第30話 お兄ちゃんの正体は元冒険者(勘違い)
今日は久しぶりにお兄ちゃんが家にいる。
最近のお兄ちゃんはいつも天上家に剣道の練習に行っている。
その為、帰るのが遅いのでいつも少ししか会話が出来ない。
だから、こうして一緒に居られるのが凄く嬉しい。
今の私には、本当のお兄ちゃんの姿が見える。
異世界から帰って来てからのお兄ちゃんは..王子様みたいにカッコいい!
正直、ブラコンって言われても構わない..だって、凄く好みなんだもん..本から出て来たみたいなんだもん仕方ないと思わない?
今日は独り占めできる、そう思って居たのに...
「まひる遊びに来たよー」
「翼さんもこんにちはー」
やっぱり来た、お兄ちゃんが居ると知ったら来ない訳がない...
「裕子ちゃん、恵子ちゃん..今日は...」
「あっ!三津島さんに奥山さん、いらっしゃい、ゆっくりしてってね!」
「はいっ翼お兄さんゆっくりしていきます..」
「はいっ そうだ翼お兄さんあとでこちらで話しませんか?」
「そう? でも邪魔しちゃ悪いから..」
「「邪魔なんかじゃありません」」
「あははっそう? だったら後でお邪魔させて貰おうかな?」
「「是非」」
しかし、2人とも凄い恰好になって来たな..
祐子ちゃんは更にスカートが短くなってパンツが見え隠れしているし、上着のタンクトップからブラが見えている。
これ、勝負服所か半分痴女だよね..ビッチにしか見えないよ。
恵子ちゃんは一見清楚に見えるけど、よく見るとブラウスが透けているし、スカートもタイトだけどミニだ。
文学少女じゃなくて、服装だけなら痴女教師みたい..
まぁ、お兄ちゃんの気を引きたいから此処までしているのは解るんだけど..
お兄ちゃんの衛生上宜しく無いから辞めて欲しいと思う。
「翼お兄さんまだかな?」
「遅いよね..」
完全に私が目当てじゃ無いのは解る。
祐子ちゃんは私とゲームしているけど気が入って無い..昔みたいに負けても悔しがらない。
恵子ちゃんは小説を読んでいるけどペースが凄く遅い。
そしてお兄ちゃんが来ると..
「まひる..ジュースとお菓子持ってきたからあけてくれる」
この瞬間から二人が急にしおらしくなる。
「私、近くだからあけるね」
祐子ちゃんが開けた。
「ありがとう」
この程度の事でなんで恵子ちゃんは悔しそうな顔をするのかな? まぁ解るけど!
「あれっ、お兄ちゃん手に持っているのは何かな?」
「いや、最近作ったんだけど、プレゼント..大した物じゃ無いけど」
「えっプレゼントですか? 私にですか?」
「翼お兄さんのプレゼント..凄く楽しみです」
この二人、男子からのプレゼントなんかで喜ぶ事は殆どない。
良い物や高い物を貰ったらお礼位は言うがそれだけ..安い物や好みじゃ無い物は私に寄こすかゴミ箱いきだった。
最近は何故か色々な物をくれるけど...
ちなみに恵子ちゃんの宝物はSUMOCHIだ、これはお兄ちゃんが射撃でとってプレゼントした物。
中身は暇さえあれば磨いていて、箱を抱いて寝ているらしい..流石に引くよね?
祐子ちゃんはセルランの冒険というソフト お兄ちゃんが射撃でとった物で飾り棚に入れている。
しっかり保存用にして同じソフトを買ったんだって...なんだかなぁ...
「はい、これ!」
「お兄ちゃん、これなぁーに!」
「うん、ウサギの皮で作ったポーチだけど?」
「このポーチどうしたんですか?」
祐子ちゃん、凄くうっとりしてポーチを抱きしめているし..
「最近、剣術の修行でウサギを狩っているから、そのウサギの毛皮から作ったんだ」
「これは翼お兄さんの手作りなんですね!」
恵子ちゃん毛皮とか駄目な子だよね..この間は毛皮着る人間なんてゴミみたいな事言っていたよね?
「うん、そうだよ、ウサギを捕まえて毛皮を剥いてなめして作ったんだけどどうかな!」
「翼お兄さんの手作りなんて..凄く嬉しいです、有難うございます!」
「こんな素敵なポーチ有難うございます...一生の宝物にします」
「そんな大袈裟だよ、欲しければ又作るから気にしないで普段使いして、その方が嬉しいから」
お兄ちゃん、そんな事言わない方が良いよ..多分、2人ともそれ毎日身に着けるよ..
「お兄ちゃん、ありがとう、まひるもこれ大切にするね..だけど、お兄ちゃん、こんな事も出来たんだね」
「うん、小さい頃にちょっとね」
そんな事してたら怖いよ..子供がウサギ殺すなんて..
しかし、凄いよね、この二人ウサギ殺しの話をしてたのに..全然引かないで寧ろ余計に好きになってないかな?
「それじゃ、余り邪魔しちゃいけないから、僕はこれで、2人ともゆっくりしていってね!」
「「あっ」」
「まひるちゃん、翼お兄さんって器用なんだね..これ凄く綺麗」
「本当だよね..」
ウサギ殺しはスルーなんだね...
多分、同じ事クラスの男子がしたら..
「こんな物要らないわ..可愛いウサギを殺すなんて最低ね」
「私はこういう野蛮人が一番嫌いよ」
と言ってその後、無視するんじゃないかな?
確かに凄く旨いけど..
「「じゃぁね まひるちゃん、また明日」」
「うん、また明日」
しかし、お兄ちゃん..異世界に行ってから定番通り、冒険者がスタートだったのかな?
ウサギの解体が此処まで上手いって事は 素材の解体の仕事をしていたんだよね..
そう考えたら、お兄ちゃんの異世界生活は 冒険者→上級冒険者→勇者だったのかな?
まぁいいや、またかまかけて教えて貰おう..
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