第17話 天上家にて②

「天上百合子、ここの道場の道場主をしています、さぁ貴方も名乗りをあげなさい」


「天空院 翼です、宜しくお願い致します」


《巌さんよりは強そうだ..だが、良い所冒険者の中級レベル位にしか思えない》


「それじゃ行きますよ..」


確かに早い..心美さんよりも巌さんよりも、だが、この程度の素早さなら前の世界なら森の民なら子供ですら出せるだろう。


だから、簡単に躱せる。


「これを躱せるのですか?..なかなかな物ですね、まだまだスピードをあげていきますよ!」


《嘘、お母さまの攻撃を初見で躱せる何て..》


《俺ですら竹刀で受けるのが精一杯なのに..》


《もう既に勝負は見えているのぉ》



「どうぞ」


「どうしました? 逃げているばかりでは勝てませんよ..はぁはぁはぁ」


「僕の剣は..貴方の様な綺麗な女性を傷つける物ではありません」


「わ、私を女性扱いですか、剣を持ったこの私をですか..聞き捨てなりません..ならばこれを受けて見なさい..天上流、五月雨突き..」


凄い、これは前の世界には無かった..突きの連続、だがこの技に意味はあるのか?


一撃で倒せない突きに何の意味があるんだ、突きを外したら、殺されてしまうリスクも多いのに。


それに正面から正直に打ち込んでくるなら回り込んでよければ良いだけだ..



《翼くん、凄い、凄いなんて物じゃない..お母さまの五月雨突きを簡単に躱すなんて》


《あれを簡単に躱すのか》


《まぁ、ああも正直な剣じゃ、あのレベルの相手には通じぬよ》



「次はどうしますか?」


「五月雨突きを躱すなんてはぁはぁ凄いわ..これならどうかしらね 天上流、古月」


成程、一旦下に振り下ろした剣をそのまま反る形で上にはね上げてくるのか..確かに不意打ちには持って来いだ、だが剣が正直すぎる。


「貴方の剣は正々堂々として僕は嫌いじゃないですが...正直すぎます、これじゃ避けて下さいと言っているような物です」


「その様ですね..それなら、これも受け止めきれますか..奥義...流水」


女性ながらの流れるような剣裁き、平和なこの世界で此処まで身に着けた..それは尊敬します。


ですが、それと同じような技は前の世界では初級者ですら使えます。


そのまま剣を受け流して流れのまま弾けば..剣が絡めとれるんです。


翼は流れるような竹刀の動きに合わせて竹刀を絡ませた。


その結果、、百合子は竹刀を手放せずにはいられなかった。



「そんな流水が破られるなんて..」


「百合子お前の負けじゃよ..奥義?そんな物ばかりに頼っているからそうなるのじゃ、みて見ぃ翼殿をさっきから技らしい技はだしておらんよ!情けない..全ての技を完璧に使いこなせば全ての技が奥義並みになるのじゃ..」


「私はまだ未熟だったようです...翼殿、私の負けです..負けたのですから、先程のお言葉も素直に受け取りましょう?」


「ちょっとお母さま!」


「大丈夫、とったりしないわよ、安心なさい!」


《残念、あと17年早く会いたかったわ...》



「さてと次は儂じゃな..翼殿、これでやらんか?」


「真剣ですか..良いですね!」


「そう言ってくれると思ったわい..主は儂の若い頃に似ておるからの」



僕は真剣を受取り、鞘から抜いて構えた。




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