第13話 体育にて
結局、徹夜で勉強してしまった!
一応、まんべんなく進めていき、小学五年生の分まで進めた。
しかし、面白いなこの世界の学問は..学ばなくても良い事まで学べるし解くために考えるのが実に面白い。
前の世界の勉強は生きる為に学ぶ、それに尽きた、将来、領地経営に必要な事を詰め込むだけ詰め込む..そこには遊びの要素なんて無い。
この世界の学問は大切な事から、それこそ、こんな事社会に出て使わないだろうって事まである...素晴らしいな。
殆ど全ての者がこんな素晴らしい学問が学べるなんて凄いな!
僕の居た世界じゃ貴族だって数学って分野だと足し算、引き算、掛け算、割り算位しか学ばない。
その代り、8ケタ×8ケタ位の計算なら暗算で出来るがそれだけだ..そう考えると本当に素晴らしい。
もう4時か! 流石に3時間は寝ないとキツイな..少し休むか..
「おはよう母さん、おはよう!まひる..」
「....翼なのよね..うん翼だおはよう!」
《あれっ可笑しいわね一瞬、翼が別人のように見えたわ》
「うん...お兄ちゃんおはよう!」
《あれっ、一瞬、お兄ちゃんが..うんお兄ちゃんだ》
「うん、美味しそうだね」
今日の朝食は洋食か..
「それじゃ頂きます」
「頂きます」
《この子が、朝ちゃんと起きてくるのも珍しいんだけど..可笑しい、いつもと食べ方が違う..》
「お兄ちゃん、どうしたの?」
《何時も、くちゃくちゃ汚らしい音を出して食べるのに、何だか今日は綺麗に食べている...というか何で優雅に見えるのかな?》
「どうしたのって?」
「何だか何時もと食べ方が違うから..」
「そう? 気のせいじゃない?」
「本当?気のせいなのかな?」
《お母さん、お兄ちゃんが変だよ!》
《そう、?だけど良い方に変わる事は良い事だわ..今の方がずうっと良いわ》
《そうだね》
「いつもと変わらないと思うよ」
「そうだね」
《うん、今の方がずうっと良いや..もしかして変わろうと思ったのかな?》
「おはようございます! 翼お兄さま!」
「おはようございまぁーす!翼にいさまー」
《あれっ恵子、翼にいさまー、なんてネコナデ声気持ち悪いわよ》
《そういう裕子だって何?お兄さま! 似合わないわ何匹猫被っているのかしら?》
「おはよう、三島さん、奥村さん、今日も可愛いね!」
《この位なら良い筈だよな、貴婦人を褒めるのもマナーだと思う》
「そそそんな可愛いなんて、困ってしまいます..翼お兄さまもカッコ良いですよ」
「ありがとう! お世辞でも嬉しいよ」
「本当に、翼にいさまは凛々しいですよ..決してお世辞じゃありません!」
「奥村さんもありがとう!」
「そんな、お礼何て..」
「あの、所でこんな朝早くからどうしたの?」
「私は親友のまひるちゃんを誘いに来たの」
「私もそうです」
「そう、それじゃまひる呼んでくるね..」
「まひる、友達がきているよ..」
「こんな朝早くから誰かな? あれっ裕子ちゃんに恵子ちゃんどうしたの?」
「迎えに来たの一緒に学校行こう!」
「うんうん」
「あれだけど二人とも方向が逆じゃ..」
しっ余計な事言わないで(よ)
「そうそれじゃ一緒に行こうか?」
《三人の邪魔しちゃいけないよね》
「それじゃ、僕は先に行くね、じゃぁ!」
僕は走って家をあとにした。
「あっ翼お兄..」
「翼にいさま..行っちゃったじゃない!」
「裕子がちゃんと呼び止めないからでしょう?」
「恵子だって同じじゃない..」
「あの、2人ともどうしたの?」
「「別にー(何でもないわ)」」
「そう、なら良いんだけどさぁ、昨日から可笑しいよ?」
「そんな事ないよ気のせいだよ!」
「うんうん、気のせい、気のせい」
「なら良いんだけど..まぁいいや!」
まずは基本は挨拶からだ、とりあえず顔見知りには片っ端から挨拶をしよう。
「おはようございます」
「何だ、天空院か..おはよう」
「おはようございます!」
「はいはい、おはよう..」
流石に何か会話を入れたいと思うけど、翼って嫌われているからまだ辞めた方が良いな。
だけど、あんなに嫌われている記憶があるのに、男女問わず挨拶は返してくれるんだ..良い人ばかりだ..これが貴族だったら「ふん」とか言われてそっぽ向かれるのに。
《今日もまた会えたわ..》
《やっぱり凄く綺麗、たまりませんわ》
《だけど転校生じゃないらしいわよ?》
《そのミステリアスな所も素敵!》
《私も挨拶..したいな》
《今日もまた僕の方を見ている、やはりどこか可笑しいのかな..今度聞いてみようか?》
教室に入るまで不思議な事にやはり同じ様に足を止めて見ている女の子が居る。
気にしちゃ駄目だ、頑張れば何時か嫌われないようになれるさ..
しかし、この世界は一体どうなっているんだ...信じられない事に綺麗な子しか居ないじゃないか!
「ここは女神の暮らす国です」何て言われても信じてしまうよ...
少なくとも、まだ僕は醜い女性になんて会っていない..
教室に入った。
「おはようございます!」
「おはよう..」
「おはようさん」
「おは」
うん、昨日と変わらないな..1日じゃ何も変わる訳ないか...
解らない授業が今日も始まった。
とりあえず、ノートだけは取ろう..そうしないと追いついた時に困るから..
そして今日は体育がある。
翼は運動が嫌いだったみたいだけど..僕は体を動かすのは大好きだ。
しかし、翼はなんで体育が嫌いだったんだ...知識はあるけど感情迄は解らない。
あれ程凄い戦いが出来るのに....風の様に動いて烈火のように斬り込む、そんな事が出来る翼が体を動かすのが嫌いなんて可笑しいだろう!
さてと
「今日の授業はバレーボールをするぞ、何時ものように仲間を作ってチーム戦だ」
《ちょっと待ってくれ、僕は誰と組めばいいんだ? 翼に友達なんているのか?》
結局、僕は余り者同士で組んだ組みに入った。
だけど、バレーボールって何だ?
幸い、最初は見学らしい、ならルールを見て覚えればよい。
ボールをはじき返せば良いんだな。
「そこのチームコートに入れ」
《僕たちのチームの番だ》
ボールが飛んできたぞ..良し..追いついた..あれっ思った方に弾けないな。
「おーい翼がザルだ...狙え狙え」
「いっちゃ可哀想だって、そんなの当たり前なんだから」
《チクショウ、チクショウ..》
「翼がいるんじゃ勝てないよな..」
「あれじゃな..負けは最初からきまっているしょ..頑張るだけ無駄」
《何だ、味方もやる気が無いのか..翼、君は一体なんなんだよ、僕の世界を救った勇者だろ..僕にとっては最低な奴だけど..憧れている面もあったんだぜ》
ボールがまた僕の所に飛んでいた、真っすぐ飛ばなくても拾ってやる...あっ飛んだ。
ボールは凄い勢いで飛んでいき...残念ネットに引っかかった。
そうか、手で打つと思うから思うように飛ばないんだ、この手が剣だと思えば良い..敵の攻撃を弾いて相手にはね返す..そう思えば簡単だ。
僕は暗殺者のクナイを剣で弾いた事がある。
それに比べれば簡単だ...今の僕は翼...だけど、本当はセレナ、トリスタンだ公爵家の人間がこれ以上惨めになってはいけない。
翼は嫌いだったけど、勇者だった..国を世界を守ってくれたんだ、その勇者をこれ以上馬鹿にさせてはいけない..
「さぁ此処から反撃だ..こい!」
「あはははっ翼が何かいっているぞ! よし打ち込んでやるよ!」
「翼の癖に生意気なんだよ!」
「さぁ来い..僕は逃げない」
挑発したから勿論、僕の方にボールが飛んできた。
集中したからボールがまるで止まって見える。
そのボールを全力で相手めがけて叩く。
ボールは凄い勢いで相手に飛んでいき、相手の顔面に突き刺さった
そして、そのまま相手は倒れた。
そして相手は立ち上がって来なかった。
「大丈夫か相原っ」
体育教師が走ってコートに入ってきた。
「気を失っているぞ..おい、体育の時間は自習だ.. 天空院悪いがお前もきてくれ」
体育教師と一緒に僕は相原の足を持ち保健室に運んだ。
保健室で相原は目を覚ました、体には問題が無いみたいだ、良かった。
特にルール違反をしたわけでも無いが、相原に謝った。
「いや、俺が油断したのが悪いんだよ、気にするな」
「そう言って貰えると助かる」
《うん、良い人だなこの人も》
「相原も大したこと無いみたいだからな、天空院はもう授業に戻れ」
「はい!」
《しかし、彼奴あんなに熱血漢だったかな? 冷めた奴だった気がするんだが..まぁ良いか》
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