第31話 朝の出来事

「おはようございますわ!」


「あのどちらさまですか?」


家に綺麗なお嬢様みたいなお姉さんが訪ねてきた。


「私は後藤田麗美と申しますわ、こちらの翼様とご学友になりましたのでご挨拶に参りましたの」


天上心美さんも凄いけど、この後藤田麗美さんも凄い綺麗だー、裕子ちゃんに恵子ちゃん..ご愁傷様...


「そうですか、ですがお兄ちゃんなら天上家に剣道の稽古をしに行っているので居ません」


「それは残念ですわ、もしかして貴方は妹さんですの?」


「はい、まひると申します」


「そう、まひるちゃんも仲良くしましょう!」


翼様と仲良くするって事はこの子も妹みたいな物ですわね..


「よよ宜しくお願いします」



「まひる、誰か来ているの?」


「あっお母さん、お兄ちゃんの友達が来ているよ..」


「翼の友達? 時間があるなら上がって貰って..」


「だそうです、お時間は大丈夫ですか?」


「そうですわね、せっかくだからお邪魔させて頂こうかしら?」


「どうぞ、どうぞ..」



これが一般的な家庭ですのね..考えて見れば、普通の友人の家に上がるなんて初めてですわね..



「コーヒーをどうぞ!」


「これは、まひるさん、貴方が入れてくれたの?」


「はい、インスタントですが..」


「ありがとう」


ただのインスタントコーヒーですが、家の者以外で入れてくれた人は初めてですわね..


「お母さまですか、初めまして後藤田麗美と申しますわ、この度 こちらの翼様とご学友になりましたのでご挨拶に参りましたの」


「ご丁寧に有難うございます、貴方みたいなしっかりしたお嬢様が家の子と友達になってくださるなんて、母親として嬉しいわ」


「そんな照れてしまいますわ..有難うございます!そう言えばお土産がございますの! こちらを皆様に、それでは私はそろそろ失礼しますわ!」


「そんなご丁寧に有難うございます..」


「麗美..お姉さん?また来てくださいね!」


「ええっまた越させて頂きますわ..ごきげんよう!」




流石はお兄ちゃん...どうみてもお嬢様だよ!


やっぱり、お兄ちゃんには 天上心美とか、麗美お姉さんみたいな人と付き合って貰いたいな..


流石に、裕子ちゃんや恵子ちゃんがお兄ちゃんと付き合うのは何か嫌だ..


あの人達なら諦めがつく..今の一押しは悪いけど、麗美お姉さんかな、ちゃんと挨拶をしに来たしまだ解らないけど、気品があるよね...


そして凄く綺麗..



「そう言えばお母さん、お土産って何だったの?」


「あらっ、時計みたいね...これイミテーションじゃないのよね..」


「どうかしたの?」


頂いた袋にも書いてあったけどさぁ..中身も同じだとは思わなかったよ..


「ロラックル メテオシャイン って書いてあるのよ..」


やっぱり、麗美お姉さんは凄いお嬢様なんだな..ただでさえ高級なロラックスの時計なのに隕石を使った限定モデルだよね..


時計コレクターの裕子ちゃんのお父さんの雑誌に確か書いてあった奴だ..


「凄いね...」


「ロラックスだから高級品なのは解るんだけど..これ幾らなのかしら? 流石にこんな何十万もするもの貰えないわ!」


「お母さん、一桁間違えているよ...その時計多分、300万位、しかも限定生産品だから手に入らない物だと思う..」


「一千200万!...そんな、これは貰えないわ..」


「貰って良いと思うよ?」


「あのね、まひる、これ、お父さんの年収より高いのよ..」


「うん、凄いよね」


だけど、お兄ちゃんは勇者で冒険者、物語なら結婚相手はお姫様か聖女が定番...そう考えるならこの位のお嬢様じゃないと釣り合わないよね。


「まひる、何平然としているの?」


「だってあの位のお嬢様じゃないとお兄ちゃんとは釣り合わないもの」


「どうしたの、まひる? 何か随分翼の事を高く評価しているけど」


「うん? だってお兄ちゃんは最高のお兄ちゃんだもん」


「まぁ兄妹が仲の良いのは良い事だけどね...可笑しいわね」


「何も可笑しくないよ? まひるお兄ちゃんの事大好きだもん」


「そう、なら良いわ」



この子本当にどうしちゃったんだろう?




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