で..


「まぁ良いですわ..命は助けてあげますわ..この後、組関係の病院に連れて行くから死にはしません..まぁ手や指耳が無いのは不自由ですがそれだけです」


「そんな..」


「軽はずみな貴方が招いた事なのよ...それ位は我慢なさい..あと、今夜の事を誰かに言ったら..家族事皆殺しにしますから..いいわね」


「わ、解りました..誰にも..いいま..せ」



「あら、死に掛けていますわ..病院に運んで下さいな」






「お嬢....」


「泣いてなんかいませんわよ..」



馬鹿な奴だ、命がけで戦えば良かったのに..万が一勝てばお嬢はお前の物だった。


もし勝てなくても、死んでしまったとしても、最後まで裏切らなければ生涯お嬢はお前に操をたてただろう..


言葉には責任位持てっていうんだ...


これで暫く、お嬢の機嫌が悪くなって俺たちが当たられるんだぞ...








病室で目が覚めた..


僕の片腕は無く、耳も無い、そしてもう片側の指もないのが解る。


病院から搬送されこの大きな病院に運び込まれたらしい...


事故にあった僕を親切な人が小さな病院に運び込んでくれた..そうなっていた。



僕は、何も語らない..話したら家族の命が危ない..


悪魔の様な女、麗美..今の僕にはもう天使には見えない..恐ろしい魔女、悪魔にしか見えない。


もう僕は人生で彼女に関わる事は絶対にないだろう...




変わる日常と転校


「最近、私可笑しいのかな? 天空院くんがカッコよく見えるようになったんだけど..」


「やっぱり..私も少し、ううん凄くカッコ良く見えるんだよね...まるで王子様みたいにさ」


「外見だけじゃないよね、急に頭も良くなったし..別人みたい」


「あの氷崎さんが引き攣っていたよね..だって天空院くん、この間のテスト学年2位だったんだからさ」


「それだけじゃないよ、バスケもバレーボールでも授業中凄かったじゃない..」


「はぁー覆水盆に返らず..なんであの魅力に気が付かなかったのかな..せっかく同じクラスなのにさ..」


「流石に、心美先輩相手じゃ張り合う気にならないな..しかもあれだし」


「ああも引っ付いていたら割り込めないよね..」




「翼くん、また後でね...」




「朝から一緒に腕組んで登校してくるし..」


「お似合いだよね..」


「確かにそうだけど、最近何故か、心美先輩、変な毛皮身に着けてない?」


「あれ、変だよね..」



まだ、僕はクラスでは避けられているのかな? 


僕の顔を見ながらヒソヒソ話しをしているし...





「あの..僕がどうかしたのかな? まだ悪い所があるなら治すように努力するよ..」



「あっ天空院くん、天空院くんは..うん、悪い所なんて無いよ、本当に大丈夫だよ!」


「だけど、皆んなよそよそしいから..まだ嫌われているのかなと思って」



《天空院くんって....カッコよくなって毒舌で無くなったら..天然になったのかな?》



「きききききき嫌ってないよ..本当だよ..さっきの話は心美先輩が毛皮みたいな物良く持っているから何故かな?と思って」



《皆んな恥ずかしくて話せないだけなんだけどな..》



「あれ、僕が作ったんだよ...欲しいの? まだ幾つか持っているから一つ上げるよ! はいどうぞ」


「嘘、くれるの? 本当! ありがとう..可愛いポシェットだね...あっこれ天空院くんが作ったんだ...モフモフして良いね、大切にするね!」



《こんな物で喜んでくれるならもっと作って配ろうかな..》





「えへへ、天空院くんに貰っちゃった..良いでしょう? 手作り品なんだって..」



「羨ましいし、ねとましいわ..それじゃ心美先輩のあれもそうか...だから大切そうに身に着けているんだ」



「ちょっと待って、それ、何で貴方が貰えるの? 可笑しくない?」



「私が可愛かったからだったりして..」



「それは無いでしょう..」



「無いない」



「うがーっちょっと幾らなんでも酷くない?」



「私も天空院くんに..」




「ホームルームをはじめますよ..」


「そんな..」





「今日のお知らせは二つあります..一つ目は、天空院くん、最近の貴方はまるで別人のようで目を見張るばかりですこの調子で頑張りなさい」



《やっとここ迄来た..長かったな、これでようやく皆んなと同じ土俵に建てた..更に頑張ってトリスタンに翼の名前に恥じないよう生きないと》


「はい、頑張ります!」


「先生も応援していますからね...それと今日は転校生のお知らせがあります..後藤田さんお入りなさい!」


「はい、後藤田麗美と申します、皆さん宜しくお願いします!」


《別に宜しくしなくても良いのよ!》



《凄く綺麗な人だな..》


《心美先輩も良いけど..麗美ちゃんも別の意味で可愛い..》



「「「「「「宜しくお願い致します!」」」」」



「麗美さんの席は..そうね、天空院くんの隣が良いわね、確か後藤田さんは天空院くんとは面識があるのよね..」


「はい!」




「それじゃ、小松さん窓際の席に移って頂戴..」


「あの、先生..」


「なぁに! 小松さん!」


「何でも..ありません...」


《ごめんなさい、小松さんだけど、教頭先生からお願いされているの..ごめんね》





「それじゃ後藤田さんあちらの席に..」


「はい」


「翼様、これから宜しくお願いいたしますね!」


「宜しくお願いします!」


傍であらためて見ますと、又一段と見惚れてしまいますわね..しかもこれで凄くお強いのですわね。


「どうかしましたか?」


「何でもありませんわ」




《あれって依怙贔屓だわ、何で天空院くんの隣な訳?》


《もしかして、後藤田さん...翼くん狙い!》


《何で、翼ばかりなんだよ..》


《あいつ、変わりすぎだろう》





「翼くん、遊びに来たわ、げっ後藤田麗美..何なの?」


「げっとは何ですの? 貴方誰ですの?」


「朝、この間の朝会ったじゃない...天上心美よ!」


「あらっ そういえば物凄く暑苦しそうな人が翼様の傍に居ましたわね...思い出しましたわ!」


「暑苦しいですって!」


「ええっ、暑苦しくて汗臭いですわ..」


「そういう貴方は...そう老け顔だわ」


「貴方目が腐っているのかしら..私みたいなタイプは大人っぽいと言いますのよ? まぁ乳臭い小娘には解らないですわね」



《お父様の教えだ...女同士の争いに巻き込まれると大変な事になる、逃げるが勝ちだ》



「乳臭いですって! 私みたいなタイプはみずみずしいと言うのよ、おばさん!」


「やっぱり馬鹿ですわね..私年下ですわよ? 頭が可笑しいのかしら?」


「馬鹿ですって..翼くんどう..いない」


「貴方が私に絡むから翼様が逃げてしまいましたわ」



「「貴方が悪いのよ(ですわ)」」



二人は睨みあいながら手を震わせていた。



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